新しい感光剤になってからのプリント基板作り(また新しい感光基板が発売になりました。これも古い基板の作り方です)

サンハヤトの感光基板が新感光剤になってから、結構失敗ばかりしていました。それは昔の製作方法から抜け出ないためでした。高精度化対応のため、条件が整わないと上手く出来なくなりました。コツを掴めば古くから感光基板で作っている人なら昔取った杵柄です。なんとかなります。ただし太陽光では難しいようです。昔、初歩のラジオなどの付録パターン図で焼く感覚は捨ててください。これからの基板つくりの参考にしてください。
失敗しないためには、ライトボックスや、ちびライト2などの設備投資(企業ならともかく趣味ではこの程度でもそう呼びたくなります)が必要です。長く使えますので思い切って買うのもよいかと思います。
フィルムはサンハヤトから出ている専用のものを使い、印刷ムラの出ないインクジェットプリンターを用意します。CADデータで印刷すれば良いのですが、パソコンと適正プリンターが無いと先に進みません。今は部品の小型化で生基板に直接手書きの作成方法では無理があります。専用フィルムもA4サイズ3枚で1500円程しますので、あまり失敗できません。フィルムが出来たら次は感光基板に焼き付けますが、この焼き付け時間のさば読みが結構、難しいです。とは言うものの有効期限切れの新感光基板でも適宜露光時間を長くすれば使えました。期限切れは店によっては、安く売っているので助かります。ただし夏場には長い時間は禁物です。30度位の暑い部屋で作業した場合、長い時間の露光によりライトボックス内部温度が上がり基板にフィルムが転写したり、感光膜が変質してしまいます。


絶対守ること
@指定フィルムを使って印刷の仕上がりが良いパターンフィルムを作るA適切な露光時間B部屋の温度、この3点を守ればきれいに基板を焼付けできます。次に大事なのが現像温度です。従来基板より低い温度25度くらいにします。温度が高いと必ずといって良いほど失敗します。以前の感覚で感光時間を短くしても現像温度を高くして仕上げるなどの裏技は使えません。精細なパターンが可能になった分、お手軽に製作できなくなりました。まさか基板1枚作るのに設備投資はきついです。かといって業者発注するのも面倒だし、小ロットでは割高だし・・・・世の中に無いものを製作するのですからそのくらいの覚悟も必要です。穴あき(ユニバーサル)基板ではどうも納得できないそんな方はプリント基板を作りましょう。メーカーの基板のようには行きませんが、昭和の時代のプロ級くらいには、出来ると思います。

純正のフィルムに印刷したパターン図
印刷面はこれくらい濃く完全遮光できないとNG
メーカーではエプソンプリンター推奨
私の実験したところでは、PM-970C頃のものが濃く印刷できた。
キャノンはインクが極少のせいか薄いので、普通紙設定で印刷印刷すると良い。
以前の感光基板では使えた第二原図フィルム
印刷面は反対側にしているがこの程度のコントラストでも使えない印刷面の遮光はかなり濃いがNG。きもとの高価なフィルムでもNG
専用のライトボックスが失敗が少ないです。手のひらに乗らない大きさの基板はこのライトボックスが必要。
パターンフィルムと感光基板を合わせてテープで抑え
バキュームクランプで強力に吸引して密着させる。このため軽くテープで留めています。
青い線がフレームに引いてあるのは、裏技用。焼きむらが蛍光灯の間隔で出る場合があるので、余裕がある基板サイズの場合奥にセットして、数分おきに手前に引き出して、数分後また戻すことで均一に焼ける。
ライトボックスを点灯して焼きつけ開始。タイマーの精度がいまいちなのでクッキングタイマーでアラームを鳴らすと良い。ここで注意したいのがパターン印刷面と感光面が密着する場合(通常はパターン精度からこうなる)夏場に暑い部屋で、賞味期限切れ基板で12分とかの長い時間焼き付けしないようにしましょう。基板にパターン移行する場合があります。
縁の部分の色で焼け具合の判断ができます。足らないようでしたらさらに焼きます。
パターンがはっきり出ます。どうも旧感光剤色??最終ロットかもしれないガラスコンポジット基板(製造後14か月)12分間焼いたものこれなら使えるでしょう。
新感光剤色はこの色です。この感じだともう少し焼いても大丈夫です。これでも現像できます。焼いた時間は7分、製造後8か月経過
感光基板の色比較。ふちの色(右下新感光基板)で貼り付けテープで遮光された部分と、何も遮光物が無かったところと、ほぼ透明なフィルムのかかった部分とパターンの部分、この色の差が重要もう少し焼き時間が長くなると今度は、パターン部分が薄くなる。プリンターの精度にもよるので、太陽に透かして全くムラのない濃い印刷がキーポイント。
25度で現像します。新感光基板は25℃を厳守します。温度計で必ず計ってください。
現像後の感光膜。ここで傷があったら油性ペンで修正
いつもは噴流式のエッチング槽とヒーターを使うが今日はあえてバケツで湯煎した1リットル入りのサンハヤトのエッチング液と大きな深めのポリのふた付きバットを使った。下にお湯の入ったバケツがあるので温度が下がるのを防げる。
同じ基板なので3枚くらい重ねて穴あけしたいが、垂直に穴をあけないと下の穴がずれる。特にこの基板のように2.54mmピッチのコネクタが付く場合は1枚づつ開けた方が無難。下には木の板を敷くと穴が抜けるときに欠けないのできれいに仕上がる。
直射日光に曝して、再度感光します
現像の時の廃液を再加熱(適当)します。
このようにきれいに感光膜が除去されたら水洗いをします。
銅箔がピカピカなのでふき取り乾燥します。もしここで銅箔にくすみがある場合スチールたわしで磨きます。
休憩しながら廃剤処理します。アルカリの現像液は酢で中和します。PH調整すれば下水に流せます。業務用食材の店から大きな酢を買った方がお得です。
酢は同量入れます。よくかきまわして混和します。
中和されると分離します。この浮遊物と沈殿物は布などで漉して、水のみ下水へ流してください。残りは燃えるゴミです。
乾燥中の写真です。よく乾かしてから薄くフラックスを塗っておきます。
おまけ画像です。顕微鏡写真ですが、現像とエッチング精度が悪い場合このような仕上がりで、隣とショートする場合もあります。マイグレーションと似たように見えますがこれが肉眼ではなかなかわかりません。これが新感光基板になってから改善されています。