AD物語II 第16話 「カンフー・ダンディー」
〜福山雅治のオールナイトニッポンの想い出〜
福山雅治さんのオールナイトニッポン(以下、ANN)は、
約6年間にわたって放送されましたが、
この6年間は、大ざっぱに言って、3つのブロックに分けることができます。
まず最初の、木曜日の2部時代。
福山さんがブレイクする直前が、この時期です。
で、次に、ブレイク後の木曜1部時代。
CDもバカ売れの時期ですわ。
そのあと、木曜日のANNを卒業。
福山さんは、ANNを半年間お休みした後、月曜日で復活のノロシをあげます。
・・・あげたんですが。
ボクが福山さんのANNを担当することになったのは、
この月曜1部になってからのことでして。
えー、たぶん、1994年の秋だったと思います。
「SMAP・中居正広のANN」が終わって、
そのあと「復活」した福山さんが登場となったわけであります。
木曜日から月曜日に移ってきた福山さん。
曜日が変わっても、人気は衰えることはありません。
そう、最初は順調だったんですよ。
・・・ところが。
1年ほどたった、1995年10月。
「メッセージ」というシングルを出した後、
ミュージシャンとしての活動がパタッと止まってしまいます。
TVのドラマにもチョビッと出てたりしましたが、
ラジオ以外の活動がほっとんど、無くなってしまったんですな。
今回のお話は、こんなシチュエーションで始まったりします。
・
「小林ぃ。今日の放送が終わった後、飲みに行くぞ!」
「はぁ?」
福山雅治のANN、3代目ディレクターの節丸さんが叫びます。
あ、ここでまた登場した節丸さんは、前話で大活躍(?)した節丸さんと同一人物です。
「大将(福山さん)が、飲みに行きたいんだってさ。」
「ほほう。このスタッフで飲みに行くのって初めてですよね。」
放送終了後、福山さんが移動用に使っている事務所のワゴン車にみんなで乗り込みます。
「飲みに行くって、何時だよ。」
・・・って?
ご心配される方もいらっしゃるかとは思いますが、
大丈夫です。
午前3時半です。
おなじみの時間でございます。
大学生の頃から・・・ADを始めた頃からの、慣れた時間でございます。
どんな時間帯であろうとも、
焼き肉、寿司、しゃぶしゃぶ、モツ鍋・・・・。
ええ、何でも食べますとも。飲みますとも。
「そんな時間に食べたら太るだろ。」
・・・って?
いいんです。いいんです。
そんなこと気にしてたら、ADなんざ出来やしません。
ええ、ええ、そうですとも。
この10年間の生活で、今や、お腹のまわりにビッシリと、
脂肪のカタマリ
が、ついちゃってますが、まあ、気にしないことです。
・
新宿だか、六本木だか、どこに飲みに行ったのか、
今となってはもうすっかり忘れてしまいましたが、
世の中のお父さんが働き始める頃、飲み会は終了の様子を呈し始めていました。
・・・と、ここまでは、いつもの「ANN後の飲み会」だったんですが。
「小林ぃ。このあと、ボーリング行くぞ!」
「はぁ?」
福山雅治のANN、3代目ディレクターの節丸さんがまたもや叫びます。
「大将(福山さん)が、ボーリング行きたいんだって。」
「・・・そんな。」
「行くよな。」
「・・・はあ。」
ディレクターの命令は、神の命令。
ええ、ええ、そうですとも。
士・農・工・商・AD
っていわれる通り、業界内で僕らのランキングは、下から数えた方が早いのは、
それは、分かってるんですが・・・・。
この命令は、きついッスよ。
ANN生放送→飲み会→ボーリング
そんなのやったこと無いって。
・
朝8時。
まーた、何でこんな時間にやってるボーリング場があるかな。
信じられん。
飲んじゃってるから、へろへろな球しか投げらんないよ。
おええ。
気持ちワルー。
「福山さん。ナーイス!」
「ども。」
え?
ふと、横のレーンを見ると、福山さんが立て続けにストライクを出しちゃってます。
おいおい。
どーなってんだよ。
いや、どんな体してんですか。
さっき、一緒になって、あんなに飲んでたじゃないですか。
その前、2時間も、ラジオで喋ってたじゃないですか。
疲れ知らずですか。
S2機関搭載型ですか。
「あのー、じゃ、僕らこのあと仕事ですので。」
「えー、このへんで。」
節丸さんと2人で、ボーリング場を出たのは、朝10時を過ぎてました。
「あちゃ。会議、始まっちゃうよ。間に合うかな。」
・・・と、節丸さん。
もう、メチャクチャ。
・
福山さんがANNをやっていた間、スタッフ全員参加の飲み会は、
結局、数回しか開かれませんでしたが、
そのどれもが、今回紹介した話に、負けず劣らずの破天荒な飲み会でした。
「8時間ぶっ続けのカラオケ大会」
・・・とかね。
そのほとんどを大将(福山さん)が、唄ってたんですけどね(笑)。
そんな飲み会が開かれる度に、
「ああ、この人は、ホントに遊ぶのが好きなんだな。」
・・・と思ったものです。
今年(1998年)、福山雅治のANNは終了し、
それと同時に福山さんは、「メッセージ」以来のシングル「Heart」を発売。
この曲は、僕らの心配をよそに、大ヒットとなり、
「福山伝説」の第2楽章の幕開けを見事に飾りました。
「Heart」が発売されたとき、それを告知するチラシにこのように書かれていました。
福山雅治は、ずっと走り続けてきました。
でも、それは、特急列車での旅のように、
がむしゃらに走ってきたのです。
この辺で、ちょっと立ち止まってみようと思いました。
各駅停車の旅をしてみようと思ったのです。
そして、今、約3年ぶりに、曲を発表します。
各駅停車の旅?
またまたぁ。
遊びたかっただけじゃないの?
・・・(笑)
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