「軽く手首を切ってみた」
世の中、「不景気だ、不景気だ」という言葉か充満しているが、明日にでも新聞
に「景気回復バブル突入」と見出しがでていたなら、あっさり好景気になるのだ
ろう。要は、気の持ちよう。
競馬で言うなら有馬記念に限らず、JRAの売り上げが落ちている。そして、景
気回復もなかなか思ったようにいっていないのが現状。「しかし」である。JR
Aの売り上げが、最高を記録したのは、バブル崩壊後というのも事実である。売
り上げ回復の対象に見込んだ客は、20代、そして女性。そんな彼等の収入が低
いかと聞かれたなら、そんなことはない。今まで、高校生や仕送りで暮らしてい
た年齢層だ。下がっているわけがない。現にこのコラムを読んでいる方で、収入
の下がった方は何人いるだろう?バブル崩壊後も、最低賃金が上昇しているのは
言うまでもなく事実である。
バブル崩壊で「馬の大量処分」が見つかったのは、JRAとパチンコ産業が売り
上げを伸ばしていた時期だが、当時の新聞にはハッキリ「不景気」という活字が
テンポイントで印刷されていた。売り上げ減を景気のせいにしていいのは、他人
である第3者であって、JRA内部で言ってはいけない。現に同じような位置づ
けをされているパチンコ産業は「スロット」という商品できれいな上昇を描いて
いる。では、競馬でスロットにあたる商品・魅力とは何かというと、たくさんあ
る。しかし、JRAの人間はわかっていないようだ。競馬場に、銀行のATMを
入れている今日この頃である。「最終手段」であるはずの方法が、今使われてし
まったのだから、ホントわかっていないのだろう。巨人軍に例えるなら「1回の
表に、代打マルチネス」のようなものである。
とはいえ、景気・不景気には理由がある。わかっている方は多いのだが、気づい
ている方は少ないというマジックにかかっているのである。「景気が回復したな
ら、どうなるのか」という質問に「給料が上がる」という解答が一番単純であり
適しているだろう。では「今は?」と聞いてみたい。この質問にも、マジックめ
いたものがある。バブルに突入したときに、最初に景気が良かったのは社長など
の役員クラスの者であり、バブルがはじけたときに最初に犠牲になったのは一般
サラリーマンで最後の犠牲者は社長達である。世間では、低賃金の者である一般
サラリーマンが多いために、薄利多売が流行し、付加価値という商売に変化して
いった。そこでヒットしたのが「携帯電話」である。
携帯電話が出てくる前の一般家庭の電話料金は、一世帯月々5000円というの
が平均だった。ところが、携帯電話の平均使用料は一人1万2000円だという。
先週の統計では。二人に一人が携帯・PHSを持っている時代。4人家族で5
000円だった電話代が、携帯電話の出現で24000円+電話代という事態に
なっている。これが「わかっているのに、気がつかない」という典型的な出費マ
ジックである。
この携帯電話のせいで、景気回復が遅れ続けている。最近、大打撃を受けたモノ
の代表としては「ソニーの、プレステ2」が上げられるだろう。消費者側でいう
なら、最低でも毎月1万2000円分の買い物ができなくなっているのである。
1万2千円といったら、月1回は家族での外食ができ、ちょっとした高級料理を
食べることもできる。旅行だってできるだろうし、毎月服だって買える。このよ
うにしてお金は回転し景気は循環していくのだが、今は形に残らない「会話」に
金を払い、電話屋にしかお金が回っていないのである。これでは、景気が回復す
るわけがない。買い物をした気分にもなっていないだろう。
「電話ボックスを探さなくてもいい」・「いつでも連絡がとれる」というメリッ
トという付加価値で、「多少電話代が高くても」と納得している時代は終ってい
るのである。「メール機能?」「インターネットに接続?」、すべてはPCから
のパクリであって、パクリは日本人の得意な分野。そんなものに、付加価値を受
けた気分になってはいけない。まして、「呼び出し音の違いをアピール?」。電
話は、音が鳴ってあたりまえ。家につながっていたモノが、ポケットに入るよう
になっただけであり、この普及率。一般電話で1分8円の時代なら、携帯だって
同じ金額にできるのである。レコードから変化した、CDがそうではないか!!
こう考えてみると、世間の景気に歯止めをかけていたのは、携帯電話がかなりの
比率だったということに気がつく。携帯電話屋が、悪いといっているのではない。
「不景気の原因の1つ」を、言ってみただけである。すべての物売りは、薄利
多売という努力をしてきたのだから、次は携帯電話屋に期待したい。
一人1万2千円×12ヶ月=14万4000円という現実。身近なモノなら、た
いてい買えるだろう。あなたなら、何を買う?