AD物語II 第22話 「ラブ・コンサート」



〜 「完パケ番組」のシステム−下− 〜
 前話の続き!  さてさて、  オンエア的には、29分前後にエンディングテーマは、フェィドアウトとなり、  「SB」という、CMが流れて「番組」はそこでおしまい。  ・・・となるわけですが、  「完パケ」には「30分保障」というルールがあり、  録音テープには、30分00秒まで、エンディングテーマを入れておかなければいけません。  この「30分保障」というモノがあるために、  ある「変な現象」が起こるわけです。  それは何かというと・・・。
 最近は「少コミ」、あんまり聞いてないので(ごめんなさい)、  よく、分からないんですが、  今年の春頃、よく「変な現象」が起きていました。  エンディングテーマの「はじめてのさよなら」が流れ始めて、  パーソナリティの岩男潤子さんの喋りがあって、  「この番組は、少女コミックの小学館がお送りしました。」  ・・・と、提供クレジットが入って、番組が終わる・・・と。  ここまでは、いいんですが。  その後、突然。  ボイ〜ン!  ・・・と、ドラの音が。  こりゃ、あきらかに、「遊びにいこうよ」のイントロですな。  で、その「遊びにいこうよ」のイントロがフェィドアウトしていって、  「SB(ステブレ)」が流れる。  なぜ、「はじめてのさよなら」を流し続けないのか。  なぜ、「遊びにいこうよ」に曲を変える必要があるのか。  僕ちゃんは考えました。  一生懸命考えました。  ・・・・・・・・・。  そーか。30分保障だ!
 ここから先は、完全に、僕の推察です。  全面的に、僕の勝手な推論です。  でも、そんなに間違ってはいないと思われます(笑)。
 冒頭に書いたとおり、「30分完パケ」の番組は、  29分前後で、「番組」は終わってしまいますが、  それが録音されたテープには、「30分00秒」まで、  何か音を入れておかなければいけません。  もし放送局のコンピューターのプログラムの故障などで、  「SB」が出なかったら、オンエア的に無音状態となり、  最悪の「放送事故」になってしまいます。  それを防ぐために、「30分完パケ」のテープには、  「30分00秒」まで、何か音を入れておかなくちゃいけないんです。  これが「30分保障」です。  それと、「少コミナイト」で起こる「怪現象」と、何のつながりがあるのかって?  では、前話の例をそのまま使って説明しましょう。  番組のエンディングゾーン「後枠」で、岩男潤子さんが「3分00秒」喋ったとしましょう。  もちろん、時間調整をしなくてはいけないため、  このゾーンは、BGMやエンディングテーマは入れずに録音しているはずです。  俗にヌキ録り(ぬきどり)と言われる手法です。  ダビングの際、ディレクターの「俺様ちゃん」こと川口ディレクターは、  こう考えるはずです。  「28分20秒〜40秒で終わるのがベスト」の条件を満たすため、  エンディングテーマを出して30秒してから、  パーソナリティの「後枠」の喋りを出せば、OK。   25分00秒 ←後CMの終わった時間      30秒 ←エンディングテーマ30秒聞いて  + 3分00秒 ←後枠の喋り   28分30秒  ・・・とね。  ここに大きな落とし穴が!  「はじめてのさよなら」は、フルコーラスで、4分21秒の曲なわけです。  そーすると、   25分00秒 ←後CMの終わった時間(エンディングテーマの出る時間)  + 4分21秒 ←「はじめてのさよなら」フルコーラスの時間   29分21秒 ←ありゃりゃ、39秒足りないや  ・・・となってしまい、「30分保障」がきかなくなってしまうわけですよ!  おそらく、この事態を回避するために、  岩男潤子さんの「提供クレジット」のあとで、  曲を「遊びにいこうよ」に変えているものと推測されます。  これが僕の出した答。
 川口さん!  エンディングテーマ、曲編集して、5〜6分の  ロングバージョン作った方がいいと思うんですが。
続く  1998/08/23

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