フィギュアスケート観戦記(1998−1999年度シーズン)
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1998年東日本選手権リポート
11/14−15と宮城県厚生年金スポーツセンターで行われたフィギュアスケート東日本選手権を観戦してきましたので、以下にリポートします。
<1日目>
宮城厚生年金スポーツセンター・スケートリンク(入口)
午前中公式練習だったのですが、私は開会式から見ようと思い、お昼頃に厚生年金スポーツセンターへ。地下鉄泉中央駅からバスもあるのですが、300台の駐車場もあると聞いていたので車で向かいました。満杯かという危惧は杞憂に終わり、駐車場は全然ガラガラでした。さて、初めて訪れた厚生年金スポーツセンターですが、作り的には4月に北日本選手権が行われた勝山スケート場と同じですね。2階客席はリンクの片方に2列だけ。これだけで果たして間に合うのかと危惧しましたが、これもまた杞憂に終わり、全然空いてました。まあ、宣伝してないからなあ。身内かコアなファンしか知らないんでしょう。というわけで、受付で¥1000円のパンフレットを買って開会式を待ちました。
が、開会式はやりませんでした。結局1時間も暇をつぶしてしまった。何でやらなかったんだろう?
宮城厚生年金スポーツセンター・スケートリンク(内部)
そうこうする内にアイスダンスのコンパルソリイとオリジナルが始まりました。参加は2組だけ。でも、アイスダンスに疎い私はただ眺めているだけでありました。
アイスダンスCP&OD結果(朝日新聞より) |
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1位 | 都築奈加子&ファルクットディノフ・リナート |
2位 | 渡辺のぞ美&木戸章之 |
アイスダンスが終わると、いよいよ男子シングルSP開始。シニアのみ17人がエントリーしており、途中製氷を挟んで2時から4時まで熱い演技が繰り広げられました。・・・とは言っても男子シングルは全然詳しくないので、目を引いた選手を何人か述べるに止めましょう。
まず群を抜いていたのはやはり田村選手。動きのシャープさやスピード、振り付けの巧みさが違う上、トリプル−トリプルのコンビネーションに単独のトリプルが完璧に決まってはもはや別格。課題のトリプルアクセルはやらずにダブルアクセルでしかも着地がイマイチでしたが、問題ありませんでしたね。5.5平均で断然トップでした。衣装もライトブルーのズボンに白の上着と、まるで客船のボーイさんみたいですが、さわやかで格好良かったですね。ビデオやカメラの撮影隊の動きも一番騒がしかったですが、演技中にフラッシュを焚くような人もいて困りものでした。まあ、さすがに花束はなかったけど。
他にはスピードがあったのが鈴木誠一選手(衣装がピッタリした黒に赤の線が入っていたので秘かにTMRと呼んでいました)、振付が良かったのが小笠原健雄選手と山本高士選手、ジャンプが良かったのは小川泰夫選手といったところでしょうか。と書いていても誰一人知らないんだが。
あ、そうそう、事前に教えてもらった関徳武選手は、全て平均以上でバランスがいいなと思いましたが、今回はちょっと調子が悪かったよう。でもカッコイイので人気があるのも頷けるな。
番外編として、天井から物が降って滑走をやり直したり(すわ陰謀か!?)、フェンスに激突したりする選手もいて、結構珍プレーでも笑わせてもらいました。
男子シングルSP結果(朝日新聞より) |
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1位 | 田村岳斗 |
2位 | 鈴木誠一 |
3位 | 関徳武 |
次はいよいよ女子SP。総勢27名のシニア選手がエントリーしており、4時半から8時まで2回も製氷を挟んでの3時間半は長かったー。それに日が暮れてからは寒いし。まるで二百三高地にいるよう(というのは大げさだが)。おかげで面白かったけど疲れました。
エントリーは27名と書きましたが、プログラムには28名載っていまして、その一人欠場したのが村主章枝選手。プログラムを見たときは「おおっ!生で村主選手の演技が見れる!!」と興奮したのですが、最終グループの練習に出てこなかったのでガックリ。まあ、スケート・カナダで2位になったからしょうがないか。こんな小さな大会に出てもねえ。それよりたっぷり休養を取ってNHK杯で頑張ってくれればいいです。
さて、そんな超目玉がいない大会でしたが、他にも注目する選手はいっぱいいました。まず、名前だけよく聞いてはいるものの、演技を見たことのなかった金沢由香選手と種田久美子選手が見れたことが嬉しかったです(SPは2人ともイマイチな出来でしたが)。後は、振付がよかったのが佐野智美選手、シャープな演技の大塚路子選手、まとまりのあった藤野有未選手、ビラビラ衣装とスパイラルが美しかった永桶紘子選手、といったところでしょうか。そして、私が一番良かったと思ったのが高橋香奈子選手! シンプルな赤のドレスのコスチュームが超似合っていて華がありました。それに演技の方も表現力はあるしジャンプの質は高いはで驚きました。でもプロフィールを見れば、97年全日本選手権6位、97年東日本選手権1位ですから、立派な実績なんですよね。知らない私が馬鹿でした。
さて、これで第一日目は終了。余談として、アナウンスの女性が「失礼しました」といって訂正するのがやけに多かったなあ。
女子シングルSP結果(朝日新聞より) |
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1位 | 藤野有未 |
2位 | 山内麻里 |
3位 | 永桶紘子 |
<第2日>
午前中は公式練習だったのですが、前日の疲れが尾を引いて、とても見る気にはなれませんでした。というわけで、11時からのアイスダンス・フリーから観戦。まあ、これは昨日と同じ眺めているだけ。
アイスダンス最終結果(朝日新聞より) |
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1位 | 都築奈加子&ファルクットディノフ・リナート |
2位 | 渡辺のぞ美&木戸章之 |
アイスダンスフリーに続いて11時半から男子シングルフリーの第1、2グループが登場。途中製氷を挟んで、第3、4グループが終わったのが2時半でした。
さて、注目の田村選手ですが、最終グループの1番目に登場。黒のズボンにオレンジ色のビラビラの上着と、相変わらず派手ですねえ。内容はアクセルジャンプを除けばノーミスの素晴らしい出来でした。音楽がミドルテンポで単調なので、下手すれば退屈になってしまうところですが、それでも見せてしまうのはさすがの表現力。やっぱり存在感がありますねえ。それにしても惜しいのはトリプルアクセル。3回転のコンビネーションはあれほど見事に決めるのに。前半に2回トライしたのですが、1回目は着地が不完全、2回目は転倒と失敗ばかりでした。でも、全然跳べなかった去年を思えば、回転はしているので1歩前進といったところでしょうか。後は着地だけですね。これが跳べれば、本田選手と互角に戦えるように思います。表現力を合わせると上を行くかも? NHK杯、全日本選手権と楽しみですねえ。
他にはTMR鈴木誠一選手が、身体能力に物を言わせてダイナミックな演技をしていたのが印象に残っています。関選手は、フリーもちょっと調子が悪かったようです。
そういえば、リンクに何か落ちていて滑走中断なんていうのがよくあったのですが、リンク際の真上に2階席があるもので、滑走中に何か落としてしまった人もいたようです。みなさん、注意しましょうね。でも、この作りのおかげで、リンク際の演技が見えなかったのは残念でした。
男子シングル最終結果(朝日新聞より) |
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1位 | 田村岳斗 |
2位 | 鈴木誠一 |
3位 | 竹村潤一 |
次はいよいよラストの女子シングルフリー。途中製氷を挟んで6時まで4グループが滑りました。
第3グループには、SPが不調だったため金沢由香選手と種田久美子選手が入っていたのですが、この2人の演技は素晴らしかったです。やっぱり実力があるんですねえ。特に金沢選手はジャンプも決まっていたし表現力があって、フリーでは一番の出来でした。ベージュ色の衣装に明るい曲調の音楽が丸っこい体つきにピッタリはまっていましたね。何か第二の佐藤有香選手という気がしました。願わくは、後半のストレートラインステップを工夫を凝らして見せてくれると、本当にいいプログラムになるように思います。種田選手は表現力が素晴らしかったです。丁寧な凝った振付で、赤紫の衣装が艶やかでしたねえ。見ていて心暖かくさせてくれる滑りでした。
そして、最終第4グループ。さすがにここら辺は実力者揃いなのか、衣装にも気合いが入っています。特に乳白色に青や金飾りの超ゴージャスな衣装の選手が目を引いたのですが、それはSPで一番印象に残った高橋香奈子選手なのでした。何かクワンが世界選手権で優勝したときのサロメっぽいなあと思ってプログラムを見ると、本当にサロメだったのでビックリ。演技の方も、ちょっとジャンプが失敗したものの、質自体は凄く高いし、表現力もあって良かったです。気品が漂ってましたね。他に目を引いたのは川崎由紀子選手これといって特徴はないような気がしましたが、レベルの高い演技を見せてくれました。
女子シングル最終結果(朝日新聞より) |
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1位 | 高橋香奈子 |
2位 | 金沢由香 |
3位 | 川崎由紀子 |
以上で大会が終了したわけですが、さて帰ろうと玄関の方に向かうと、途中のロビーでは選手達とかでごった返していました。私は関選手しかわからなかったのですが、多分知っている人にとっては狂喜乱舞するような状態だったのではないでしょうか。さて、そういえば田村選手は見かけないなあと思いながら階段を下りていくと、噂の張本人・田村岳斗選手がジャージ姿で駆け上がって来るではありませんか。しかし、あっと思う間もなく、一陣の風のごとく過ぎ去っていってしまいました。距離にして1m位でしょうか。いやー、貴重な体験でした。そういえば観戦途中で長久保コーチも見かけたな(すぐわかりますからね)。後、つり目の制服を着た女の子にも出くわして、一瞬「荒川静香選手か!?」と思ったのですが、多分人違いでしょうね(後に本人らしいと判明しました)。
<全体を通して>
男子、女子とも順当な結果だったようですね。もっと観客がいてもいいような気がしましたが、座席数から言って宣伝しないで賢明でしたね。去年の長野五輪後、同じく宮城県内の富谷町スケートリンクで行われたエキシビション演技は田村選手目当てのファンが押し寄せて大変だったとかスポーツ紙で読みましたが、さすがに1年も経つと沈静化してきたようで。
しかし、久方ぶりの本格的観戦は疲れました。以前に見たのは伊藤みどり選手が出ていたアジアカップ位で、1日で終わる小規模のもでしたからねえ。でもまあ、地方でこのくらいの規模の大会はそうそう見れるものではないですから、ラッキーだったといえるでしょう。それにしても、こういう小さいリンクしかないんだったら、宮城でNHK杯開催は無理だろうなあ。有望な選手はいっぱいいるのだから、宮城国体に向けてどこかに大きいリンクを作らないものだろうか。それがダメでも岩手アイスアリーナでまた開催して欲しいな。前回は見に行けなかったけど、次にやるときは絶対に見に行きますから。
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1998年NHK杯テレビ観戦記
<ペア>
ベレズナヤ組が優勝しましたが、丁寧で滑らかな演技はやはりピカ一でした。ダイナミックさでは中国ペアの方が上ですが、今回はちょっと調子が悪かった上、やはりベレズナヤ組と比べるとまだ少し荒さが目立ちますね。ちょっと男性が女性をブン回すのが何回かあって気になりました。それにしてもアナウンサーの人、ベレズナヤ組のことを「世界一美しいペア」と連呼しすぎです。確かに美しいですけどね。彼女のファンなんだろうか。
<アイスダンス>
アニシナ&ペーゼラ組はやっぱり他と比べて雰囲気が違いますねえ。ステップは皆目分かりませんが。まあ、相変わらずダンスは見て楽しむだけでした。
<女子シングル>
何と言っても村主章枝選手の3位入賞おめでとうございます!
ホント、スケート・カナダの好調をそのまま持続していた感じでしたね。体が切れていて、スピードがありました。ジャンプも高くて完璧だったし。表情も良かったですね。あの笑顔を見ると氷上がパアッと明るくなるような気がしました。それに、プログラムもいいですよね。彼女の明るい感じがうまく出ていました。
それに対して荒川静香選手は今シーズン不調ですね。ジャンプもあんまり決まっていないようでしたし、何と言っても体の切れがないような気がしました。アメリカ留学で疲労がたまっているのでしょうか。おかげで本放送でフリーは見れませんでした。総集編でチラッとやりましたが、ぶった切られていたし(日本人選手ぐらい全部放送しろよNHK)。おかげで今シーズンのフリー・プログラムはまだ一度もちゃんと見ていません。グランプリ・シリーズ前半ハイライトでも映さなかったし。生成が悪いと仕方がないのかな。赤い衣装のムーランが合っているか早く見たいです。やっぱり全日本選手権まで待つしかないのか。ショート・プログラムを見た限りでは、個々の要素は悪くないのですが、全体的に見るとイマイチなんですよね。なんて言うのか、彼女独自の色がうまく出ていないというのか。やっぱり村主選手の動に対して、荒川選手は静のイメージなんですよね。笑顔は無理にはいらないです。それよりも、エレガントな美しさで圧倒させてくれるようなプログラムが見たい。かわいさが強調されるプログラムは合っていないのではないでしょうか。ま、今シーズンは試行錯誤の年として、成績は諦めましょう。世界選手権は村主選手に行ってもらって、10位以内を確保して出場枠を2つに増やしてもらいましょう。今シーズンの彼女なら可能性は十分にあります。
横谷選手もショート・プログラムしか放映しませんでしたが、私はあれ結構好きです。ヨーヨー・マの「リベル・タンゴ」と最新のヒットを使ってきたのはうまいですね。プログラムもタンゴに合わせて情熱的な感じでしたし。やはり復調するにはジャンプを性格に決めてこないとダメかな。表現力は十分あると思うのですが。やっぱりフリーも見たかったな。
優勝したマリニナ、私は長野五輪の時から妙に顔の笑いジワが気になって、それで記憶していたんですが、苦節25歳で主要大会初優勝ですか。よかったですね。ブチルスカヤもそうですが、こういうベテラン選手の活躍も低年齢化を防ぐ意味でも必要だと思いますので嬉しいことです。こういうところが体操とフィギュアの違いですね。個人的にあんまりプログラムは好きではないんですよね。あのアラブ風の振付は合ってないと思う。でも演技の質自体は文句ない出来でした。
スルツカヤは元気のいい演技じゃなくなったのが残念。調子もそんなによくなかったですね。グラマーナイスバディのギュスメロリも出てたのか。見たかったな。全体的に女子の放映時間が男子に比べて少なすぎ。頭にきてしまいます。
<男子シングル>
長野五輪は4回転を跳べた人が優勝という感じでしたが、もう4回転を跳べた上での勝負に入ってきてしまったんですねえ。3位までが全員4回転を跳んだという技術的にもハイレベルな争いでした。
そんな中で本田選手が2位! いやあ、やってくれました。本当にいい演技でしたねえ。見ていて鳥肌がたってしまいました。4回転もさることながら、プログラムがいいし、表現力が格段に進歩しました。やはりアメリカ留学の成果ですかねえ。音楽が「仮面の男」で騎士物ということもあり、ちょっとキャンデローロの「三銃士」にかぶっていましたが(剣さばきしながらのステップとか)、キャンデが「プレイボーイだけど愛する人のためには命を投げ売ってでも戦う騎士」という感じなのに対し、本田選手は「熱血漢で純真な新米の騎士」という感じがして、これはこれで自分の持ち味が出ていたかなと。でも、騎士物ってプログラムが組みやすいですよね。アクションもあればゆったりした宮廷舞踏会のシーンとか入れられてメリハリがつけやすいし。ワルツの振りでニカッと笑った本田選手の笑顔が印象的でした(うーん、アメリカナイズされて芸達者になったなあ)。しかし、これは今シーズンは期待できますね。世界選手権での上位入賞も十分期待できるでしょう。
一方の田村選手、出来は悪くない気がするんですが、点数は伸びませんねえ。あの単調なプログラムが印象悪いんだろうか。女性ファンには好評そうなんだが。まああれは彼の趣味なんでしょうね。オリジナリティは出てると思うので、今のままでいいと思いますが。でも、トリプルアクセルもどんどん降りられるようになってきているので、まあ今年はそれがマスターできればいいんじゃないでしょうか。
3位の中国の李選手は4回転のコンビネーションとかジャンプはよかったですが、まだちょっと全体のプログラムがイマイチかな。これでプログラムがよくなると相当手強い相手になりますけどね。できればショートプログラムの「孫悟空」も見てみたかった(そのまんまやんけという意見もありそうだが)。
優勝したプルシェンコはもう、別次元という感じでしたね。ジャンプも完璧だし、あの後半に入ってのステップの早いことと言ったら(でもちょっと荒削りな面も)。これは世界選手権の優勝争いが楽しみです。
<全体を通して>
女子シングルはちょっとミスが多かった気がしますが、男子シングルは本当にハイレベルな戦いで見応えがありました。
ただ、放映時間の少なさが一番の残念。せめて日本人選手は全部映してくれよな。それに総集編は深夜にもっと時間をとって放映して欲しい(BS偏重はやめてほしい)。
余談ですが、解説の佐藤有香さん、夫のダンジェンさんのことを振られると照れてるのが可愛かったです。
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1999年オープンフィギュア大会テレビ観戦記
初めてプロアマ参加のオープン大会を見たんですが、なんかイマイチのれなかったですねえ。プロとアマでは次元が違うというか・・・同じ舞台で戦うのはあんまり意味がないんじゃないのかなあ。順位を争う真剣勝負というよりは、いい収入のエキシビション・ショーといった感じ。芸術性重視と言うんなら、いっそ技術点なんかなくせばいいのに。
そんな中でもカート・ブラウニングのピエロのプログラムにはビックリ! プロというと技術的に衰えたのを派手なプログラムで誤魔化すというイメージが強いのですが、彼の演技はまさにプロならではといった感じで感服するばかりでした。ああいう演技は本当に技術がないとできないでしょうからねえ。
その他では、今年初めてクワンが見れました。ショートカットもなかなか似合っているんではないでしょうか。相変わらずうまいですねえ。プログラム自体は個人的にはあんまり感動しなかったんですが。これは世界選手権2連覇も濃厚かな。
それから久しぶりに滑っているところを見た佐藤有香選手。いやあなんかすごく色っぽくなってますねえ。グラマラスだし。プログラム的には、やっぱりもっとステップが見たかった。彼女には落ち着いた曲よりも明るいテンポのある曲が似合ってると思うな。
余談として、やっぱりフジテレビはフジテレビだった。相変わらず大げさな形容詞使ってるし。語感がいいからって間違いがいっぱいあったんじゃないかなあ。八木沼さんの解説は初めて聞いたけど、演技同様さっぱりサバサバしてますねえ。歯切れ良い。有香さんの解説も、伊藤みどりさんの解説も、本当に滑りの時のイメージがそのまま出ていて面白いです。
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1999年全日本選手権テレビ観戦記
まず、今年のテレビ放送、男子シングルファンの方々は怒ったでしょうねえ。あんなダイジェスト版で放送されるとは。優勝者さえも全部放送しなかったんですから。最初から「全日本選手権(女子シングル生中継)」とでもカッコ書きしとけばよかったのに。
さて、試合の方ですが、男女とも予想外の展開でしたねえ。
男子シングルは、本田選手がまさかの棄権! だからオープン・フィギュアになんか出なければよかったのに。NHK杯の演技を見た後では、間違いなく彼が優勝するものと思っていましたから、残念。まあ、世界選手権代表は、怪我が治れば十中八九彼で決まりでしょう。10位以内に入れる可能性が一番高いですからね。また今シーズンは十分その実力が備わってきていると思いますし。
一方、そうなると優勝はもう一人の雄、田村選手で決まりかと思ったら、彼もまさかの出遅れ。やっぱり懸案のトリプルアクセルが失敗したんでしょうか。SP5位だったんで、フリーは逆転をかけて何と4回転に挑戦しましたが失敗。結局3位止まりでしたね。でも、夜のスポーツニュースで練習で成功した4回転を放映してたんですが、綺麗に決まっていました。3回転半より彼には簡単なんじゃないでしょうか。そのトリプルアクセルですが、今シーズンで大分降りれるようになってきたんで、来シーズンは4回転と合わせて期待大ですね。
優勝した竹内選手は、小気味いいジャンプをしていました。1回通しで見てみたいですね。感じとしてはオーソドックス型と見受けましたが。
次は女子シングルですが、今シーズンの調子からいっても村主選手の優勝は堅いんではないかと思っていたのですが、意外や荒川選手が2連覇を達成! 彼女を応援している私としては嬉しい限りですが、オープン・フィギュアで村主選手がちょっと調子を落としていたので、少しは可能性があるかなとは思っていたんですよ。でもこんなに早く復調するとは思わなかった。スケートアメリカの時とは見違えるような滑りでした。あの時は体も重そうだったし、演技もぎこちなくて、今シーズンは雌伏の時かなあなんて思っていたんですよ。プログラムもイマイチみたいに思えましたし。でも、単に調子が悪かっただけなんですね。今回はプログラム自体も滑り込んでよりよいものにしてきたように感じます。フリーの「ムーラン」は単調な感じがしてたんですが、前半にコンビネーションジャンプを3回連続でもってくることで、うまく後半のスローパートとの対比を出せていたと思います。さしずめ、前半が男装で戦う勇ましいムーラン、後半が女性であることがばれて本来の女性らしさを取り戻したムーランといったところでしょうか。今回の滑りを見ていて、やっぱり彼女の持ち味はジャンプ、しかもトリプル・トリプルのコンビネーションだと再認識しました。日本では現在彼女の専売特許ですし、世界でもこれを決める選手はあんまりいませんよね。十分世界で戦える武器だと思います。しかも、去年も見せたルッツからのコンビネーションの他に、フリップから即ループに移るリピンスキー張りのコンビネーション、そして今回成功したトゥループからのコンビネーションと多彩ですねえ。特にあの連続ジャンプには感激しました。他にスピンもなかなか綺麗ですが、今後の強化ポイントとしては、スパイラルとステップのような気がします。スパイラルは筋力がないせいか不安定ですね。ステップも、ちょっとゆっくり見えますし。芸術面はよくなってきたときたと思います。手の動きも滑らかでしたし。但し、音楽に合わせて表現するという面では、今シーズンのプログラムはちょっと不十分かなと言う気がします。その点では村主選手の方が一枚上ですね。世界選手権に行けるかまだわかりませんが、今シーズン一番の滑りを見せてくれたので、個人的には満足しています。来シーズンの成長も楽しみになってきました。
一方、またしても荒川選手に敗れてしまった村主選手、悔しいでしょうねえ。でも去年も今年も自分のミスで負けているんで、結構プレッシャーに弱いのかな。国際試合の方が負けて元々と力が出せるのでしょうか。今年は調子が良かったし、プログラムもよく、演技も大人びてきたので、ノーミスで滑れば多分彼女が優勝していたとは思うんですが。表現力は荒川選手よりもうまいと思いますし。でも、グランプリシリーズ・ファイナルもありますし、もしかしたら世界選手権も行けるかも知れないので、気を落とさずに頑張ってほしいですね。私は、女子シングルは出場枠拡大が至上命題だと思っていますので、10以内に入れる可能性が高い方を世界選手権に出すべきだと思います。
他の選手としては、横谷選手はプログラムが非常に練ってあったので、ノーミスで見てみたかったです。かつての第一人者ですが、まだまだジャンプの調子は取り戻せていないようですね。紺地に金飾りのゴージャスな衣装で登場した高橋香奈子選手はなかなか表現力があったんですが、惜しむらくはジャンプでミスが目立ちましたね。東日本選手権優勝の時よりもちょっと緊張していたようで残念。金沢由香選手もジャンプを失敗していましたねえ。フリー1位だった東日本選手権の時のような滑りを期待していたんですが。明るい曲調で滑るのは合っていると思います。彼女には佐藤有香選手に近い物を感じますね。後、笑顔が印象的だったのは種田久美子選手。ジャンプが失敗しても逆に笑顔になるのを見て感動してしまいました。何か、リンクから暖かい風が吹き込んでくるよう。私は勝手に「和製ジャネット・リン」と命名してしまいました。多分、彼女も種田選手みたいな印象を与えたんではないでしょうか。演技も表現力があって、優雅でやわらかいですよね。今度の国体でも優勝しましたし、テーマである「笑顔」のスケーティングを伸ばして、今後も活躍していって欲しいです(荒川選手のクール・ビューティとは対照的だなあ)。
最後に、今年の女子シングルは全選手を知っていたので、従来以上に楽しめましたね。荒川、村主、横谷選手はテレビでお馴染みですし、高橋、金沢、高橋選手は東日本選手権で生観戦したとき注目した選手ですし。6選手それぞれ個性があって、見応えあるフリー最終滑走でした。
PS.それにしてもエルドリッジってプロになったんじゃなかったの?
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1999年世界選手権ヘルシンキ大会テレビ観戦記
宮城では日曜日に女子シングル・フリーの最終グループの中継、日本人選手のフリー、後は男子シングルとペアとアイスダンスの優勝者のフリーを放送するといった形でした。関西や関東では連日放映があったんだろうか? だとしたら羨ましい限り。
さて、まずは何と言っても本田選手6位入賞おめでとうぞざいます! いやあ、男子シングルで日本人選手がこんなにいい成績を取ったのはいつ以来でしょうかね。資料を見ると’94年の幕張大会の鍵山選手の6位以来ですか。それもSPで4回転を失敗してのこの順位ですからね。安全策で4回転を跳ばなければもうちょっと順位が上がってたかもしれませんが、このチャレンジする姿勢がフリーでの好成績につながったと思うので、まあ仕方ないですね。しかし、ホントに世界の強豪の1人という感じになってきましたね。アメリカ留学は大正解といっていいでしょう。技術も上がったけど、それにも増して表現力がアップされた気がします。今年のフリーのプログラムは素晴らしかった。
男子シングルはヤグディンが優勝したんですね。2連覇ですか。今年はプルシェンコかなーと思っていたのですが、頑張りましたねえ。3位がワイスで4位がストイコ。ストイコはやっぱりまだ膝とかの怪我が思わしくないのかな。元祖4回転の底力をまた見せて欲しいですね。
それにしても村主選手の20位にはショックでした。今年は1年を通じて安定した成績を残していたので、余程のことがない限り10以内は間違いないと思っていたのに。予選も6位とかだったから期待していたのになあ。フリーを見ると、全日本と同じフリップでミスしてしまいましたね。しかもその後が全日本より悪いし。うーん、やっぱり徐々に調子が落ちていってたのかな。それともプレッシャーに弱いのだろうか。ここ2年は全日本でも自分からミスして優勝を逃しているし。それを考えるとやっぱり徐々に調子を上げてきた荒川選手が行った方が良かったかもと思えてきてしまいます。代表が決定したときは村主さんで納得したんですがねえ。とにかく残念。これで来年も出場枠は1人か。村主選手か荒川選手のどっちかしか行けないわけね。熾烈だ・・・。とにかく、来年は選考基準を早めに決めて欲しいですよね。全日本の一発勝負で決めるのか、シーズン通しての成績で決めるのか。
さて女子シングルですが、ブチルスカヤが見事初優勝。クワンが不調だったとはいえ、フリーの演技は技術的にも芸術的にも完璧な出来で、文句なしの優勝でした。私が見た中で一番いい演技だったような気がします。最終的にクワンは2位に入りましたが、フリーのプログラムはそんなにいいとは思いませんでした。タンゴなのに、ちっとも情熱が感じられず、やっぱりプログラムが練り切れていないなあという印象。3位にはロシアの新人選手が入りましたね。スルツカヤやソコロワの名前が見えないと思ったら、出場していなかったのか! それでいきなり3位に入ってしまうんですからロシアは層が厚いですねえ。ただ、個人的にはジャンプは素晴らしいですが、表現力という点では、そんなにいいプログラムでもないがなあという気がしましたけどね。それよりも私はギュスメロリの怪盗をモチーフにしたプログラムが好き。みんな曲に乗せて綺麗に踊るという感じで似たり寄ったりの所にこういうプログラムを見せられると新鮮。さすがフランスの選手という感じ。今期絶好調のマリニナは、フリーは好調でしたがSPの順位が響いてメダルを逃してしまいましたね。残念でした。レクリオはもうちょっと個性を出したプログラムにして欲しいな。せっかく実力はあるのに。
ペアはベレズナヤ組が連覇か。手堅いなあ。この前のグランプリ・ファイナルがボロボロだったので、もしかしたら中国ペアかとも思いましたが、ここ一番には強いですね。
アイスダンスはわからないのでパス。
あーあ、しかしこれで今シーズンも終わりかあ。男子シングルは来年出場枠2人ということで、田村選手も出られるかも知れないし、ファンは楽しみでしょうねえ。それに比べて女子シングルはまたしても下位に低迷。来年は村主選手も荒川選手ももう1段成長して、どちらが出てもトップ10間違いなしというようになってくれると嬉しいなあ。見る限り、女子で3回転−3回転のコンビネーションを跳んでいたのはロシアの新人ただ1人。だから、荒川選手の3回転−3回転のコンビネーションは十分武器になるはずです。プログラムも含めた表現力が上位選手並になれば、十分通用するはず。頑張ってほしいです。
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