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森下洋子の"バレエへの招待"   (2003.3.26改)


古いビデオテープがあります。「森下洋子の"バレエへの招待"」という番組の録画です。
バレリーナの森下洋子さんが自分で踊ったシーンを交えながら、バレエの解説をしているものです。
 
ビデオテープのケースには日付が記入されていません。タイマー録画をして、ケースに、その番組名だけを書いて日付を書き忘れたものと思われます。 ただ、一緒に録画されている他の番組の内容から推測して、1980年代の終りころのものと思われます。
 
先日、このビデオをDVDに移しながら見ていましたが、改めて、なかなか楽しく貴重なものだと思いました。
出てくるシーンは、ロメオとジュリエット、白鳥の湖、くるみ割り人形、ジゼル、コッペリア、シルヴィア、海賊、ペトルーシュカ・・・と多彩で、それぞれ、さわりの部分だけですが、皆、森下洋子さんが主役で登場します。 海賊は特に圧巻です。パ・ド・ドゥのコーダの部分だけですが、軽快なグランフェッテと、思わず息を呑むピタッと決まる3度のアラベスクのバランスが見事です。またダブルを交えた見事な黒鳥のフェッテ・アントゥールナンやヌレエフと組んだジゼルも見ごたえがあります。 また、日本で上演されることが珍しいシルヴィアも、僅かですが、加わっています。

また森下さんはバレエの技術の解説もしています。バレエの基本である五つの足のポジション、代表的なポーズやパなど、とても丁寧な説明で良く分かります。技を極めた彼女ならではの、的確な優しい表現です。
今年、NHKではテレビ放送開始50周年記念として、過去の番組を再放送していますが、是非、この番組も放送してもらいたいものです。
 
ところで、NHKは、以前は、このような番組をよく放送してくれました。小林紀子さんが現役の頃に、やはり同種の番組に出演していたのを見たことがあります。
残念なことに、近頃このような番組は、全くと言っていいほど放送されなくなってしまいました。
そもそも、NHKは地上波・衛星放送ともに、日本人ダンサーが出演するバレエの番組が、極端に少なくなったように思います。 かつては、NHKは、よく日本で行われたバレエ団の公演を録画し、教育テレビの芸術劇場で放送してくれたのですが、最近はかなり減ってしまいました。 特に日本のバレエ団の出演した公演の放送は、ほとんどなくなってしまいました。なんでも、バレエ好きのプロデューサーが退社してしまった為とか。プロデューサーの好みで、良い番組がなくなってしまうとは、困ったものですね。 むしろ、民法のCSシアターテレビジョンが、牧阿佐美バレエ団の公演やBSフジがスターダンサーズバレエ団の公演を、意欲的に取り上げています。
十年以上前になりますが、東京バレエ団や牧阿佐美バレエ団の公演を見に行って、その後、NHKテレビで放送された映像を見て、改めて舞台の良さを再認識したこともありました。
 
仕事柄、時間が不規則で、バレエの公演を見に行く時間が限られている私にとっては、テレビのタイマー録画は貴重なバレエの情報源なのです。また、地方ではなかなか生のバレエは見れないでしょうから、地方のバレエファンにとっては、 テレビのバレエ放送は、より貴重だと思います。
日本にも世界の有数のバレエ団に引けをとらないほど優秀なバレエ団があるし、森下洋子さんのように一流のバレリーナもたくさんおります。 中継録画は費用がかかるし、視聴率の問題もあるのでしょうが、全国放送であるNHKが、ぜひ日本でのバレエ公演をたくさん放送して、広く、日本の優れたダンサーやバレエ団を紹介してくれることを期待しています。



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