Event 小屋 (2000年 8月)

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(27日(東京楽日) 夜の部)
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(22日 夜の部)
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(12日(大阪楽日)昼 & 夜の部)
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(9日 夜の部)
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(6日 夜の部)
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(4日)
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(3日(大阪初日))

「Liveの小屋」Topに戻る

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(27日(東京楽日) 夜の部)(2000. 8.27,於 : 新橋演舞場)

とうとう終わってしまいました、「阿修羅城の瞳」。
その千秋楽。始まるまでは、「これでいよいよ最後やなぁ。」て気持ちで一杯でした。
けど始まると、そんなことすっかり忘れて、やっぱり舞台から客席に投げられる迫力、エネルギー一杯でした。
ほんとに素晴らしかったです。
最初こそハプニングがあってちょっと「ヒヤッ」とした場面もありましたが、最後まで観て、やっぱり最高の舞台になってました。
今回は花道横。役者さんが花道から出てくるところ、花道をはけていくところ、スッポンの出入りが間近で観ることが出来ました。
最初の邪空が登場するシーン、邪空が駆け込んでくるところを正面から観れたんですけど、これが素晴らしくカッコイイ。さすが新太さん、でした。
そして、繰り返し何度か書いてる「花道の全力疾走」。闇の椿組が、三界衆が、(エンディングの)祓刀斎が、桜姫が、晴明が、邪空が、そして出門が!
ホントに全力疾走なんです。で、花道奥の暖簾の中を通り抜けていくとこまで見えたんですけど、そこまでも全力疾走。
役者さんが花道通り過ぎるたびに、風を感じましたし、マジで全力疾走。もう、かっこよくって、プラスお話がよくって、涙が出てきます。
それから、おいら的ハプニングが実は途中でありました。
邪空 & 美惨が倒れ、いよいよ出門が天守閣へ向かう、って泣かせのシーン・・・火縁の台詞で案の定泣いて、次出門の台詞でぎ振り返って出門の顔を見たら、なんかボケてる・・・?
泣きすぎたんかなぁ、コンタクトが外れちゃっったんですねぇ、自分でもビックリ。こんなん初めてやし。
幸い外れたコンタクトがTシャツにくっついてたので、出門がはけて、火縁、水誼、晴明、南北が鬼を追いつめるシーンの間にコンタクトをその場で入れ直しましたけど。
それから、今回おいらなりに思ったことがありました。これ、本当のところは中島かずき先生でないと分からないんでしょうから、おいらの思ってることがあたってるかどうかはわかりませんけど・・・
お芝居中、美惨の台詞で「(阿修羅の)三面六臂とは、童、女、鬼の三位一体の姿」ってのがありますよね。
もうひとつ、阿修羅の三面六臂ってのは、このお芝居の中で、自分の意志と裏腹に鬼になってしまった「つばき、邪空、出門」ってのがあるんちゃうかなぁ、って。
自分の知らないところで定めにのせられてるとか、色々あったけど、この三人も自分の知らないところで、ってより、自分の意志と裏腹に「鬼」になってしまった、ってのがあるんやないか? って思った。
もう一つ、三人に共通してたのは、「鬼」になったってのと、「孤独」。
「孤独」=「蠱毒」って言葉遊びもあったけど、つばきの痣(梵字)=「永劫の孤独」、邪空の「(出門への)想いが通じなかった孤独」、出門の「蠱毒、そして阿修羅城が消えた後、きっとこれからの人生で背負わなければならない孤独」。
それらの気持ちもね、靖子ちゃん、染様、新太さんが出してくれてましたよね。
舞台、心情的にもほんと、最高のお芝居やったと思います!
さ、残りの感想はもう、せんど色々書いてますので省略させてもらって・・・
最後はね、やっぱり始まる前に「今日が最後やし、今日のカーテンコールはスタンディングしよう。」って自分で決めてました。
でもいざカーテンコールになったら・・・あらかじめ心に決めてたから、というより、今日(千秋楽)のお芝居、さらにはおいらにとってはこの一ヶ月間、素晴らしいお芝居を観せてくれた役者さん、スタッフの方々に対して、ホントに「ありがとうございました!」って気持ちが強くって、直ぐにスタンディングしてしまいました。
でまたカーテンコールでの役者さん達の幸せそうな表情!
「やり遂げた」「楽しかった」って風においらの目には映りました。
染様なんて、ほんと弾けて大パフォーマンスでしたから。
舞台に大きな「松本幸四郎」さんの写真が出てきて、それを後ろからぶち破った染様!
「お母さんの許可は得ています。」そうです。更に「染五郎は調子に乗っています」そうです。
でも、客席にいらっしゃってた松本幸四郎さん一家も、きっと満足されてたんでは? って思いますよ。
染様があれだけ観客に支持されて! (終演後、幸四郎さんに対しても客席から拍手が起こってました。)
大阪の千秋楽もよかったけど、東京の千秋楽もほんとよかった、です。

この一ヶ月の間、ホントに「阿修羅城の瞳」三昧でした。
って書いてもおいらが何をしたか、っていうと、ただ観てた、素晴らしいお芝居を観せていただいた、ってだけの受け身の立場。自分からなにかした、ってのは無いんですよね。
そうなんやけど、ほんと、この「阿修羅城の瞳」のお陰で充実し、満足な一ヶ月が送れました。
日記(世紀末的独白)にも書いたけど、主催の松竹さん、作・演出の中島かずき先生・いのうえひでのり座長、染五郎さん & 富田靖子ちゃんをはじめとする役者さん、音楽の岡崎司さんを初めとするスタッフの全ての方々に。
「阿修羅城の瞳」に関わった全ての方々に、「ありがとうございました!」って声を大にして叫びたい心境です。

そして、関係者でもなんでも無いおいらがこんなこと言う(書く)のもおこがましいとは思いますが、「阿修羅城の瞳に関わった」って点では、この「阿修羅城の瞳」を観たお客さんにも、「お疲れさまでした。」って思います。
始まるまで待っている期間は長くって、でも始まると一ヶ月なんて「あ」っと言う間。
でも本当に中身の詰まった一ヶ月でした。
最後に、もう一度。
「阿修羅城の瞳」に関わった全ての方々、本当に「ありがとうございました!」

<Topに戻る>

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(22日 夜の部)(2000. 8.22,於 : 新橋演舞場)

「大きいなぁ」・・・これがまず「新橋演舞場」の最初の感想です。
新橋演舞場は、初めて。大阪では「松竹座」も大きいけど演舞場は更に大きかったですね。
客席もそうですけど、幅、奥行き、高さ、全てにおいて。

で、感想。またまた泣き所を一つ見つけてしまいました。
演出が変わったのか、それとも大阪で見逃してたのか・・・どっちか分からないですけど。
阿修羅城天守閣のシーン。
出門がかんざしを出すシーン。つばきの動きが一瞬固まって、ほんのちょい「間」があって、それから、「かんざし」って言ってるんですね。
あの、つばきの一瞬の硬直と「間」。
これにやられました。次の「かんざし」って台詞、それからのつばきと出門の追っかけっこ(?)、そして「お前の血、美味しゅうございました」が、より引き立つようになってます。
(と力入れて書いて、実は大阪で見逃してただけやと・・・かっこわるいっすねぇ)
このせいで、もう涙か鼻水かわからん(き、汚いかも・・・)程、泣かされました。
そうそう、おいらの隣で観てた方は、いっけいさんに大爆笑されてましたね。
あと、いくつか大阪と演出等変更点ありましたけど、それはこれから観る方、楽しんでください。

さて、前々回観に行った際の感想で客演の方に対する感想を書いたので今回は劇団人 + α。
まずは「邪空」新太さん!
オープニングで「邪空。安倍邪空。阿修羅とは何だ、美惨」、そしてその後静かに花道をはけて行くのは素晴らしくカッコイイ。
それから、今までのお芝居ももちろん良かったんですけど今回、相手が若旦那染五郎さんなので、いつも以上に気合いが感じられます。
殺陣の動き一つとっても素晴らしい、キレイ、迫力あり! ですし。「怖さ」もあります。
でも、今回、邪空の出門に対する「想い」ってのもあって、そこが泣かされ所でした。
例の「恋いも捨てよう・・・これでおれは鬼でも無ければ人でも無い。俺は安倍邪空」ってシーン。
火縁の村木よし子さん、水誼の山本カナコさん。とうとうカナコさんまで「年増」グループに入ってしまったんですねぇ・・・
それはさておき、劇団員で新太さん以外唯一中心に近い役ですけど、さすがですね。
あれだけ素晴らしい客演の中に混ざって全く引けを取らないし、最後まで存在感ありましたしね。
ギャグもこなしながら、最後、天守閣へ向かう出門を見送るシーンなんて、最高です。
オポンチのよし子さん、カナコさんもいいけど、「LOST」のラスト同様、こういったシーンもいいです、ピッタリはまってますね。
三界衆、安倍海王、龍神、獅子虎の橋本じゅんさん、粟根まことさん、インディ高橋さん。オープニングの殺陣は最高!です。
今回オープニングが最高!って思えるのは、音楽等々色々ありますが、この三界衆の殺陣抜きには語れないですね。
途中から最後まで、邪空の手下になってしまったのが残念でした。もっと活躍する三人を観たかったなぁ、って。
でも、それでも、あの大劇場であれだけ激しい殺陣、動きは素晴らしいですよね。
孫太郎の河野まさとさん、ひょっとしたら若旦那との絡み、劇団員で一番多い?
南北一座での「御祈祷スラップスティック」から「桜姫ワルツ」までの出門との絡み。
その後の「宴たけなわではございますが・・・撤収」! が好きです。
最後の最後、南北覚え書きを読みながらスッポンに消えていくところ、凄くいいシーンなんで、台詞を言い終えてからスッポンに消えて欲しかったなぁ。拍手したいのにタイミングが掴みにくくて。これ、河野さんのせいじゃないですけどね。
賀茂ブラザーズの吉田メタルさん & 礒野慎吾さん。前半だけ、しかも出番はそう多くなかった・・・けど、インパクトは強烈!
今回「ハーッハッハッハッハッハー」は彼等とみはるさんでした!
樹真と谷地の杉本恵美ちゃんと中谷さとみちゃん。
出番が少ないのが残念。普段の本公演でも先輩方が大勢居る上今回のような豪華客演陣がいれば致し方ないのかもしれないけど。
中谷さとみちゃんは、もともと好きやったんですけどこないだの「アフロ13 「海の底オシッコしたらキラキラアンモナイトの夜」」で、すっかりファンになってしまいまして、・・・顔も可愛いけど、お芝居でのポーズとかも可愛くて好きですねぇ。でもでも!・・・実は初日はオープニング最後で登場してるのに気付かなかった・・・それは同時に染五郎さん劇団☆新感線初登場でそっちに目がいってしまってたから?
それから、元・劇団員、ひっさしぶりのフランキー仲村さん! お久しぶりでした。なんか以前にも増して「殴られ役」が増えたような・・・
赤鷲鬼、白豹鬼の川原さん、前田さん。言わずとしれた準劇団員(?)。う〜ん、残念ながらほとんどお顔を拝顔でけず。
そして劇団員でないけど、船橋裕司さん、武田浩二さん、佐治康志さん、藤本剛さん、松本高弥さん。鬼や南北一座、江戸市民。中でも「御祈祷スラップスティック」から「桜姫ワルツ」で、孫太郎、出門 & 桜姫 の後ろで踊るダンスがよかった。
北原美智子さん、篠田紀子さん、下田智美さん、白倉由美子さん、仲里安也美さん、中間千草さん。鬼や望月高弥郎の追っかけ(?)、江戸市民、女官。いっけいさん(高弥郎)の追っかけでの動き、台詞が凄く可愛くて可笑しくてよかった、です。

さぁ、おいらは後は泣いても笑っても、千秋楽を残すのみ!です。
そんときの感想は、またまたながくなるかもしれません! ですよ。

<Topに戻る>

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(12日(大阪楽日)昼 & 夜の部)(2000. 8.12,於 : 大坂松竹座)

さ、最高〜! でした。
この日この公演で、劇場に居られたことの幸せ。凄く嬉しかった〜。
夜の部、つまり松竹座最後のステージ、カーテンコールではもう、1階席、2階席、3階席、あらゆる場所でスタンディングオベーション! 鳴り止まぬ拍手の嵐!

観客もみな、嬉しそう。板の上の役者さん達もみな、嬉しそう。
客演の染五郎さん、靖子ちゃん、江波さん、平田さん、いっけいさん、みはるさん、加納さん、新谷さん、Takiさん、村木さん。
新太さんをはじめとする劇団員の面々。
特に染五郎さんの弾けようといったら! 花道を何度も駆け回り、観客に対して「緋の糸しばり」繰り出すし!
劇場全体が一体となっていたあの空間! すごく居心地のいい空間。
生の舞台、作っていくのはもちろん役者さんと裏方さんなんですけど、そこにお客さんが如何に参加するかで、その舞台のできって結構かわってくるもんやなぁ、ってのを再確認しました。
(ここでおいらが言うてる「参加」って、お客さんが板の上に上がるとか、かけ声かけるとかに限らず、「楽しもう」ってその姿勢も含めて「参加」やとおいらは思ってます。)
「スーパー歌舞伎 新・三国志」千秋楽でもそうやったけど、今回の「阿修羅城の瞳」の千秋楽は、はっきり言ってそのとき以上でした。
ほんとに、文字通り「大盛況」やったと思います、この「Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES」大阪松竹座公演。
いやいや、文字通り以上でした。
初日観た際はまだ若干「?」ってな感想も持ったけど、今となればもう、ホント文句無し。
文句無しどころか、これから東京公演でどれだけ凄くなっていくのか!
もう、期待度1000%?!
今年もまだ4ヶ月残ってるけど、多分今年ナンバー1・・・いや、今まで観たお芝居でナンバー1! になりそうです。
それ(東京)はともかく、これ(大阪松竹座千秋楽)にて一段落。
まずはここまで、役者さん、裏方さん、素晴らしい舞台、ありがとうございました。
そして、これから東京。大阪の評判を聞き、首を長〜くして待っている人たちにも素晴らしい舞台を、お願いします & 頑張ってください。

おいらも新橋演舞場へは2度観に行きます。

さて、大阪楽日の内容はといえば、これも最高のできでしたわ、ホンット。
夜の部では、いっけいさん演じる伊境屋のかつらが飛んでしまう、ってハプニングがあったり(すかさず南北加納さんが「伊境屋はっずかしぃ〜」って絶妙のアドリブを入れたのにはもう、大爆笑!)、前回(8/9)観たときより小道具が増えてたり。
前回のレビューでも書いた、「花道の全力疾走」、これ、結構この舞台のポイントかもしれません。
おいらが好きなのは、偽物と偽っていた晴明が実は本物とばれて、いよいよ腹を決め、「夢桜」と同時に全力疾走で花道をはけていく(阿修羅城へ向かう)シーンから、その「夢桜」中の、阿修羅城へ向かう出門と火縁 & 水誼の全力疾走。
以前雑誌か何かのインタビューにいのうえさんが答えられてた「花道を全力疾走」、観てると感動します。
(特に夜の部では初日以来の一等席やったので、三等と違って首さえ巡らせば全て観れましたから、余計ですかね。)
そうそう、全力疾走、って点では、2幕の闇のつばき組火事場泥棒(?)直後、橋本じゅんさん、粟根まことさん、インディ高橋さんの三界衆が舞台上手奥から下手に疾って現れるシーン。ここもかんなり好きです。スピード感あります。
そしてそして! 今回特に圧巻やったのが、富田靖子ちゃん。
前回観た時も初日よりずっとよくなってるって思ったけど、今回はもう、そんなレベルやありませんでした。
「阿修羅転生」シーン以降。もちろん、マイクエコーなどで迫力だすような演出に変わってるから、ってのや、声の大きさによる迫力、シーンピッタリの音楽、てのもあります。
でも、それよりも、靖子ちゃんから伝わる迫力がもう、凄かった!
昼の部は3階三等席で観てたけど、そこまでもう迫力がビンビンに
伝わってきました。
「恋をしたために鬼になってしまった」、「悲しさ」?「切なさ」? 的確な言葉は見つからないですけど、その「定め、宿業」にたいするやるせなさ、やりきれなさなんかなぁ・・・やっぱりうまい単語ができてませんけど、その気持ちがホント、凄い迫力で観ているおいらの体に伝わってきました。
「恋が我が身を鬼に変えるのならば、我が身を、人を、鬼を、そして出門、あなたを呪おう。人も鬼も地獄に堕ちるがいい!」ってとこ、ほんとゾクゾクしました。
正直、こんなに迫力がビンビンに伝わってきた女優さん、って今まで「奇跡の人」の大竹しのぶさん & 菅野美穂ちゃんだけやったんですけど、今回の靖子ちゃんからは同じ「迫力」が伝わってきました。
それはこのシーンだけでなく、阿修羅城天守閣のシーンでも、です。
繰り返し観たことと、靖子ちゃんのバージョンアップ! した迫力のおかげで、あの阿修羅城天守閣のシーンもまた違う観方がおいらの中に生まれてきました。
これまでは、「定め」のもとで出門と阿修羅の二人の恋があまりに悲しすぎる、切なすぎる、って思ってました。
前回観たときは、それに加えて、緋の糸縛り以降の二人が逢瀬を楽しんでるように感じました。
で、今回。「悲しい、切なすぎる」ってのでなく、「よかったね。」という気持ちになりました。
やっと二人の逢瀬を思う存分楽しめたんや、って。実は最後の最後であの二人はHAPPY ENDやったのかな、とも思えるようになってきました。
というのも最後の最後、凄く楽しそうな、凄く満足そうな、「最高の恋」って感じが、二人の表情からこちらに伝わってくるんですよ!
阿修羅はつばきに戻ってます(ように思えます)。
「出門とつばき、よかったね!」って、微笑ましい気持ちで涙が出てきました。
「靖子ちゃんの迫力が凄かった」って書いたけど、出門染五郎さんの迫力もこれまた凄い(これは初日から感じてたけど)。
靖子ちゃんの迫力がバージョンアップ! したことで、ここ、今までと違った観方ができるようになりました。
ただただ悲しい! んやないんですね、あのシーン。・・・ほんと、奥が深い!
それを役者さんの迫力でこちらに伝えられました。役者さんの迫力で理解できました。
ほんとに今回の客演で主演のお二方、素晴らしいです。
正直、富田靖子ちゃんがここまでの女優さんとは・・・大きな大きな嬉しい誤算(誤算やったのはおいらだけ?)でした。
(もちろん、他客演方も素晴らしいですよ。)

さぁ、いよいよ17日(木)からは東京幕開き!
22日夜の部、早く観たい!
そして、27日大千秋楽! で、舞台客席一体となって感動を味わいたい!

<Topに戻る>

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(9日 夜の部)(2000. 8.09,於 : 大坂松竹座)

今回は自分に「落ち着け、落ち着け、興奮するな」って、落ち着かせながら観たので前回ほど涙せずに済みました。
「前回ほど」なだけ、ですけど。
このレビューも、落ち着いて書かんと、「何のこっちゃ」になってしまいそうなんで、今回はちょっと位はまともに書いてます。当然ネタ晴れ有りになってますけど。

最初に劇場に入って思ったこと、それは初日からずっと感じてることですけど、いつもの「劇団☆新感線」と客層が違う!
前回「犬夜叉」の時も、アッ君ファンが大勢観に来てて、多少は客層違うなぁ、とは思ったけど、今回はあからさまに違ってました。
染五郎さんファン、加納さんの花組芝居ファン、平田さんのファン、富田靖子ちゃんのファン、等々。
そこに加えてやっぱり「松竹座」、日頃歌舞伎をご覧になってる方々も大勢見かけました。
年齢層が(はっきり言って?)高かった、です。
普段から大音響の劇団☆新感線を観てるおいらにとっては「この人達、ビックリするやろなぁ。」と同時に「受け入れられへんのちゃうやろか?」って心配もありました、正直言って。
しか〜し! ふたを開ければ、大盛況! やったと思います。
お芝居中の拍手も多かったし、終演後の階段、ロビー、入り口などで、「面白かったね。」とか「凄かったね。」「かっこよかったね。」って声が聞こえてきてましたから。
「かっこよかったね」は「染五郎さん」に対してかもしれへんけど、染五郎さんをあそこまでかっこよく魅せたのは、「劇団☆新感線」、いのうえさんの演出、かずきさんの本、殺陣で渡り合った古田新太さん達、なんや! ってこと考えると、ほんとに大成功!
GOODS売店で、CD買ってる人も、劇団☆新感線ファンだけと違ったし。
自分の大好きな劇団が、こんなに受け入れられるとは・・・前回犬夜叉の時はある程度、「きっと観に来たアッ君ファンを満足させるに違いない。」て前もって思ってたけど、今回こんなにいろんな客層に対しても受け入れられて、ホントに嬉しいです。
全然知らない他人なんですけど、そういう人たちの「面白かった」等の声を聞くとホントに嬉しい。
また更に、あの大きなハコ(松竹座)に、劇団☆新感線が全く位負けしてなく、いつも通り(いつもより豪華さはあったけど)で。松竹座、ってことで縮こまったりしてなかったし。
いやぁ、劇団☆新感線のファンになってよかった〜、大満足ぅ! です。

で、その松竹座(後半は演舞場)、ってことで「花道」が使われてます。
いわゆる通常の歌舞伎とはやっぱりかなり使い方は違うと思います(多分。おいらもそんなに歌舞伎に強いわけではないから、というよりほとんど知らんから)。
でも、それでいいと思います。なにもかもを否定するわけではないですけど、いわゆる歌舞伎、その「形」にとらわれすぎると、却って面白くなくなることもあり得ますから。
そういう意味で今回の花道、若干「もうちょいあれこれしてほしいなぁ。」って点はありましたけど、ほぼ満足です。
この花道。舞台と花道、どっちか片一方づつでなく、同時に両方を使うことで、凄く舞台の奥行きが出てて、立体的に思えました。
この立体感が個人的にはすごくよかった。
それから花道ではもう一つ!
役者さん達が花道を「全力疾走」していくんですよね。これなんかは本家の歌舞伎では無いのでは?
邪空が、出門が、三界衆が、火縁 & 水誼が、晴明が、花道を全力で走っていく姿、これはある意味鳥肌モンです。ぞくぞくきました。
それから今度は花道とは違うけど、どうしても書きたいことが。それは、一瞬なんやけど、これまた「ゾクゾク」かな、「スカーッ」かな、凄く照明の格好いいシーンがあったんです。
阿修羅城で出門と美惨が対峙するとき、美惨の「ここがおまえの墓になる」のあとの出門「鬼殺しに墓なんかねぇ。」でそれまでブルー基調の照明が夕焼けのような真っ赤な照明に変わるんです、「あの世にも、この世にもなぁ!」って、もう、凄くかっこいい。
もちろん他の照明もかっこいいとこ多いんですけど、ここの照明がおいらは一番好きです。
そのほかにゾクゾクするのはやっぱり「音楽」。曲的にはどれも素晴らしくって好きなんですけど、今回色んなところで繰り返し絶賛してるオープニング「ASHURA」
アコースティックギターで歌が始まると笑死が宙に舞い、おろされた幕に字 "阿修羅城の瞳" が映る瞬間は鳥肌モノ! 「魔性の剣」を思い出させる三界衆の殺陣、曲調がかわり美惨がバックに不気味に現れ、その後! スッポンのとろこに佇む出門にピンスポ! ・・・しびれます。
他にも1幕ラストの「愛は鉄砲」、阿修羅転生 & 阿修羅城天守閣での「阿修羅城の瞳」、祓刀斎仕事場からの最期の出発 & ラストシーンの「夢桜」、が特に好きですし、ゾクゾクきます。
よくまぁ、これだけお芝居にピッタリの曲が仕上がるもんです!
いや、まだその他にもあるけど、書き出すとほとんど全編になるので、このへんで止めておきましょう。
ただ最後に、「松竹座」「新橋演舞場」で上演される「いのうえ歌舞伎」。
雑誌などでの染五郎さんの言葉を借りて締めくくるなら、「これぞ現代の歌舞伎!」ってことでしょう。

役者さんは・・・客演の方々を中心に。
まずはなんといっても主役出門、市川染五郎さん。
なんと言ってもかっこええ! 見た目だけでなく、動き、台詞、笑い、そして色気。
確かに主役出門をかっこよく魅せるお芝居なんやけど、染五郎さん、見事にこなされてるし、動きも静と動が凄く「ピシッ」としてて。花道のはけ方。ギャグもそつなくこなす。
そして台詞回しの観客に惹きつけ方も「どうだぁ」といわんばかりの素晴らしさ。
これまで泣かされる「キッカケ」としてでかなりを占めてた部分で「音楽」があったけど、今回は染様の見得 & 決め台詞が泣かされる「キッカケ」になってるところが多いです。
今まで何人もの人が劇団☆新感線に客演されたけど、間違いなくトップクラスの客演です。
是非もう一度、客演してほしいですね。マジ切望!
そしてつばき、富田靖子ちゃん。
正直初日は阿修羅になってからが弱いかなぁ、っておもってたけどなんのなんの。
今では特に阿修羅になってから時折見せる笑顔が、観てるおいらを滅茶苦茶切なくするし。
この出門とつばき、二人だけの阿修羅城天守閣での逢瀬を楽しむシーン。前半はお互いに得物を持っての殺し合い(?)やけど、緋の糸しばり(肩の阿修羅紋と右手の逆しまの阿修羅)、かんざし取り出して以降はまるで、ホントにふたりで遊んでるような、ほんと逢瀬を楽しんでるような感じ、まるでダンスでもしてるような舞ってるような、長年待ちこがれた者同志がやっと出会えたような・・・どれもぴたりと当てはまる言葉が見つからない。でも出門も阿修羅も表情がとても凄く和やかなんですね。きっとあの瞬間は「鬼」と「人」の「定め」も消えて無くなってるのでは? それが余計にジーンとくる・・・涙無しにはやっぱり観ること出来ない。
だだっ広い松竹座の舞台の上、セットも袖にはけてInstrumentalの「阿修羅城の瞳」と照明と、染五郎さんと靖子ちゃんだけ!この二人の表情、・・・染五郎さん、靖子ちゃん、ほんと最高です、ありがとう! です。
美惨の江波さん、「シアターガイド」誌で新太さんが話されてたけど、1幕ラストずっこけてる〜。オープニングでも晴明が出す打鬼の鏡(実は「季節はずれの」羽子板)にたいし手を回しながらやられる(そぶり)のシーン・・・
十三代目鬼御門頭領安倍晴明の平田さん、「劇団☆新感線」的にはとっても重要な役(LOSTで言う小須田さんか)。特に今回は劇団☆新感線初見の人多いと思うから。
冒頭で「こんなところで死んで後の3時間楽屋で寝てろと言うのか」ってのでまず最初に笑いを取って。
もちろんかっこよく! って部分も多々あるんですけど、どこか三枚目的キャラクターでいい。
(もともとおいら、舞台は観たことなかったけど平田さんって、TVで好きやったんですよ。)
南北役の加納幸和さん、さすがに女形が様になってますね。凄く「物書きの宿業」が出てました。それと平田さん同様、劇団☆新感線初見の「歌舞伎ファン、染様ファン」のおばさま方と劇団☆新感線を近づけてくださった、重要な役所でしたね。やっぱ女形、ってので。
闇の椿組の呼鉄役の村木仁さん・・・「犬夜叉」満点君。今回もいい味出してました。最初の登場シーン、途中から煙り玉投げる振りして自分で「ボンッ」って言う、とか、最期におはぎを手に握らせられるとか・・・
流しの滝次役兼今回のメインヴォーカルのTakiさん。「歌 = 右近健一さん」やったけどこのTakiさんの歌声もまたよかったです。今回の曲にはピッタリ、って感じで。あと、お払いシーンで河野まさとさんの後ろで愉快そうに踊ってる姿も、観ていて楽しいものがあります。この人、歌だけでなく、お芝居中も要チェックです。階段上り下りも多くて大変そう・・・
ホントに怖い笑死役の新谷真弓さん、声が可愛くって、羽野アキちゃんを思い出しました。いつも美惨の後ろをついて歩いていたけど、小さくて可愛かったですね。
で、怖いと言えば後二人、わすれてはならないのが「桜姫」&「祓刀斎」。二人とも超マイペース!
桜姫役の森奈みはるさん、「ポンポンポンポンポンポンポンポン」って鼓の音から始まる「愛は鉄砲」は、千年人参女王とは全く違った色合いの役 & 歌やけど、歌聞いてると「同じ声やぁ」って(当たり前やけど)。桜姫は今回結構ツボです、おいら的に。ホント人参女王と違ってかわいらしさ(邪空には「アホ」呼ばわりされてたけど)満開!1幕ラスト、加茂兄弟との「アーハッハッハッハッハー」がいい!
そして、前半望月高弥郎役、後半祓刀斎役の渡辺いっけいさん、元劇団☆新感線(そのころは筧さん同様、おいらはまだ劇団☆新感線を観てなかったんですけど)で久しぶりの「劇団☆新感線」。特に2幕の祓刀斎は最高です!
今回、一番拍手多いんちゃうやろか? 主役二人よりも!

さぁて、お次は8/12(土)。この日、追加で昼公演も取ってしまいましたよ、おいらは。
新太さんはじめ、劇団☆新感線のメンバー、およびストーリーはその時、もしくはその次にでも!

<Topに戻る>

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(6日 夜の部)(2000. 8.06,於 : 大坂松竹座)

8/6でおいらは32歳になってしまいましたわいなぁ。
32歳・・・もう十分、「おっちゃん」の仲間入り。
で、その「おっちゃん」がお芝居観て涙流してる図は、見苦しいかもしれんけど・・・
けど、もう、ホンマかっこわるいけど、ボロボロ涙してました。
今まで「劇団☆新感線」を含めいろんなお芝居、感動して涙しそうになったことは多々あって、でもやっぱり回りの目を気にして、できるだけ耐えてました。
それでも耐えきれんと「ポロッ」と涙することはあった。
あるいは、過去の公演を部屋でビデオで視てるとき、そんときゃ人目気にせんでええから、結構泣かされてたんやけど・・・
今回はもう、ホンマ、ひどかった。度が過ぎる程「ボロボロ」でした。「ポロッ」と違い、「ボロボロ」でした。
な訳で、今回のレポはもう、感情論です。ネタ晴れもありますし。
客席の雰囲気かな。初日よりずっと拍手も大きくなってて、その客席の雰囲気がいいからか、役者さんもすごく乗ってるように見えたし。
そして、初回観た後「あれはどういうことやったんやろ?」とか色々考えた上で、今回3回目、ってのが大きいと思う。
「劇団☆新感線」の場合は特に、なんですけど、泣かされるポイントとして、「音楽」の要素が大きい、です。特においらの場合。それも、「泣かせ」の曲に限らず!
まず最初、開演前の「JUDAS」が流れてる時点で、「この松竹座にJUDASが流れてる〜」ってだけで、感慨深かった。
そして、開演からオープニング「ASHURA」。「ASHURA」がかかり、笑死が宙に浮き、幕に「阿修羅城の瞳」の文字・・・ここでまず、初日同様泣かされました。
1幕終わりの出門絶対絶命! の直後の「愛は鉄砲」by 桜姫、ここも。
2幕始まってからは、もう大変! 状態。
阿修羅転生のシーン、「恨みまするぞ」・・・最期は「阿修羅城でお待ちしております、出門様」に始まり!
レーザー光線による「逆しまの城」、佃戻り橋から阿修羅城へのセット(階段)、その前を「天守閣でお待ちしております」って空に上っていく阿修羅。
そしてそして、邪空 & 美惨にとどめを刺されそうになったときの阿修羅の行動。
そこで美惨が気づいた「阿修羅による鬼の救済」の意味・・・こっから最期まではもう、ずっと泣かされてました。
火縁 & 水誼の「人も鬼も悲しすぎる」って台詞とか、出門の「秘め事なんだよ。」って台詞とか。
天守閣での出門と阿修羅の、ホンットに悲しすぎる逢瀬。「おまえの血、おいしゅうございました!」ってのが場内に響き渡る!
ラストの桜の木の下、「夢桜」の曲、出門と阿修羅に当たってるピンスポが徐々に小さくなって暗転・・・場内大拍手、のエンディング!
カーテンコールになっても涙が止まりませんでした。

今回は、「西遊記」「LOST SEVEN」を連れて行った友達をまた連れて行ったんやけど、観終わったあと、「いつまでやってたっけ?」って言い、その後飲みに言って「もう1回行こうかなぁ」と、その友達は言うてくれました。
普段演劇なんて観ない友達にこう言わせた「阿修羅城の瞳」、ホンットに素晴らしい! お芝居になってる、って思います。
初日に「90点」なんて辛い点数つけてしまったけど、今では100点を大きく上回っています!!!!!
この後、9日ソワレ、12日ソワレ の大阪。出張ができたんで今日(8/7)慌てて追加で取った22日ソワレ、そして千秋楽!
チケット代は確かに高かったけど、思い切ってたくさんチケット取っといて大正解!
ほんまどうしよう? まだ始まって4日。東京まで含めるとまだまだ序盤戦が終わっただけやのに、こんなに凄いお芝居になってるこの「阿修羅城の瞳」!

<Topに戻る>

[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(4日)(2000. 8.04,於 : 大坂松竹座)

一昨日は一等席(しかも最前列! LUCKY!)、で昨日は三等席最前列で観ました。
で、今日のレビューはその違い、って観点から。
(昨日書いた時点とまた印象は変わってきてるけど、その感想はこれからまだまだ観に行くのでその際にでも。)

ま、あったり前のことですが、三等席になると、舞台からは結構離れます。それでも松竹座は他の劇場の後ろの方の席と比べると、まだまだ観やすい近さと思いますけど。
なんで、一等(最前列、もしくは前の方)と三等一番の違いは、「舞台全体が観える。」ってことです。
特に今回、「花道」が多く使われるんですけど、一昨日は「え、いつの間に登場してたの?」ってなることも多々ありました。
特に、花奥からの登場シーンは、幕(カーテン?)の開く音が聞こえるんでまだ分かるんですけど、せり上がりはもう、ほとんど全て、気付きませんでした。
でも昨日は、上から花道が観えるんで、そういう点での見逃しは少なかったです。
と、ここまでは、特に「阿修羅城の瞳」に限らず言えることでしょうけど・・・
それ以上に、大きく違ったのは、舞台照明!
役者さんにあたる照明、舞台後方の照明、ってのは何処にいても観れるんですけど、「舞台」板の上の照明は、やっぱりある程度上から観ないとわからない気付かない部分がありますね。
例えば、つばきの「痣」のシーンでは、照明で舞台の上に「つばき」の模様を作っていたり、「阿修羅」ってキーワードには、「(多分)紅蓮の炎(をイメージしてる、と思う)」を作っていたり。
そういう点で、三等席でも十分楽しめました。
もちろん、お芝居自体がしっかりしてるからそういった照明なども映えてくるんですけどね。

以上、今日のレビューはちょいあっさり目、にしときます!

<Topに戻る>
[演劇]Inouekabuki-Shouchiku-Mix 阿修羅城の瞳 〜BLOOD GETS IN YOUR EYES(3日(大阪初日))(2000. 8.03,於 : 大坂松竹座)
正直今とまどってます。複雑な気持ちです。
観終わった後の「爽快感」がいつもの「劇団☆新感線」と比べて少なかった。
100点満点でいうと、90点位、でしょうか。「(おいら的に)100点を超えなかった理由」、それは今日のこのレビューの最後に書いてます。
といって、面白くなかった訳ではないです。むしろその逆。
凄く面白かった。(この場合の「面白い」は「笑う」って意味ではなくって。もちろん、要所要所に笑いはちりばめられてて(いきなり冒頭で平田満さんが笑わせてくれるもんなぁ)、それも十分満足してます。)
いつもの繰り返しになるし、この後何回か観に行く感想の中で繰り返し書くことになるんで、今日の所は簡潔に書くけど。
舞台(セット・衣裳・照明・音楽・役者さん達)は格好よかったし、お話 & 演出も格好よかったし。 、
パンフや演劇雑誌、色々なところで語られてた、染五郎さんの「これぞ、現代の歌舞伎!」、その言葉そのもの。
けれん。見得や衣裳、音楽、照明など、あらゆる要素で観客を楽しませてくれる!
花道、宙乗り(というよりフライングっぽかった)、そしてなんと言ってもあの「オープニング」!
今までの「劇団☆新感線」公演の中でも屈指のオープニングといってもいいでしょう。
開演に遅れたら、はっきり言って、そうとう、かんなり「損」します。
今までも、オープニングで、「テーマ曲」がかかるとそれだけで凄く感動して、涙しそうになってきました。
でも今回! 「阿修羅城の瞳」と文字が出た瞬間、泣いてしまいましたね。
もう、公演前からの「思い入れ」が大きかった、「松竹座で劇団☆新感線」ってのも手伝った、とは思いますけど(劇団関係者でない、単なる一ファンのおいらが、やっぱり「松竹座に!」って・・・思い入れ以外の何物でもないですね)。
以降のストーリー展開、今回「3時間」(初日は3時間を超えました・・・終演時刻 PM10:20頃!)の長丁場。でもダラダラなんてしてないし、終わってみれば「えっ、そんなに長かったの?」ってくらい、時間の経つの忘れてた。
それくらい観応えはありました。
役者さん達も、ほんとに、「こんなに!」って位よかったし。
(個々役者さんの感想は、これから数回まだ観る & レビュー書く機会あるので、今日は一つだけ。
市川染五郎さん、ホント顔がお父さん(松本幸四郎さん)そっくり!)

なのに、ほんと、なんとも言えない複雑な気持ちです。
「爽快感」が少なかった、それは何故か?
一つには、今回は「劇団☆新感線」お得意の「勧善懲悪」モノでなかった、というのがあると思ってます。
もちろん、善人悪人裏切り者など、「いのうえ歌舞伎」の要素はふんだんに盛り込まれてました。
でもそれは今回に限っては、脇、サイド。中心を固めるための要素やったような気がします。
今回ははっきり言って「ラブ・ストーリー」、しかもヘヴィーな。
(その点、「LOST SEVEN」にある種通じてるものあるかも。まぁ、「LOST SEVEN」は「テムラー」って悪役が居ましたけど。)
で、「ヘヴィーなラブ・ストーリー」って書きました。でもその「ヘヴィー」ってのは、「男と女のドロドロしたお話」って意味はなくって。
(ドロドロした、ってのが、三角関係や不倫とかいった意味で使われるなら、という意味でね)
恋する二人の、その置かれた環境が「ヘヴィー」です。
「ラブ・ストーリー」って書いたけど、おいらは「愛」のお話ってより、「恋」のお話、って思いました。
「愛」じゃなくて「恋」、でもその「恋」の中にどうしようもない「愛」が含まれてる、って。
う〜ん、言葉じゃ難しいですね。でも、観た人なら、何%かでもおいらの書いてること分かってもらえるのでは? って思います。
恋しあう二人が何故、殺し合わなければならないのか?
その答えはお話の中で語られてたようにおいらは思ってます。
ので、その答えは「頭」ではわかります・・・けど、「気持ち」の部分で分からない!
自分の意志と関係ない「定め」なのか「縁」なのか。
まさに「恋」のなせる技、です!
そのへんが「ヘヴィーなラブ・ストーリー」と感じた所以。
せやから、なんでしょう、「切ない」という表現が正しいのでしょうか、的確な言葉がおいらの語彙からは出てきません(ボキャブラリー不足・・・)。
爽快感が少なかった・・・もっと言えば「無かった」のは!
でも・・・泣きました泣きました、泣きました!
で、今時点では、出門の気持ちはわかるような気がするんです。
でも、つばきの気持ち、何を考えてたのかが・・・理解出来ませんでした。
それは、おいらが女心ってのを理解するのが不得手やからでしょう。
それと、ストーリーからは二人が深く恋しあってるの分かるんですけど、つばきが出門に恋してる気持ちの部分が若干弱かったかな、と感じました。
でも、あくまでこれはおいらの感想。
ほんと「素晴らしい作品」でしたんで、他の人の感想とか見たり聞いたりして、自分の中でももっとかみ砕いてみたいです。

「阿修羅城の瞳」、格好よさという爽快感は、十二分に堪能できます。
でも、ストーリーはヘヴィーで悲しすぎるんで、爽快感求めたらあかんのかもしれません(ひょっとしたら)。

今回の「阿修羅城の瞳」、一つは主役出門(市川染五郎)をいかに格好よく魅せるか!
それと、いかに出門とつばきの恋を深く、「ヘヴィー」に描くか!
この二つがポイント、のような気がします。
今後、期待するのは、出門とつばき。
出門染五郎さんは、さすが梨園の御曹司! 他の役者さん達ではきっと出せないやろなぁ、って格好よさがありますし、ありました。でも贅沢言わせて貰うなら、もっともっと出して欲しい。今でも十二分なんですけどね。
そしてその出門染五郎さんとつばき富田靖子ちゃん、もっともっと、もっと深く恋しあって欲しい。
それが深くなればなるほど、観終わった後の爽快感は無くなっていくと思うけど、もっと素晴らしい作品になると思います。
だからこそ、ちょっと今回はかなり辛い点数をつけました。

<Topに戻る>