フィギュアスケートよもやまコラム(2002−2003年度シーズン)
フィギュアスケート・ワールドに戻る
トップページに戻る
NHK杯、日本選手奮闘!
<女子シングル>
何と言っても荒川選手の演技が素晴らしかった。SPの「白鳥の湖」は本当に白鳥になってしまったかのような演技で、滑る前は仰々しかった衣装もスケート中には見事に効果的でした。やはりプログラムがいいですね。ヤグディンの振り付けの方が担当していると聞いて納得です(ステップのあたりとか特徴的)。私は特にあのストレートラインステップに入る前の白鳥が今まさに飛びたたんとする感じがすごい好きです。フリーに関しては去年の「トゥーランドット」の方がメリハリがあって好きなのですが、今回の「タイタニック」もオーソドックスですがなかなかです。でも本当に最後のジャンプ連続失敗は痛かった。せめて2アクセルでも入っていればスルツカヤを抜いて2位だったのに。GPファイナルに出場してこのプログラムを全世界に見せて欲しかったなあ。最後にもう1回コンビネーション(3+3か3+2+2)が決まってれば優勝もあり得たと思う。でも一人だけ果敢に3+3に挑戦して無理矢理だけと降りたのは立派(エキシビでも3+3飛んでたしね)。この調子で全日本に向けて頑張っていって欲しいです。メディアの無視になんか負けるな!
スルツカヤはホント調整不足というか、今回は調整のためだから負けてもイイやという感じでしたね。ジャンプ失敗してもニコニコしてるし。ま、ロシア選手権と世界選手権までにはピークを持ってきて欲しいです。
優勝した恩田選手はジャンプが安定していたのが何より心強い。3アクセル以外は失敗する気が起きませんでしたよ。その3アクセルはまだまだだね。当分試合じゃクリーンに決まらないんじゃないだろうか。表現力は確実に去年よりレベルアップしてきているが、やっと普通になったかなという感じで、今の表現点は出過ぎだと思う。技術点に引きずられて0.1〜0.2点かさ上げされているように感じます。今季は出場した大会の選手層が薄いという運もありましたがGPシリーズ1位2回、2位1回という成績は立派。GPファイナルも敵はコーエンくらいだから十分メダルは狙えると思います。頑張ってください。
村主選手は調子悪かったですね。あれだけジャンプが失敗するとさすがの表現力もカバーしきれないでしょう。相変わらずクラシックをしっとりと表現していますが、繊細な表現な分ジャンプ失敗で寸断されると調和が乱れて見せ場が無くなってしまうのがツライ。これ以上の上位を目指すには村主選手にしかできない何か武器が欲しいところです。これず村主!というようなね。
それにしても今回の女子シングルは見応えがありました(まるで全日本選手権かと思うような)。特に日本選手たちの活躍は三者三様で素晴らしかった。今までは上位に歯が立たない感じでしたが、上が抜けて一気に中核勢力に躍り出た感じです。これからが期待大ですね!
<男子シングル>
本田選手が失敗してしまったのと予想外のクリムキンの出来で、本田選手の2連覇は消えてしまいました。本田選手のフリーの「マミー」は聞き飽きたといった感じで、もっと新しいプログラムに挑戦して欲しかったなあ。その点クリムキンのプログラムは独創的で(別名ヘンともいうが)面白かった。ジャンプが安定すれば十分世界選手権でメダルも狙えると思う。李成江はSPもフリーも五輪と全く同じでがっかり(SPは好きなのですが)。日本で人気のバトル選手はいい演技だったのに順位は伸びませんでしたね。やっぱり4回転がないとだめなのか・・・。
先頭に戻る
激闘女子シングル!興奮の全日本選手権
女子シングルは激戦でしたね。こんなに見応えのある女子シングルは初めてです。
結局村主選手がSP3位から逆転で優勝したわけですが、ジャンプが2つ2回転になってしまったのに優勝できたのは、やっぱりプログラムがいいからでしょうね。流れとメリハリがあって作品になっているからジャンプの失敗はあまり気にならない。その点SP1位で全日本初優勝が確実かと思った恩田選手が負けたのも、そこにつきるでしょう。プログラムよりもジャンプの記憶しかないもの。スピンはよかったけど、ステップとか構成がまだまだ戦えるものになっていないと感じました。みんながジャンプを失敗しているうちはいいけど、ジャンプが同じくらい跳ばれるとやはりまだ弱い。海外のジャッジが妙に表現力を高く付けるけど、全日本くらいの評価が妥当でしょうね。
その恩田選手をフリーでは抜いて2位になったのはSP7位と大きく出遅れた荒川選手。もう世界選手権代表は無理だとあきらめていたのに、奇跡の3位。いやー、感動しました(見ている内はハラハラしたけど)。何しろ2回の3−3に雄大でメリハリのあるプログラムですから、失敗しないで滑ればやっぱり恩田選手より上に来るのは納得です。恩田選手はトリプルアクセルが跳べないと後はコンビネーションも3−2だけだから技術的にも見劣りしますしね。もっとも今年のタイタニックよりは去年のトーランドットの方が好きなのですが。しかし、SPで3位以内につけていれば優勝もあり得たのに。惜しいなあ。
後、驚いたのが4位の太田選手。ジャンプも完璧、表現力も豊かでノーミスのパーフェクトな演技。終わったときには優勝してもおかしくないと思ったほどです。意外と点が出なかったのはジュニアだから抑えられたのかなあとしか思えません。もっと出してもいい。2位か3位でもよかったのに。手の動きがとにかく音をうまく表現していますね。ちょっとプルシェンコに似てる感じ。本当にこれからが楽しみです。4回転や3回転半で安藤選手や中野選手が取り沙汰されてますが、もう全然太田選手の方がレベルが上ですね。
その安藤選手ですが、去年はまだ子供といった感じだったのですが、もう体もすっかり女性らしくなって、ジャンプにもダイナミックさが出てきました。去年見たときは回転だけで回っている印象があるジャンプだったんですが。着氷後に流れるランディングの美しさもいいですね。4回転は惜しかった。このままジャンプの力を維持してプログラムをよくしていったら楽しみです。
中野選手はすっかりトリプルアクセルを手中にしましたね。ただやっぱり高さがないから着氷はいつもギリギリで、失敗の危険もつきまとう。ビデオで出た伊藤みどり選手の3回転半は高さが十分で余裕で着氷していましたから、あの域に行くのは相当大変でしょうね。
最後に、去年は村主・恩田両選手ばかりクローズアップして荒川選手をヒール扱いしていた構成が改善されて、全選手均等に扱っていたのでよかった。これからもこういうよい番組にしていって欲しいと願います。
先頭に戻る
女子メダル独占!冬季アジア大会
荒川選手と村主選手はともに素晴らしい滑りでしたが、ジャンプの質と量で若干荒川選手が上回ったのかなという感じがしました。アジア各国の審判が先入観なしに見たせいか、村主選手の芸術点がいまいち伸びなかったというのも大きかったようです(全日本では5.9か5.8だったもの)。
中野選手はフリーではトリプルアクセルに2回挑戦したものの、2回とも失敗し3位でした。今回はジャンプの調子がいまいちだったようです。それでも他の3回転ジャンプは見事に跳んでいましたが。表現力もよく見るとあるので、もうちょっとプログラムがよくなれば上位に食い込めるようになるのではないでしょうか。
4位に入った北朝鮮の選手は思ったより1つ1つの要素がきっちりできており、ジャンプが決まればかなりいいところまでいくという印象でした。あなどれませんね。
男子は本田選手が見事優勝。ジャンプが完璧ではなかったものの、4回転2つと3回転半1つをいれたのはさすが。中国勢とはやっぱりプログラム構成やステップの差でしょう。田村選手は4+3+2を入れたのにはビックリ。でも他がもう一歩でメダルは逃してしまいました。やっぱり全般的に体力がなくてジャンプがヘロヘロだったのが問題かな。一点豪華主義は彼らしいですが。
それにしても女子は四大陸と世界選手権と楽しみになってきました。誰でも上位に食い込める可能性を秘めていますからね。頑張って欲しいです。
先頭に戻る
堪能しました世界フィギュア
今年はイラク戦争の影響でソフト不足だったのか、珍しく仙台でも女子シングル・フリー以外も放映してくれたんで堪能できました。最初は全然放映してくれないかもと悲観的だったんですが。でもなぜか女子シングル予選とペア・フリーの日だけ放映してくれなかった。何で? ま、今年はTBSの中継は全日本も世界フィギュアも余計な煽りとかもなくてよかったです。来年からもこうであってほしいね。それでは以下別個に。
<女子シングル>
テレビでは日米3人娘の対決と言っていたが、どっこいロシアを忘れちゃいけませんよね。本当は日米露3人娘の対決でした。現在のトップ10はほぼこの9人で占められていると言っていいでしょう。メダリストも2年連続日米露1人づつだったし。順番は残念ながら米>露>日ですが。これが米=露=日のように成って欲しいものです。
さて結果ですが、クワンは強かった! このままジリ貧かと思っていましたが、見事に復活しましたね。プログラム的にも最近の小難しくて高尚なものではなく、攻撃的で情熱的な新しい一面を見せてくれたと思います。特にフリーのストレートラインステップは圧巻で、観客と一体となった演技には感動しました。後、ジャンプのランディングの美しさはパーフェクト。いやあ、まだまだ楽しみですね。
銀メダルのソコロワにはびっくり。ついこの間までジャンプがボロボロだったのに、この変わり様はなんなんでしょうか。しかし、実際に見てみると銀メダルに値する演技でした。特にSPは素晴らしかった。3+3のジャンプも独特の振り付けも見事。クワンにも負けていませんでした。でもフリーはそれほどでもなかった。ジャンプはよかったんですが、プログラム的に普通で、あれではクワンを脅かすまでにはいかなかったでしょう。ですが来年以降が楽しみです。フィギュアは実績が重要なので、2年連続で安定した演技できれば金メダルも夢じゃないでしょう。後はいかに効果的なプログラムを作ってくることでしょう。
銅メダルの村主さんは運も実力もありますねー。予選に恵まれて1位だったのと、SPもフリーもソツなくしぶとく粘りました。調子に波はあるけどここぞというときにはやってくれますね。でもこれがいっぱいいっぱいかなあ。もっと新しい面やプログラムの充実をはからないと厳しいかも。村主と言えばこれ!という代表的で印象的なプログラムを残して欲しいです。
コーエンは絶対メダルを取れると思ったのに、相変わらずポカが多いですね。これさえなくなれば金メダルも取れるのに。
ボルチコワは去年の不調から復活したけど、もう少しオリジナリティが欲しいですね。プログラム的には去年の「風とともに去りぬ」の方が会ってたな。
ヒューズは体型が変わった変わったといっていたけど本当にグラマラスに変わっていてびっくり。少女から一気に大人になりましたねえ。白人女性はああなのかな。ハーディングを思い出してしまった。でも重くなった分前から感じていた動きのとろさが目立ってしまったな。なーんかスピードがない。来年以降絞って再挑戦するのか、このまま引退するのか、注目です(個人的には復活して欲しい)。
荒川さんは不運にもよく頑張って8位入賞しました。これで名前も売れたし、来年以降がもっともっと楽しみです。しかし本当に惜しかったな。予選も組分けが悪くて本当なら5位が8位になっちゃったし。SPはジャンプも全て成功したのに氷の溝に引っかかるアクシデント。絶対最終組で滑れる内容だった。個人的には5位をあげたい。少なくともヒューズよりは上で6位入賞だったと思います(ヒューズはメダリストの知名度が勝ったね)。そんな中フリーは頑張りました。何より3+3+2を跳んでくれたのには感激! 去年からこれくらい跳べてたのに全然注目されなくて。やっと彼女の潜在能力を世に知らしめてくれたかと思うと誇らしい。その後両足着氷やルッツの回転不足とかあったけど、全体としては流れに乗った演技で素晴らしかった。今季の有終の美を飾ってくれたと思います。
恩田さんはまさかの不調でしたね。彼女くらいになれば足のケガさえ治ればそこそこやると思っていたのに。意外と精神面が弱かったのかな。彼女の場合ジャンプ跳べないとガクンと点数落ちますからね。でもまあフリーは終盤粘って、おかげで来期も3枠確保することができました。来シーズンは3+3にも取り組むみたいだし、これを糧に成長していって欲しいです。
<男子シングル>
プルシェンコの圧勝でした。でもフリーは予選の方が良かったな。本田選手はもうちょっとやるかと思っていたが、プルシェンコを脅かすどころか3位に入るのが精一杯。やはり4回転の安定がカギでしょう。ゲーブルはあれだけ4回転をキッチリ跳ばれると点数を出さないわけにはいかないけど、相変わらずプログラムは退屈。来年はもう少し楽しませて欲しいです。それに引き換えワイスは去年までの無味乾燥な滑りから一転、見ていても面白かったです。エキシビのエンターテイナーぶりも好感。それに比べて本田選手とゲーブルのつまらないエキシビはもうちょっと考えて欲しいね。女子じゃないんだからただ滑ればいいってもんじゃないでそうが。クリムキンは崩れたのが意外だったね。ランビエール選手は予選が素晴らしかった。スピンが独特で表現力もあって期待ですね。李成江はジャンプはいいんで後はプログラム次第。
<ペア>
ロシア・ペアと中国ペアの一騎打ちでしたが、フリーで中国ペアが逆転で2連覇。しかし放映してくれなかったので見れずじまい。なんでも6点満点要求の連呼が客席から沸いたような素晴らしい演技だったようで、見たかったなあ。去年の長野ではジャンプでミスもあったりしたので、完璧な演技での優勝を見たかった。ロシア・ペアはSPは面白かったのですが、ちょっとまだ華がないかなあ。ベレズナヤ組のような個性を発揮していってもらいたいです。それにしても中国勢は4位と6位にも入って脅威ですね。近い将来表彰台独占も夢ではなかったりして。
<アイスダンス>
やっぱり革命はならなかったか。ロックンロールはイマイチ単調になりがちなんだよねえ。でもこういう逆転劇が起きるようにならなければアイスダンスはダメですよね。サプライズやドキドキがない競技会なんてつまらない!
先頭に戻る