SFセミナー2003レポート その2

その1へ

 ヒラマドさんにおいしいカレー屋さんに連れてっていただいて夕食。19:30くらいに会場入りして、20:00合宿オープニング。なんとなく例年より少なかった気がしたのは、ゲストの皆様がまだ到着してなかったせいでしょうか。いつもの如く、企画紹介と有名人挨拶。

 21:00、企画スタート。1コマ目は行きたいのが3つかぶってしまい、超悲惨。悩んだ後、それぞれ少しずつ覗くことに。

 まずは「SFコンベンション、ラジオドラマの音源を聴く部屋」へ。門倉純一さんが、時間がなくて昼の1コマ目でかけられなかった貴重なCDを、実際に聴かせて下さるという企画。

 まずは「奥様10時です」という番組で放送された、第1回SF大会でのインタビュー。柴野拓美、星新一、矢野徹の声を聴かせてもらう。そのあと、なにか賞を取ったという小松左京原作のラジオドラマ「われらの時代」の最初の部分だけを拝聴。ある日突然、ひとりの人間に2人の心が同居してしまうというSF。ラジオだからこその面白みがよく出てました。ドラマと音楽を交互に聴かせて下さったのですが、傑作だったのはとある女性が歌っている演歌「四次元酒場」!(笑)「今は現在、過去、み〜らい〜〜♪」なんていうフレーズの入った曲。「こ、これはぜひカラオケで歌いたい!」という声が殺到(笑)。お次に岸田今日子が朗読してる「沼」というショートショート。いやはやこれが実に傑作!!皆で息を詰めて、しいんと聴き入ってしまいました。ラジオドラマってすごい!!とちょっと感動。ちょっとホラーっぽい話が、岸田今日子の声とぴったり。こ、こわ!ぞくぞくしました。

 このあたりで抜け出して「夜と泥のー飛浩隆マニアックス」へ。大盛況で、入り口付近まで聴衆でいっぱい。飛さんが淡々と語っておられました。鈴木力氏から、「飛浩隆作品リスト」をいただき、お次のコマへ。

 セミナー名物(笑)になりつつある「ほんとひみつ」へ。ちょうどタイミングよく、ダイジマンの紹介本が始まるところから拝聴。今回は「実際に足を運んでみないと見つからない、お宝本」を何冊か紹介。偶然見つけた貴重なサイン本などなど。血道は地道な努力から、というのがよくわかるエピソードでした。

 最後が日下さんだったのかな?これがまた珍しい本ばかり。タイトルなど詳しくは失念しましたが、発売されてすぐに、中のイラストだけ全部差し替えて、初版として発売された本とか(要するに初版が2種類ある)。著者があまりにひどいイラストに文句をつけたのか、はたまた最初出た版は、イラストが間に合わなくて急遽入れたものだったのか、謎は深まるばかり。「でも日下さんさあ、なんでそんなのわかったの?」という会場のツッコミに皆爆笑。

 あとは誰かが、2月30日発行という奥付の本があるという話を。単なる印刷ミスで、すぐ回収になった幻の本だとか。半村良の毎日新聞社刊『岬一郎の抵抗』だったかな?日下さんは持ってなかったらしく、「いいなあ〜、欲しいなあ〜、2月30日発売の本!」とマジで遠い目(笑)。牧さんは持ってるそうで、優越感いっぱいといった表情(笑)。皆さあ、たった一文字しか違わない本がそんなに欲しいですかっ!(笑)

 彩古さんは「次回からレギュラーね!」と出演者に言われたり(笑)。聞いてるだけで楽しい、本当に古本好きなひとたちの、濃い集いでした。ていうかみんな病気ですって(笑)。


 22:30から2コマ目。総統が出るというので、「SF十段」へ。これが実に面白いコマだったんですよー。爆笑の連続!!

 トーナメント形式で、1対1でそれぞれがオススメのSFについて持ち時間3分間で語り、どっちの紹介本が読みたいかを参加者の挙手によって決めるという趣向。今年のお題は、2002年に出たSFの中からということで(本に限らず)。

 第1回戦は柏崎玲於奈『殺しも鯖もMで始まる』vs、u-ki総統『イリーガル・エイリアン』。鯖は、話のネタがかつてのSFセミナーでの篠田節子さんの話からだった、という驚愕のエピソード。総統はいつものノリで、「エイリアンとのファーストコンタクトがですね、いきなり(ハイな裏声で)「ヤア!1、7、素数ネ、オッケー!」ってこの本のたったこのページだけ(本の最初数ページの厚さを示して)でですね、あっという間に終わっちゃうんですよ!!」といきなりアクセル全開、会場大爆笑。そうそう、これが聞きたかったのよー!(笑)勝負は総統の勝ち。

 第2回戦は野田令子『風の杜夜話』vs東茅子<銀河戦記エヴァージェンス>シリーズの『太陽の闘士』(上下)。野田さんのはタイムスリップラブロマンス?東さんは、実は彼女が本を語るのは初めて拝聴したのですが、これが会場が唖然とするくらいのハイテンション!超高いソプラノで早口で、「えっとー、これはですねー、皆ただのスペースオペラと思ってると思うんですけどー、実はー、ここがこうで…」ともう止まらない止まらない(笑)。そのあまりの迫力に会場大ウケ。勝負は東さんに。

 第3回戦は細井『ラスト・ワルツ』vs、u-ki総統『イリヤの空、UFOの夏』3巻の「ESPの冬」番外編。細井さんのはコミック。まずは、なんでこの傑作が星雲賞コミック部門の候補にあがってないんだ!という怒りの表明からスタート(笑)。確かに、このコミックは全然知らなかったですねえ。総統のイリヤは、よく覚えてないけどオカルト大好きな先輩が、それを実際に科学で確かめるとかなんとかいう話だったかな?そのへんの道を歩いてる小さな子に昨日見た夢を聞いて、予知夢を調べたりとかする中学生の話(笑)。好勝負でしたが、細井さんの「オレは投票したよ!!」という血気迫る叫びが会場にウケて、僅差で細井さんの勝利。

 第4回戦は鈴木力『浪漫的な行軍の記録』vs東茅子『この悪夢が消えるまで』。前者はごめんなさい、よく覚えてません(謝)。後者はまたもや茅子節全開!「これはですね、実はノーラ・ロバーツの別名義なんですけどー、誰も紹介してないと思うんですけど、SFなんです!なぜSFかと言いますとー、理由が3つありましてー、舞台が2058年の地球でー、女刑事が主人公なんですけどー、容疑者がもう超ハンサムでカッコよくってー、彼1代で地球の土地の半分を持つという地位を築いた超大金持ちでー、ってやっぱりノーラ・ロバーツだからラブロマンスなんですよー」す、すごすぎるよその設定!(笑)で東さんの勝ち。

 第5回戦は細井『地球美沙樹』vs東茅子『獣王星』というコミック対決。詳しくは忘れましたが、東さんがまたしてもウケて勝利。とにかく説明がハチャメチャで面白そうなのよ。

 最終戦は、去年のSF十段に輝いた記録保持者、日下三蔵「ぷちぷりユ〜シィ」vs東茅子「映画版バイオ・ハザード」という映像対決。ぷちぷりはプリンセス・メーカーのアニメ化(でしたか?)で、いつもガイナッ○スは、エヴァといいナディアといい最後の締めがアレなんだけど、これは実に素晴らしい終り方だった、という説明。バイオ・ハザードは「私、これゲームもやったんですけどー、映画もホントによくできててー、コワイんです、すっごくコワいんです!で思ったんですけど、やっぱり人間最後は体力なんですよ!!私、この映画みたあと、編み上げブーツ買いました!蹴りの練習しようと思って!」そんな方は日本中でもアナタだけなのでは(笑)。会場バカウケ。

 というわけで、新SF十段が誕生。SF界の新女王、東茅子さんに大きな拍手を!!いやあ、面白かった!向井さーん、また来年もやってよ〜!お願い!

 時間が余ったので、ちょろっと「創元SF40周年 40年の宴」を覗く。小浜さんが、壇上で出版界の過酷で深刻な現実をしゃべっておられました。いててててー。業界のはしくれとして、マジで胸が痛む話でございました。


 24:00、3コマ目。ちょっと大広間でひと休みしてから「2003年版SFアニメ総解説」を覗く。うーん、男性しかいない(笑)。アトムのオープニングを初めて観ました。うん、確かにすごくよくできてる。キレイ。あとはでじことガッシュとソニックなんかを観て、「SFJapanの部屋」へ。

 つまりは大野@SFJapan編集長が、塩澤@SFマガジン編集長にケンカを売るという企画(笑)。しかしどんなに大野さんが熱く噛み付いても、塩澤さんは悠々と煙草を吸ってビールを飲んで、どんな質問もするっとかわしてしまう。のれんに腕押し(笑)。SFJapanを作るにあたっての大野さんの熱意がものすごくて、素晴らしかったです。パワーあるなあ。塩澤さんもJコレクションなどでむちゃくちゃ忙しくて大変らしいのですが、なんかいつも淡々としてらっしゃるのよね。内に秘めてるというか。ふたりの対比が実に面白かったです。でもどちらも、日本SF界を支えるマジで大切なお方。頑張ってください。応援してます。


 1:30、大広間にて古本オークション。濃い人ばかりが出すので、まあブツがすごい。しかも早い!「うそっ、それがその値段!!いいのか!」と私ですら思うようなサンリオSFが、仰天の安値でさばかれていく。うわーー!!持ってなきゃ買うけど!持ってるんだよ!(笑)ああでもアレとか買えばよかったなー、と今さら後悔。後半はジュブナイルSFがどばっと出て、ダイジマン買いまくり(笑)。でも持ってるのは全然興味を示さないから、「わかりやすい!」と日下さんに大ウケしていた(笑)。

 なんか今回は昼の部から妙に眠くて眠くて、オークションでもウトウトしたり。3時半に寝に行く。

 8時起床。身支度して大広間に行くと、「今日のアバレンジャーはすごかったですよ!皆大ウケ!」と加藤さんに言われる。8:30、エンディング。皆様お疲れさまでした。

 会場を出たあと、例のごとく、ださこんメンバーでルノアール。タカアキラさん、ヒラマドさんとSFラジオドラマの話題で盛り上がる。おふたりはいろいろと昔から聴いてたそうで、「「北壁の死闘」はすごくよかった!ビュウウウッって風が!」「ジュラシック・パークはこわかった!」とかいろいろ教えてもらう。

 で、帰宅。今年も楽しませていただきました。スタッフの皆様、お話してくださった皆様、ありがとうございました!

(間違いなどのツッコミがあればお知らせくだされば幸いです。 03.5.11 安田ママ)