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海賊〜グラン・パ・ド・ドゥ:山田歌子、江本卓    (2008.2.2)

大切にしているビデオテープがあります。2002年の山路瑠美子バレエ研究所の発表会の記録です。前半はバレエコンサート、後半は、「眠りの森の美女」のハイライトでした。
山田歌子さんは、前半では「海賊」のパ・ド・ドゥ、後半ではリラの精を踊りました。リラの精も美しかったのですが、江本卓と組んだ「海賊」のグラン・パ・ド・ドゥが特に印象に残っています。発表会では、時として、公演にはない初々しい煌めきを感じることがありますが、この「海賊」はまさにそのような新鮮な輝きがありました。 パートナーは、江本拓。サポートの上手さが光っていました。アダージョでは、緊張からか、時折険しい表情を見せる山田さんに、「大丈夫、心配しないで!!。自信を持って!」と語りかけるような頼もしい顔で、びくともせず、がっちり支えていました。山田さんは空中で思い切り大きく弓なりに背中を反らせた美しいポーズを披露して拍手を誘いました。両足をかかえた江本さんを信頼しきっているようでした。本当に息の合ったアダージョでした。アダージョは女性の踊りですが、男性の助けが無ければ、女性は何も出来ない。江本さんの的確なサボートに拍手を送りたいと思います。 男性のバリエーションでは、江本さん。ダイナミックなジャンプを見せました。勢い余って、バランスを崩し、右手を床についてしまったのはご愛嬌。 女性のバリエーション。山田さんは、難しいイタリアンフェッテを危なげ無くこなして、ヤッタといった表情。技術の確かさを見せました。 最後のコーダ。山田さん、さすがに疲れが出たのか、グランフェッテは、相当辛そう。終盤はふらついてハラハラしましたが必死に堪えて頑張りました。可愛らしい女性が懸命に歯を食い縛って至難な技に挑む姿は、本当に美しい。レベランスのホッとした表情が魅力的でした。「海賊」は、女性は長い衣装の場合もありますが、山田さんは、短いクラシック・チュチュでした。クラシック・チュチュの方が、イタリアンフェッテやグランフェッテには軽快で踊り易いでしょうし、ダンサーの美しい脚の動きもよく見えて、私は好きです。
山田歌子さんは、山路留美子バレエ研究所の若く美しいダンサーです。先日(2007/12)、大和バレエ研究所の「くるみ割り人形」に、雪の精とアラビアの踊りに客演しましたが、本来の実力発揮とは言えないようでした。彼女は可憐で優しい雰囲気ですから、しっとり古典のプリンセスのパ・ド・ドゥが似合います。彼女が主役でグラン・パ・ド・ドゥを踊る古典のバレエを見たいと思います。

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