AD物語II 第32話 「ブロークン・ハート」



〜岩男潤子コンサートツアー"1999〜2000"第1弾レポート〜
 さて、皆様、大変遅くなりましたが、  悪魔しておめでとうございます。  「おいおい、1999年、のっけから誤字かよ。」・・・ですって?  とんでもない。  ボクは、師匠のデーモン小暮閣下から、徹底的に、  「悪魔教」の教えをたたき込まれているので、これでいいんです。  だいたいボクにとっては、「1999年」なんてのも、西洋文化の身勝手な年号です。  「悪魔教徒」は「魔暦」を使うのが通例になっております。  今年、閣下率いるデーモン一族が、畏れおおくもこの世を支配あそばせになられるので、  「西暦」で言うところの「1999年」は、「魔暦」の「元年」になるわけです。  というわけで、本当は、AD物語においても、  「そう、あれは、B.D.(BeforeDemon=魔暦紀元前)3年のことでした・・・。」  という表現を用いるのが筋なのですが、  読んでる人はおいてきぼり。  ・・・てなことになってしまうので、使用を控えておりました。  この辺のお話に興味のある方は、閣下の著書、  「我は求め訴えたり」に事細かに記されているので、読んでみて下さい。  ただし、もう10年以上前に出版になった本ですので、  多分、廃刊になってると思いますが・・・(笑)。  ・・・などと、正月からとばしていると、  本当に新興宗教の勧誘のようになってしまい、  このページのニッポン放送関係者の読者から、 「コバジュン、狂ったか。」  なんて思われて、  新年早々、お仕事もらえなくなっちゃったりしても困るので、  ちゃんと書こうっと。
 えー、改めまして、  あけましておめでとうございます。  いやー、1999年になっちゃいましたなー。  1999年になったということは、  我らが(?)、岩男潤子さんのコンサートツアー、  「1999〜2000(ないんてぃないん・とぅ・ぜろ)」が始まるっつうことですな。  そんなこんなで、行って来ましたぜ。  「1999〜2000」の第1弾、  東京・中野サンプラザへ!  つーことで、今回は、そのレポートでしゅ。  これから「1999〜2000」に行かれる方は、  多分に「ネタばれ」なことが書いてあるので、ここから先は読まない方が懸命。  そーゆーこと。
 ボクが中野サンプラザに行くときには、なにがしかの妨害が必ずあるわけです。  これはもう、運命(さだめ)なワケです。  雨が降っているとか、台風が来るとか、背中を手術した後だとか・・・、  まあ、そんな類の妨害です。  今回は・・というと、これまた御多分に漏れず、  病に冒されました。  いやいや、辛いのなんの。  鼻水ズルズルの状態で、熱もチョビッとあって、咳も出る。  ・・・何のことはない。  風邪だ。  しっかしまあ、なんで、こんな時に風邪ひくかね・・・。  今回の中野サンプラザは、ツアー初っぱなということもあり(?)、  1月8日(金)・9日(土)と2DAYSだったわけですが、  ボクは、お仕事の都合で、1月9日(土)の参加と相成りました。  土曜日というと・・・、ご存じの方も多いと思いますが、  ボクは、朝7時から放送の「土曜だ!いい朝、小朝クン」という、  春風亭小朝師匠がパーソナリティをつとめてらっしゃる、  非常にアダルトな番組を、担当していたりするわけで。  この番組の集合時間が、朝の5時。  するってえと、千葉という、  ニッポン放送から遙か離れたところに住んでいるボクは、  朝の3時に起きないと、この集合時間に間に合わないわけですよ。  ただでさえ、風邪ひいてるっつうのに、朝の3時起き。  おおつれ。  小朝さんの番組が終わって、SMAPの中居クンの番組作って、  ようやくニッポン放送を出られる状態になり、中野に向かおうと思った時にゃ、  すでに体力を使い切っていて、ヘロヘロの状態でした。  こりゃいかん!・・・と。  少しでも体力を回復しないと死んでしまう!・・・と。  コンサート開始時間まで、1時間を切ってしまう!・・・と。  こりゃ、ワープ航法で行くしかない!・・・と。  決死の覚悟を決め、タクシーに乗り込みました。  お台場から中野まで。  最大限の贅沢です。  でも、背に腹は代えられません。  事態は切迫しているのです。  ところが!  土曜日の夕方です。  レジャー(死語だ!)からの帰りの車で、道路は渋滞の様相を呈しつつあります。  コンサート開始時間は刻一刻と迫りつつあり、  だのに、車はびくとも動かないわけで。  そのくせ、料金メーターはチャキチャキ上がりやがる。  タクシーで中野まで行く間、少しでも睡眠をとって、  体力の回復につとめようとしたボクのチープな作戦は、  いともたやすく、砂上の楼閣のごとく、もろくも崩れ去ったのでありました。  睡眠をとるどころか、時間と料金メーターが気になって、まんじりともできません。  車が動かなくて、イライラするもんだから、タバコに火なんか付けちゃったりして、  よけいに咳がひどくなっちゃったりしてます。  精神的にも、肉体的にも、最悪な手段をとってしまいました。  こんなことなら、ハナっから、電車移動してた方がどれだけ良かったことか・・・・。  ああ、この世に神も仏もいないのか!  ・・・と天を仰いだ瞬間!  奇跡は起こりました!  「チッ!」  タクシーの運ちゃんは、短く舌打ちすると、  突如、幹線道路をはずれ、車1台通るのがやっとのような、細っそーい横道に車を入れます。  「おお!」  運ちゃんの運転はまさに神懸かりでした。  さっきまで車が動かなかったのがウソのように、ボクの乗ったタクシーは、  コンクリートジャングル・TOKYOシティの中を、縦横無尽に駆け抜けていきます。  「やったぜ運ちゃん、あんたスゲェぜ! 漢(おとこ)だぜ!」  ボクは心の中で、運ちゃんにエールを送ります。  運ちゃんのご尽力により、裏道から見上げるビル群のスキマから、  チラリと中野サンプラザの頭が見えました!  「おお、なんと神々しいお姿。タクシーよ、あれがサンプラの灯だ!」  時刻は開演15分前。  おお、神よ! 我が祈りを聞き届けて下さったのですね!  ありがとうございます! これなら間に合います!  もう、今日限りで「悪魔教」は脱退いたします!  明日から、神様派になります!  やっぱり、時代は、悪魔じゃないぜ!  神様だぜ!  「あれ?」  さっき、右前方に見えていた中野サンプラザが、  今は、左前方に見えてます。  どーゆーこと?  不安になって、運ちゃんの方を見ると・・・。  ヤバイ。  目がイッちゃってる。  運ちゃん、裏道を使って走るのにもう夢中。  自分の「どらいう゛ぃんぐてくにっく」と「うらみちまっぷちしき」に、  酔いどれてしまっているようです。  おいおい! サンプラすぐそこに見えてんじゃん!  さっきから、ぜんぜん距離が縮まってないじゃん!  裏道走ってる場合じゃないじゃん!  幹線道路に出た方が早いじゃん!  なにが神様だ!   やっぱり、神様ダメだ!  トレンディなのは悪魔!  「悪魔教」さいこー!  ちょっとでも神にココロを奪われたボクが間違いでした!  師匠! ボクを許して下さい!  もー断然、悪魔派!  悪魔最高だって思ってたんだよなー、ずっと前から!  お願い! コンサート、最初から見たいの!  どーか、間に合わせて下さいまし!  「はい、お待ち!」  人間、諦めちゃいけないってのはこのことですな。  一途なボクの祈りが通じたのか、  開演10分前に、中野サンプラザの前にめでたくご到着。  やった!
 タクシーを降りたボクは、関係者入り口をめざし、  一心不乱に階段を上っていきます。  そーいや、前に来たときには、ここで田所くんに会ったんだよな。  今回は・・・ニッポン放送関係者、誰もいないなぁ。  入り口で、記帳を済ますと、岩ちゃんとこの事務所のお姉さんが、  ボクに、なんかくれました。  ・・・?  なんか、カードみたいなのに、紐がついてます。  おお、これは!!  そう、それこそ、岩ちゃんのコンサートツアー、  「1999〜2000」のスタッフ用オールエリア立ち入り可のパスカードだったのです!!  これさえあれば、これから先、岩ちゃんのツアー先、どこでも入ることが可能!  たとえ、地方にコンサートを見に行って、入り口で知り合いの人がいなかったとしても、  これを見せれば、VIP待遇(・・・そうか?)!  ちなみに、こんなやつです。
 ・・・デジカメ欲しい。  このパスカード、リアルに再現するのに一生懸命で、  一心不乱に描いてたら、1時間半も経ってた・・・。  デジカメ・・・もしくは、スキャナーがあれば、一発取り込みなのに。  でも待てよ。  スキャナーで取り込んだ画像をこんなとこに貼ったりなんかしたら、  その画像をダウンロードして、プリントアウトして、  「パウチっこ」なんかしたりして、  で、それをクビからぶら下げて、あたかも「コバジュン」のふりをして、  岩ちゃんのコンサート会場に出入りしちゃうヤツとかいたら、大変だなあ。  そんなことになったら、岩ちゃんとこの社長に怒られちゃうなあ。  やっぱ、レプリカ描いて貼っておいた方が安全だな。  でも待てよ。  岩ちゃんのファンにそんなあくどいことするヤツいるか?  「岩男のファンにそんな悪い人間はいません!」  なんて、岩ちゃんとこの社長に怒られたらイヤだなあ。  いやいや、待てよ。  万が一ってことがあるからなあ。  ここは安全に安全を重ねてこの方が・・・。  いやいやいや、待て待て。  よりリアルなホームページ作りをめざすという点からも・・・・。  だあああああああああああ!
 18時。  そんなこんなで、コンサートの開演時間。  あたりの関係者席を見回しても、ニッポン放送関係の人はだーれもいませんな。  おっかしいなぁ。  少なくとも、アニガメパーソナリティの荘口さんは、  今日来るっていってたんだけどなあ。  なーんて思ってると、客電がゆっくりと落ちていきます。  ありゃりゃ、始まっちゃったよ。  結局、荘口さん来ないでやんの。    Overture    空色の風    <MC>    朝のキスを  ・・・と、この辺で、隣の空いてた席に、女の人が来た。  なんだよ。  遅れて来るんじゃねぇよお。  誰だ?  顔を覗いて見たい気もするけど、元々小心者のボクにはそんなことはできません。    あなたを忘れたい    追憶のエチュード  ・・・と、この辺で、隣の席の姉ちゃんのそのまたとなりの席に、男が2人来た。  これはもはや顔をそっちに向けなくても、気配で分かる。  荘口さんと、アニメガ3rdディレクターだった早崎一郎ちゃんだ。  おいおい。遅刻して来るなよお。  ボクは、神と悪魔の狭間に立って、精神崩壊を起こしそうになりながらも、  力の限りがんばって、開演時間に間に合うように、会場に着いたんだぞ。  ・・・などと思いながら、ふと時計を見た。  18時30分。  なるほど。  開演時間、30分、間違ってやがったな。  18時30分開演なのは昨日だよお。    <MC>    夢と眠りのはざまで    あなたをまた戦いに誘うとしても    <MC>    ここにいるよ  あれ?  ボクの隣に座ってる姉ちゃんと、そのまたとなりに座ってる荘口さんが、  なにやら、仲良さげに時々会話してるじゃん。  うーん。荘口さんの知り合いかぁ。  誰なんだろう。  隣の席の人の顔って、覗き込むようにしないと見えないんだよね。  ボクの位置からだと、どうしても誰なのか確認できない。  どーも、タレントさん風なんだけどなぁ。  誰なんだろ。    ぶらんこ降りたら    <MC>    翳りゆく部屋/荒井由実    <MC(メンバー紹介)    鳥籠姫    風のジャンヌ    晩夏  隣の姉ちゃんと荘口さんが時々会話してるのが気になってしょうがない。  うおおおおお。  俺の隣に座ってるのは一体誰なんだあああああ。  ぼそぼそ会話してる声は聞こえてるんだが、  誰なのかが確定できない!  くっそー!    太陽のくに    坂道  ふと気づくと、もうコンサートは、終盤にさしかかっている。  にもかかわらず、隣に座ってる人の正体がわからん!  なおかつ、ボクをいらだたせている要因として、  荘口さんに、ボクの存在を知らしめようと、  さりげなく顔を向けてみたり、  片手をちょこっとあげてみたりしてるのに、  彼が一向にそれに気がつかないということがあった。  さらにそれに拍車をかけるように、  別に気がつかなくてもいい早崎一郎ちゃんがそれに気づいており、  時々、ニカーッと不気味な笑顔を振りまきながら、こっちの方を見てやがる。  いいんだよ。チミは。コンサートに集中しててくれ。    <MC>    Fly over to you…夜空をかけて    翼になれ    手のひらの宇宙    <アンコール>    卒業    空色の風  ありゃりゃ、コンサート終わっちゃったよ。  客電が明るくなってくる。  さ!  隣にいたのが誰か、確認してやる!  ・・・と、顔を向けると、  そこには、すでに、女の人の姿はおろか、  荘口さんの姿も、一郎ちゃんの姿もありませんでした。  ・・・?  ありゃ? オレの見たのは幻だったのか?  ・・・!  はたと気づき、出口の方を見ると、  扉から出ようとする、3人の後ろ姿が見えた!  おいおい! そりゃないだろ!  やっぱ、あの女の人はタレントさんなんだ!  出口が混まないうちに、岩ちゃんの控え室に行こうってんだな!  オレ置いてくなっちゅうの!  荘口さんはともかくも、  コンサート中にオレの存在に気づいてた一郎ちゃんが、  オレを置いていくことは、これは、許すべからざる重罪に値する。  極刑をもって、罪を償って頂かなくては!!  はじかれるように、座っていた席を立ち上がると、3人の後を追う。
 ロビーに出たところで、辺りを見回すと、知り合いの顔を見つけた。  「荘口さん達、どこ行きました?」  「ああ、もう、楽屋の方に向かったよ。」  「冷てえなあ。置いてかれちゃったッスよ。」  「あらま。じゃ、行こうよ。こっち、こっち。」  ステージの脇のドアをくぐり抜け、一路楽屋に向かう。  コンサートの後かたづけをしているスタッフの皆さんを横目で見つつ、  楽屋の一室に設けられた打ち上げ会場にたどり着くと、  はたして、荘口さんはそこにいた。一郎ちゃんと一緒に。  「ちょっとちょっと冷たいじゃないッスか。」  「ああ、ジュンさん。来てたんですねぇ。」  「何、言ってんすか。ボク、荘口さんの隣の隣に座ってたじゃないですか。」  「ウソ。全然気がつかなかった。」  「手、振ってたりとかしたのに。」  と、そこに一郎ちゃんが、  「あ、ジュンさん、お疲れさまです。」  「おめーは、コンサート中、オレに気づいてたろーが。」  「はい。気づいてました。」  「何で置いてくんだよ!」  グギョッ!  一郎ちゃんのボディに鉄拳制裁。  「・・・はう・・・。」  「荘口さん、ボクらの間に座ってたのは誰だったんすか?」  「こんにちはー。」  「?」  声のした方を見ると、ありゃ、  三重野瞳ちゃんじゃないですか。  あ、彼女だったのね、隣に座ってたの。  ようやく胸のつかえが取れた気分だ。
 「皆さん大変お待たせいたしました。岩男潤子、到着しました。」  「みなさん、今日はありがとうございました。」  「では、岩男が皆さんのところにお伺いします。」  打ち上げ会場に岩ちゃんが登場し、関係者に挨拶してまわる。  いつもだと、ステージメイクを落とし、普段着で登場するのだが、  今回は、ステージ衣装のままの登場だ。  一歩一歩、我々の近くにやってくる岩ちゃん。    「あ、瞳ちゃん来てくれてたの。ありがとう。」  「早崎さんも、ありがとう。」  「荘口さん、来てくれたんですね。」  「コバジュンさんも、お忙しいのに、ありがとうございます。」  その場にいた我々一人一人に声をかける律儀な岩ちゃん。  それに対し、我々の第一声。 「・・・何、その顔。」  ステージのメイクのままだから、岩ちゃんの顔はえらくハデ。  瞼の辺りには、キラキラ輝く粉がついてるし、  両目の下には、でっかい宝石みたいなのが接着されてる。  客席から見てるとキレイに見えても、ごく間近で見ると、  チンドン屋だな。  もちろん、そんなこと本人に言って、ヘソを曲げられても困るので、黙ってようっと(笑)。
 そんなこんなで、今回も、いいコンサートでした。  ツアーはまだまだ続くみたいなので、今後が楽しみですな。  ・・・で、今回の話、  一体どの辺にコンサートの「ネタばれ」があったんでしょうか。
 続く  1999/01/17

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