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東京バレエ団「ドン・キホーテ」のDVD    (2004.5.9)

東京バレエ団の公演の映像がDVDで発売されています。2002年10月に神奈川県民ホールで行われた「ドン・キホーテ」全幕の録画です。斎藤さんが大怪我の後、復帰して初めて踊ったドンキホーテ。私はこの公演を見に行き、斎藤友佳里さんの熱演に感激したのですが、これがDVDで見られるなんて、嬉しい限りです。
海外のバレエ団の公演の映像は、DVDやビデオカセットで販売されていますが、日本のバレエ団のものは、ほとんど販売されていません。日本のバレエ団も、今や海外の有名なバレエ団に引けをとらない実力をつけてきましたから、海外と同様に、日本のバレエ団の映像も、もっと販売されていて当然と思います。その意味で、この東京バレエ団の公演のDVD化は、とても良い企画だと思います。
 
このバレエ公演の感想は、以前書いたのですが、改めてDVDで見て、感動を新たにしました。
ウラジーミル・ワシーリエフ演出・振付による、東京バレエ団「ドン・キホーテ」。舞台はスペインのバルセロナ。宿屋の娘キトリと床屋のバジルの恋物語。スピード感あふれる演出、斎藤友佳理と高岸直樹によるドラマティックな踊りの数々など、見所はいっぱいです。シャープな映像で、難しいパやポーズなど、テクニックの妙を堪能できますし、アップも多く、ダンサーの表情が良くわかります。 改めて、主役の斎藤友佳里さんの丁寧な踊りと演技のうまさ、そして顔の表情の豊かさを感じました。 斎藤友佳里さんは、「ラ・シルフィード」や「ジゼル」といった妖精のイメージが強く、キトリの様な町の娘より、夢の中の王女様や妖精の様な役所が相応しく、 一幕最後のドン・キホーテの夢の中に出てくるドルシネア姫は、しっとりして、情感があって、とても美しいものでした。 そんな斎藤さんですが、第二幕でもグランパドドゥでも優雅さと華やかさを発揮していました。 アダージョでの目当ての二度の独り立ちのアチチュード、もう少し長くバランスをキープして欲しかったものの、 高岸さんに高々と上げられて静止したリフトから真っ逆さまに落ちるフィッシュ・ダイヴも鮮やかに決まってヤッタという表情v。さすがにハードな32回のグラン・フェッテはかなり辛そうでしたが、険しい表情で歯を食いしばって必死に頑張ってくれました。最近の人たちのように、派手なダブルはありまんでしたが、最後まで軸足のズレもほとんどない正確さ。観客から大きな拍手が起きました。うまくいって良かったとホッとして思わずこぼれた笑み、こちらも嬉しくなってしまいます。息を切らして大きく波打つ胸には汗が光っていました。 懸命に頑張る彼女の姿、本当に胸を打たれました。でも内心、無理をして、また脚を痛めなければ良いが?と心配にもなりましたが。
 
DVDのような映像は、所詮記録であり、生のステージのような感激は味わえません。でも、生の舞台を思い出しながら見るのは楽しいものです。また、生の舞台を見ることが難しい地方のバレエファンにとっては、DVDでバレエを楽しめるのは、とても有り難い事だと思います。これからも、日本のバレエ団の公演が、どんどん映像に残されDVDになって、発売されることを期待します。

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