音質低下の少ないプリアンプ(音量調整)への挑戦 アルプスRK501の実力検証

高音質・高精度ボリューム RK501□□型の性能を出しきるために

私自身、今回の実験では、驚きの連続です。CDの音質は、良い録音のものであれば、なおさらです。出来るだけ多くの近隣諸氏に試聴いただいていますが、その音質傾向は誰にでも実感いただけるものと確信しています。逆に言えばプリアンプが音の鮮度低下を招いている場合も少なくはありません。
私の嫌いな個人による感想を入れていますが、このボリュームの個人感想ととらえてください。

下記記載は煩雑ですが、お読みいただければ幸いです。


はじめに
 余計な増幅回路が入れば、そこで音質低下が発生することは、良く知られていることです。どんな優秀な増幅回路であっても同じことが言えます。デスクリート回路であっても、モノリシックIC(オペアンプ)回路であっても音質低下には、同じことが言えます。そこで増幅回路を省いたパッシブボリュームやパッシブアッテネッターという考えが生まれて、ご使用の方も少なくはありません。今回は、出来るだけ音質低下が少なく、ケーブル等の影響も受けにくい増幅回路入りボリューム(プリアンプ)を製作してみました。そして現在、試聴データーを収集中です。集めたご意見を優劣問わず公開いたします。試聴結果は下の方にあります。物理的特性に表れない音質差は不思議であり面白いものです。メーカー品を音質で凌駕出来る可能性が見えてきました。

RK501ボリュームをせっかく入手しても、まだ使われていない方、これからご検討する方のご参考になればと思います。この当方製作ラインバッファアンプ基板は、他のボリュームやアッテネッターの後ろに入れても効果はあります。パッシブプリ愛用の方も追加して音質改善されています。

プリアンプとは何でしょうか?
 音量可変、音質調整(トーンコントロール)入出力の選択、古くはレコード再生のイコライザー、テープ再生のヘッドアンプ様々な役割がありました。それらは微少電圧を扱うのでプリアンプの性能は大変重要でした。現在はCDを筆頭に出力電圧も大きくその時代のようなゲインのアンプは不要となりました。しかし過去のものとばかりも言えません。ボリュームの後ろに性能の良いアンプが付くと断然、音に元気が出ます。こればかりは聴いてみないと判りませんが。まず古い年代の市販のプリアンプを見てみましょう。あえて型番は記載しません。ご想像ください。いずれも著名な銘機です。評判が良かったもの程、シンプルな構成です。そしてオペアンプの採用が目立つことがお解りいただけるでしょう。配線の手法もご覧ください。現在の高級プリアンプの中身は、ラインレベルアンプになり、回路構成的にもバランス型となっているものが多いです。


まずは市販のプリアンプの中身を見てください。

ハイエンド向けのプリアンプ(海外製品)。ボリュームはアルプスRK40が、採用されていた。増幅回路はオペアンプNE5534ANのみ。写真は最新のものにICが交換されているが、元のICにはシールが貼ってあり名前が見えないようになっていた。ICソケットなので自己責任で差替えして遊べる。この上位機種も同じでグライコ分の回路が多いだけでオールNE5534。まさにオペアンププリだ。自作プリで5534が入っていると、なんだと笑われるが、このメーカーだと笑われない。ブランド名のご加護というものだ。そういう先入観を持つのは良くありません。しかしこのメーカー好きの方々は、このICは一般のものと違うなどとなぜそんなにもかばうのだろう?
国産中級プリアンプ回路部分はプラスチックで覆われている。入力はDUAL FETでまともなデスクート回路なのに、DCサーボにICが入っているだけでなんら問題ないはず、引け目があったのだろうか?それともSS誌対策か?いずれにしろ評論家の無責任発言対策だろう。メーカーは、振動に対する音質対策と言っていたはず。ボリュームはもちろんアルプスRK40。入力の切替は長くならないように青いスイッチの延長板で判る。実は、昭和40年代からメーカーアンプはロータリースイッチは後ろの方にあり軸が丸棒で延長されていた。遡れば1950年代の製品にも見ることが出来る。そういえば、ネットで検索すると、某国内ハイエンドメーカーの製品にNJM45○○が入っていたなどと得意げに晒しているのを見るが、DCサーボなどに汎用オペアンプが使われるのは当たり前のこと。
国産昭和42年製プリアンプ、デスクリート回路シリコントランジスタ32石。7バンドグライコ(SEA)付き。
手前のシールドボックスがインダクタの入った箱。まだまだ球やゲルまニュームトランジスタ主流の時代にシリコントランジスタの採用
ハイエンド向けのプリアンプ(海外製品)。入力切替はアナログスイッチ(FET)ここでもボリュームはアルプスRK40が、採用されていた。増幅回路はオペアンプ。5バンドイコライザー付き。面白いのはコンパンダー/エクスパンダー機能まで付いている。説明書には規格から外れる場合は返品にも応じると書くくらいのプレシジョンアンプ。ただし0.02%以下のひずみと20Hz〜20KHzの帯域特性。
トランジスタ構成の33.3V外部電源方式プリアンプ海外製品。ボリュームはアルプスRK27に交換されている。NE5534がこれにも入っているが、バランス調整を単連ボリュームで行っているのでパンポット回路のようなところに採用している。端子部までシールド線の配線がない。入力切り替えスイッチまではプリントパターンで引かれている。バックパネルまで全部プリント基板。シールド線はここでも使われていない。シールド配線は使いようによっては音が悪くなるのは確かだ。しかしアマチュアのパッシブプリ自作はシールド線を使うと音が良くなるとばかりに、太い最上川音頭などが、これ見よがしに使われているのを見かける。内部配線は両端シールド落としではなく片側落としも重要だ。このようにメーカーアンプは、配線の合理化意外に音質を考慮してのこと。わずか数センチの配線に太いシールド線は不要、普通のコードでOK。
当時マークレビンソンが買えない人が買ったと言われたこともあるそうな、ハイスピードプリアンプ。本機は初期型で、これまたIC(オペアンプLM318)確かにハイスピード汎用オペアンプです。のちにLF357の採用となる。A&BのVRが使われているがこの個体には東京コスモスの60dBATT(1977製)が入っていた。推測だが当時の連動誤差は日本人には、許せなかったはず、それで交換されたのかも知れない。詳しくは知る由もない。入出力の配線はアースサンドイッチのフラットケーブル。
国産管球式プリアンプ。いわゆるマランツ#7型EQ回路。フォノを使わない場合、電源不要。パッシブATT構成(東京光音製ATT採用)写真では判りにくいが入出力はいわゆるフラットケーブルと一部にシールドコード。
ハイエンド向けのプリアンプ(海外製品)この時代はまだボリュームは、海外製
日本製部品は見当たらない。ハイブリットICが採用されている。
ICと言っても複合部品と言った方が良いかも知れない。
国産プリアンプ。値段分きちんとお金をかけて作ってある。これだけ日本は、真面目である。ライン専用でバランスにも対応している機種である。

参考写真 一番上がRK-501試聴用に今回製作した音量調整器(バランス対応型)試聴用に製作したので外観意匠に関しては、イマイチいただけません。高級ケースに納めないのがかえって試聴では良い。視聴となると外観も影響する。所有欲をそそる外観にすると、このまま持っていかれる可能性が高いことも・・・。

中身を見ないで音で評価されていた時代
一通り往年の銘機の中身を拝見した訳ですが、70年代からオペアンプが採用されていたことがお解りいただけます。そして採用ボリュームは、やはりアルプスです。長らく音質が良いと絶賛されて来た訳であります。オペアンプだからダメとかデスクリ構成だから良いという訳ではないことが分かります。それでは、最新オペアンプで作れば良いということになりそうですが、オペアンプ交換して(装換と言うらしい)変わる差は、そんなに大したことはありません。誰が聴いても音質が向上したと分かるくらいの物を製作しなくては、面白くありません。私はオペアンプ回路を超える奇抜な回路は、そんなに無いと思っています。しかし音質向上のためには、回路、実装的試行錯誤と試聴も重要な項目です。

最高クラスのボリュームの性能を生かすために
これに採用したフラットアンプは、製作試聴を繰り返し、オペアンプを使いながらも工夫によりデスクリート回路の良いところを併せ持つ、音質劣化の少ないものです。それを使いアナログ音量調整装置として製作してみました。そもそもの始まりは色々なVRによる音質差の確認から始まっています。ボリューム単体での比較では、どうしても接続機器の影響が出ます。まずは、比較検証用ラインアンプの製作でした。(パッシブ音量調整器参照)今回は最終確認として最高峰のボリュームRK501の採用のラインアンプです。このRK501を使う(実験)には、本当に勇気が要ります。失敗したら製品価格からショックは大きいです。このボリュームの性能をいかすには、それ以上のラインバッファアンプが必要なのは言うまでもありません。このボリュームの性能を生かせないラインバッファアンプでは意味がありません。パッシブで使うより音質的影響が出ないようにすることが目標でした。結果、高級プリアンプをも凌ぐ音質に仕上がっています。最終的には心配を大きく裏切ってくれました。


これがRK501 10KΩ4連。はたして希望の音は出るのだろうか?特注で6万3千円也。通常は2連で済むのでおおよそ半額。
基板用の端子で1ミリ幅のピンだ!。パッシブ派の人はこんな高価なボリュームの根元に極太のシールドを使う。熱と機械的ストレスが相当かかるだから中古は、使えない。未使用の物でヤフオクに出たら絶対買いだ!
これが今回採用のフラットアンプ基板。私としては、音質的に気に入っている。聴感上の評判も良い。滅多に使わないガラエポ基板(賞味期限が切れそうだったので今回は採用しただけ)バランス対応なので実機では2枚使用した。フラットアンプの挿入は、とにかく力強い音になる。

部品をまとめて購入したのである程度まとまってペア組部品が取れました
お安く基板は提供できます。15,000円
全く同じ回路のフェノール基板。音は同じです。人によっては違いが判るのでしょうが・・・・
普通のアンバランスでの使用は、これ一枚でOK。
何枚も製作して、試行錯誤の上、完成したものです。回路図は下記ブロック図をご参照ください。定数の公開はいたしません。FET OPAMP TRでの構成です。回路図のご請求には応じられません。写真で見ると高い基板と思う人もいるが相当安いつもり。部品代は相当かかっている。拘りで全て日本のメーカーの部品を採用している。
ご予算的なお話(ここが一番の問題か?)
2チャンネル アンバランスの場合 (試聴実機は2チャンネルバランス)
ボリューム           3,6000円位
ツマミ              2,000円
基板セット特価期間限定 20,000 この基板のみは18,000円
ケース            5,000〜20,000  適宜
入出力雑材、電源トランス   5,000
ご自分の労力含まず

6万6千円〜で作れる訳です。昭和の時代の中古を買って、ノスタルジーに浸るのも良いですが、音を聴くともう戻れないと思う方が多いです。
騙すつもりは全くありませんが、騙されたと思って製作してみると真実がお解りいただけます。何しろRK501採用機種は100万もするのですから中古でもまだまだ高額です。

音量調整器の基本構成


上図のように、RK501高音質ボリュームの性能を接続される機器での影響を受けないようにするのがフラットバッファアンプの役割です。ボリュームが良くてもフラットアンプが良くても片方だけではだめです。相乗効果で高音質が期待されます。ボリュームの性能以下のフラットアンプでは意味がありません。


プリアンプ(フラットバッファアンプ基板ブロック図


試聴実機の構成
せっかくの4連ボリュームなので、バランス対応とした。アンバラでは、ホット側を使えば良いだけだ。アンプ基板は写真では分かりにくいが2階建で構成。電源はハムが出なければどうでも良い。こんな汎用電源トランスでも実用になる。
2009/10/14製作

完成機試聴(個人による感想なのであまり意味がありませんが)ほとんどの方が同じことを言うので傾向は判ります。

自分で聴いて、サイコーと言っていたのでは某誌ライターと同じですが、音を出した瞬間。これは大変なことだと実感しました。この違いをわからない人はまずいないという自信を持ちました。解像度が高く余韻がとても良いのです。そのため定位感が増し、楽器の位置やボーカルのセンター定位などを実感できました。またボリュームを絞っても音痩せしないので、一人で夜中に、にやけてしまいました。これに入力セレクタを付ければプリアンプの実用品となるわけです。

注意しなくてはならないのが、あまり一人で同じ曲で試聴を繰り返すとゲシュタルト崩壊してしまう可能性があります。

第3者による拙宅での試聴

新しいものを作ったので、何も言わないで聴いてもらうということで、数人にそれぞれ来宅のお願いをした。テスターは私を含め、いわゆるクソ耳親父です。それでも何これ状態。なんでこんなに違うとなるとなる。違うと言ってもこの状態では良いも悪いも判らないので恐る恐る感想を聞くと、答えは私が夜中に聞いたのと全く同じ。言い方こそ違うが同じ意味でした「スカッとする、音が伸びる」。偶然の一致もあるので、別の友人を呼んでも同じ、やはり解像度の向上が一番なのかも知れません。、それを繰り返すこと4人、全く同じ内容の結果となりました。内1名は多少違うのはわかるが、理論的根拠が無いので納得できないという結果がありました。それを差し引いたとしても、あいまいなオーディオ界でこれだけ一致することは通常考えにくいことです。試聴感想を聞いた最後に、アルプス涌谷のRK501使用だと中身を明かす訳です。訳は、製造工場は側近の地元なのとボリュームの外観がこれだけのものなので、フラシーボ効果抑止に試聴前に特に明かせない事情があるのです。中を見た途端大抵の人は、ボリュームの威力と思いますが、それだけではないのですが、やはりこの高級ボリュームの風格はあります。だから見せないで聴いてもらうのです。さらにオーディオに興味のない人に聴いてもらっても、余韻による臨場感があり、聞こえない音がはっきり聞こえると、同じ意見をもらいました。

こうなったら怖いがお宅訪問他流試合

金田式製作愛用者。仙台市 AYさん 
これは勇気がいる。解像度では中々勝てない金田式です。相当先入観があるし、無名なこのプリに勝ち目があるのか?差が出るのか?ここでもはっきりした差が出ました。解像度が高い1枚ベールが取れるといった結果です。金田派もRK501ボリュームを買おうか悩んでいます。

スーパーハイエンドなお宅訪問 仙台市Mさん
面識の全くない方ですが、ご紹介いただきまして聞いてもらいました。20畳以上はある大きな部屋、ハーツフィールドが鎮座し、43シリーズやJBLオリンパスがとても小さく見えます。あれだけのシステムをお持ちですから、相当数の著名器機をご使用になっています。そんな方でさえ唸ってしまいました。感想はやはり同じ、音階が聴き取れると好評。アキュフェーズのDC-300の後ろにつないでも、劣化は感じません。

マッキン C22+MC275 3台使用マルチ宅訪問 石巻市Tさん
音像が広く、音の密度が甘いとダメだしを受ける。規模の小さいシステムなら良いだろうとのこと。もちろんこのような評価になることもあります。
しかし、これは正しい評価と受けることもできます。解像度が高い音は分離が良く、そういう表現もありでしょう。

ラックスC7 プリ 3ウェイマルチ宅 石巻市Hさん
今まで聞こえない音が聞こえる。分解能が高い。ラックスプリのこのVRの入った上位機種を買っておけば良かった。アナログレコード主体の方ですが、CDにもこれだけの音が入っていたと驚いていた。

3ウェイ超大型オリジナルマルチアンプシステム(オーディオ専門店) Nさん
規模的には怒涛のマルチと言えます。 パイプオルガンの超低域で破鍵しない独自システムをご使用。
解像度の高い音とやはり同じ感想をいただく。話を伺うとRK501の開発時、エンドユーザー評価に近い聴感特性追及のために、設計者が訪れアドバイスしたとのこと。

東京都Yさん(現品発送の試聴です)
実家のマルチシステムに組み入れでの試聴結果ですが、私室での試聴結果と おおよそ傾向は似ており、やはりオペラの歌声はRK501プリの方が質感がよかったで す。もっと端的にいうと厚みがありまろやかな声に聞こえました。他の楽曲でも、重 心が低く低音が豊かな厚みのある傾向の音質で、いわゆる高級機器音質です。それらの音質差は驚く程大きいものではありませんが、差異は明確にわかりました。 また、決して双方に優劣が判定できるグレード差はありませんでした。 それにしても、ボリウムの違いはマルチシステム再生音にて違いがわかる結果でした。

小さい文字で健康食品、健康補助商品、化粧品、育毛、発毛などの広告よろしく、「個人による感想です。全ての方に実感できるものではありません」が多すぎます。オーディオ界では「再生環境により異なりますので・・・・」といったことが普通になっています。オーディオ製品は何処へ持っていって聞いても同じ傾向が出るものです。好みの個人差を超える結果をこれからも真摯に検証していきたいと思います。
試聴の最後に内部のRK501を見せていますので、どなたもRK501だけを入手すれば良いと考えるようです。それだけではありませんのでご理解いただければと思います。


電気的特性を表示します。
(試聴テストには関係ありません)機器内部と特性を先に見ると視聴テストになってしまいます。
出力2V時の歪率データー(ボリューム+専用アンプ通過のデータ) 

Ch/周波数 100Hz 1KHz 10KHz 備考
LEFT (%) 0.0001 0.0011 0.0011 (A)補正
RIGHT(%) 0.0001 0.0011 0.0011 (A)補正

S/N比(A) L 100dB R 99dB

周波数特性
10Hz〜90KHzフラット値 -3db 170KHz


アルプス電気 PRODUCTS INFORMATIONからの引用
≪高性能を凝縮して、ピュア・サウンドを追及≫
高音質・高精度ボリューム RK501□□型
製品の概要
デジタルソースの普及により、ダイナミックレンジや周波数特性などの高音質化を実現できる情報ソースが身近に得られるようになった。このためオーディオ機器では、これらの情報を忠実に再現できる内部回路や高音質部品のニーズが高まっている。特に音量コントロール用のボリュームにおいてはその注目度も高く、重要な部品の一つに位置づけられる。
これらの要求に応えるべく、要素技術を根本から見直すことにより、評価手段として従来の物理特性だけではなく、エンドユーザーの評価により近い聴感特性をも重視し、材料から形状まで幅広い開発をおこない、@高音質A高特性B高品位を実現した高音質・高精度ボリューム RK501□□型を開発した。