ホーム>WEB版協議会だより>2003年の協議会だより
1月号 | |
2月号 | |
3月号 | |
4月号 | |
5月号 | |
6月号 | |
7月号 | |
8月号 | |
9月号 | |
10月号 | |
11月号 | |
12月号 |
11月19日、厚生労働省は「平成13年地域児童福祉事業等調査の概況」を発表しました。
学童保育に関して、この調査は二回目です。前回の平成9年(1997年)が初めてで、法制化されたことから学童保育も対象として調査するようになりました。(すべての学童保育を対象とした全数調査)
調査をした厚生労働省統計情報部は、1997年に初めて実施する際に全国学童保育連絡協議会の実態調査の項目や結果を参考に調査項目を作成していますが、今回は前回と比べると、「最寄りの小学校からの距離」「障害児の登録状況」「定員設定の有無し「休所日」「経験年数別の職員数」「職員の資格」「クラブの行事」「クラブの運営状況(前回の年調査ではボランティアの活用状況のみ調査)」などが調査項目として追加されていました。
今回発表された「概況」では、そのすべてが公表されてはいませんが、公表されたなかからいくつか特徴的な結果を紹介します。
・1クラプの平均登録児童数
40.3人(前回調査34.9人)
・1クラプの平均指導員数
3.3人(前回調査2.9人)
ここ数年、学童保育数が増えているだけではなく、急速に入所(登録)児童数も増えていることがわかります。
・運営の状況
<出欠の確認方法>
出欠票で確認(85.2%)、随時点呼で確認(8.4%)、定時点呼で確認(3.1%)、特に確認していない(0.4%)、その他.不詳(2.9%)
〈おやつ〉
クラブで購入(77.4%)、クラブでつくる(6.5%)、児童が持ち込む(1.3%)、その他・不詳(7.1%)、なし(7.6%)
〈学習〉
自習方式(71.8%)クラプ職員が教える(25.0%)、ボランティアが教える(0.1%)、その他(32%)
〈ボランティアの活用〉
定期的に活用(7.6%)、不定期に活用(28.4%)、定期的・不定期に活用(0.1%)、活用していない(61.8%)、不詳(2.2%)
今回調査(%) | 前回調査(%) | |
1年生 | 38.8 | 37.6 |
2年生 | 29.9 | 29.6 |
3年生 | 20.2 | 21.2 |
4年生以上 | 10.2 | 10.9 |
その他(幼児等) | 0.9 | 0.8 |
今回調査(%) | |
1人 | 54.0 |
2人 | 24.3 |
3人 | 10.6 |
4人 | 4.7 |
5人以上 | 5.6 |
全体(%) (12020か所) |
うち市町村(公営)(%) (9647か所) |
うち父母会運営(%) (733か所) |
|
〜17:00 | 26.0 | 31.8 | 10.6 |
17:01〜18:00 | 57.3 | 59.6 | 49.4 |
18:01〜 | 15.4 | 8.3 | 37.4 |
全体(%) | うち市町村(公営)(%) | うち父母会運営(%) | |
なし | 9.4 | 9.1 | 0.2 |
2000円未満 | 8.0 | 12.1 | 0.7 |
4000円未満 | 19.8 | 25.7 | 3.6 |
6000円未満 | 20.1 | 26.1 | 10.6 |
10000円未満 | 22.3 | 18.0 | 25.2 |
16000円未満 | 14.2 | 3.5 | 48.2 |
16000円以上 | 3.1 | 0.1 | 10.9 |
運営主体 | 平均利用料 |
全体 | 5716円 |
うち市町村(公営) | 3957円 |
うち社会福祉法人等 | 4751円 |
うち運営委員会 | 7798円 |
うち父母会 | 10673円 |
運営主体によって、利用料に大きな差があります。
なお、全国学童保育連絡協議会では、来年4月に5年ぶりの詳細な実態調査を実施する予定です。(前回の1998年の調査は『実態調査のまとめ』として作成済み)
(この調査結果の概要は、厚生労働省のホームページでも見ることができます。また、上記の表は編集部でくくりなおしたもので、実際のものとはくくり方が異なります。)
政府は、12月20日、来年度予算の原案を発表しました。学童保育予算の総額は、74億3200万円と前年比8.0%増えています。これは、主に補助か所数の増などによるものです。
平成14年度 補助単価積算内訳(基本分) *基本分:児童数20人以上35人未満、開設日数年間281日以上 *単価の半額は保護者負担としているため、補助額はその1/2 1 賃金(非常勤指導員一人分)1,383,000円(×1/2 =691,500円) @6,120円(平日は6/8時間で計算、長期休業中は8/8時間で計算) 2 諸謝金(補助指導員一人分)1,203,000円(×1/2=601,500円) @5,320円(平日は6/8時間で計算、長期休業中は8/8時間で計算) 3 その他の運営費 470,000円(×1/2=235,000円) 補助単価 1〜3の合計額 3,056,000円(補助額 1,528,000円) |
平成15年度の概算要求(基本分の補助単価) 1 賃金(非常勤指導員一人分)1,356,000円(×1/2=678,000円) @6,000円(平日は6/8時間で計算、長期休業中は8/8時間で計算) 2 諸謝金(補助指導員一人分)1,178,000円(×1/2=589,000円) @5,210円(平日は6/8時間で計算、長期休業中は8/8時間で計算) 3 その他の運営費 471,000円(×1/2=235,500円) (材料費、医薬品費、消耗品費、電話料・通信費、図書購入費ほか) 補助単価 1〜3の合計額 3,005,000円 (補助額 1,502,500円) (平成14年度比 23,000円マイナス) |
補助単価はまだ明らかにされていません。しかし、昨年11月に井上美代参議院議員(共産)の資料請求により、はじめて補助単価の積算内訳が明らかになり、概算要求で補助単価を減額して財務省に要求していることがわかりました。
財務省の内示では、概算要求額よりも若干増額されていると厚生労働省は説明していますが、それでもこの三年間据え置かれた末の初の減額となるもようです。
厚生労働省は、概算要求で単価を減額した理由を「国の人事院勧告にならった」と説明していますが、これは、国家公務員の「俸給」(正規職員の人件費)が人事院の勧告で「2.03%マイナス」とされたことを受けたものです。
また、障害児の受け入れ促進事業は、「障害児四名以上」から対象となっていたものが、「二名以上」からと緩和されます。
概算要求に計上していた「地域の障害児(者)施設との連携事業の創設」「遊び名人の巡回派遣事業の創設」、また「障害児通園事業との交流スペース」のための施設整備費は認められませんでした。
初めて明らかになった積算内訳では、内訳の中の指導員の人件費を、一人分は日々雇用の単純労務に服する者に対する「賃金」とし、もう一人分はその「賃金」にもならない「諸謝金」(協力者等に対する報酬、謝金。最低賃金法に基づく都道府県別最低賃金−これ以下での雇用契約は無効)の全国平均をも下回る金額で計算していることがわかりました。
現在の補助単価は、一学童保育施設が年間300万円程度で運営できる(その半額の約150万円を国、自治体が補助し、残りは保護者負担)という考えに基づいています。
これが、実態とは大きくかけ離れているため、運営している保護者や自治体は負担が大きく、指導員は劣悪な労働条件の下におかれています。施策改善に向けて少しでも底上げが必要なのに、補助金を減額するのは全くの逆行です。
別項にもあるように全国学童保育連絡協議会では、減額せずに増額するよう国に働きかけを強めてきました。一月以降も厚生労働省や政党・国会議員に要請を続けていく予定です。
都道府県や市町村に向けては、減額分の補填や独自補助の増額など、補助金が減らないよう働きかけをしていく必要があります。
12月5日、各地から代表者が集まって、すべての政党および厚生労働関係の国会議員を中心に、以下の三点を要望する国会要請行動を行ないました。
政党では、自民党(社会部会、少子化問題対策委員会)、保守党(本部)、公明党(政務調査会)、民主党(男女共同参画委員会)、日本共産党(国会議員団)、社民党(国民生活部会)、自由党(政務調査会)に要請に回りました。
民主党、日本共産党、社民党ではそれぞれに、その部会所属の国会議員の方々と一時間懇談をしました。また、衆議院・参議院の厚生労働委員会の各議員にも要請に回り、多くの議員や政策秘書と懇談することができました。
学童保育の拡充の必要性についてはすべての要請先で理解が得られ、「カットは問題。質問で取り上げたい」「全児童対策と学童保育の違いが理解できた」などの発言をもらいました。
厚生労働省は、歯止めのかからない少子化の進行に対して、保育所の待機児童ゼロ作戦などの従来の方針に加えて、「少子化対策プラスワン」では、男性を含めた働き方の見直しや、地域における子育て支援にも重点を置いて、社会全体で少子化対策に取り組むとしています
そのために、通常国会に二つの法案を出します。一つは、「次世代育成支援対策推進法(仮称)」で、市町村が行動計画を策定し次世代育成支援を推進する法律です(行動計画は二〇〇五年四月施行を予定)。もう一つは、地域における子育て支援の強化等を図るために児童福祉法を改正するというものです。これは、「居宅子育て支援」「子育て短期預かり支援」「子育て相談」などの推進と、保育所の「待機児童解消」の計画策定を義務づけるという内容です。市町村の行動計画策定にあたって国も指針をつくる予定です。
国がつくる指針および都道府県や市町村がつくる行動計画に、「学童保育の整備・拡充」が盛り込まれるよう働きかけていくことも課題として取り組みましょう。
川崎市が今年4月から学童保育をわくわくプラザに統廃合する問題で、国連子どもの権利NGOであるDCI(ディフェンス・フォー・チルドレン、インターナショナル)日本支部が、統廃合は「子どもの権利条約」違反であると、中止を求める意見書を、昨年12月26日に提出しました。(「見解」の内容については、本誌72ページで紹介)
一部の地域で広がりを見せている「学童保育の代わりに全児童対策事業を」という動きに対して、「日本の学童保育は子どもの権利条約の優等生」「全児童対策事業への解消は条約違反」と明快に述べています。
学童保育が働く親とその子どもたちにとってどのように大切なのかを、「子どもの権利条約」の視点からも確かめていきましょう。
全国学童保育連絡協議会は今年5月、学童保育の詳細な実態調査を実施します。
前回の調査は法制化元年の1998年5月で、その調査結果は『1998年版 実態調査のまとめ』に収録し、最も詳しく実態がわかる資料として社会的にも大きく注目されました。
この5年間で、学童保育は約4000か所も急増しています。法制化やエンゼルプランの推進などで実態が改善されたのかどうか。この調査結果をもとに、学童保育の課題を明らかにしていきたいと思います
本誌は唯一の学童保育の月刊誌として、保護者・指導員・行政などたくさんの方々が購読しています。現在、約42000部発行していますが、この間の学童保育の急増、入所児童や指導員の急増に対応した増誌には至っていません。
学童保育の拡充や指導員の仕事の手引き、働きながら子育てする保護者を励ます上で、本誌は大きな役割があります。
そこで、今年4月から7月までを「普及拡大キャンペーン期間」として位置づけ、各地で多様な取り組みを計画しています。ぜひ読者のみなさんにも身近な保護者や指導員の方々に本誌の良さを伝え、読者になってくれるようおすすめ下さい。
*具体的な取り組み計画は、各地の連絡協議会にお問い合わせ下さい。
*本誌の見本誌を活用ください。見本誌が必要な方は、地域連絡協議会または全国連協にご相談下さい。
去る1月22日、厚生労働省は都道府県の福祉部局長を集めて今後の方針を説明しました。学童保育関係について紹介します。
岩田喜美枝雇用均等・児童家庭局長は説明のなかで、「放課後児童クラブも待機児童ゼロ作戦の一環として、閣議決定に基づいて増設していきたい」と説明しました。
1月31日には、小泉首相も施政方針演説で保育所待機児童ゼロ作戦を引き続き推進することとあわせて「小学生のための放課後児童クラブ」を整備すると表明しています。
厚生労働省は、「必要な地域すべてに学童保育を整備する」という考えのもとに、昨年五月には初めて、「(学童保育の)登録されなかった児童数」を把握して、「利用したい児童すべてが利用できるよう整備する」という方向を示しています。
しかし、いまだ新エンゼルプランの平成16年度までの補助対象目標数は11500か所で、一年間に800か所しか増やしていないのですから、目標数を大幅に引き上げるよう要望していく必要があります。
また、この会議で出された資料には、次の記述があります。
「シルバー人材センターにおいて、就学児童に対する放課後・土日学習、生活指導等の支援を行う子育て支援事業を実施することとしている。ついては、放課後児童クラブに、シルバー人材センターを活用し、子育ての担い手としての高齢者を派遣する場合は、都道府県の商工労働部局と連携を密にし、放課後児童クラブの運営に活用されるよう、市町村に対して周知願いたい」
これは、2001年7月の閣議決定で「豊富な経験をもった地域の様々な人材を活用する」「高齢者等の地域の人材を活用することを基本とする」を受けたものです。
高齢者に専任指導員をやってもらうのか、専任指導員とは別のボランティアとして協力いただくのかでは大きな違いがあります。この記述は「指導員として配置する」という表現はありませんが、自治体では「指導員はシルバー人材センターから」という 受け止め方をされることにもなりかねません。指導員の仕事・役割の大切さと、シルバー人材では指導員はできないことを強く訴えていくことが求められます。
全国学童保育連絡協議会では、学童保育で働く指導員の方々に系統的な研修の機会を保障して資質の向上を図ることが重要な課題だと考えています。そのためこの間、全国指導員学校の開催地の拡大や『テキスト・指導員の仕事』の刊行、『実践記録集』の発行などを進めてきました。
その一環として、地域で指導員が自主的な研修を行う際の目安として活用すると同時に、自治体が実施する研修に盛り込んでもらえるよう要望するための基礎資料となる「研修課目(試案)」をまとめました。
仕事の重要性・大変さ・難しさがなかなか理解されないために、「研修」も十分に保障されていない実態を改め、指導員に求められる資質の向上を図るために、今回まとめた「研修課目(試案)」を大いに普及し、活用していきましょう。
また、好評の『テキスト 指導員の仕事』も資料を新しくして増刷しました。この「研修課目(試案)」と合わせて活用してください。
<研修課目の概要>
I 学童保育の目的・役割を理解する課目
II 指導員の仕事を理解する課目
III 子どもの理解と、働きかけの基本を理解する課目
IV 学童保育の生活づくり、その内容と方法の理解に関する課目
V 実践の確かめと記録についての理解に関する課目
*必要な方は、全国事務局または地域連協に問い合わせてください。ホームページでも掲載します。
深刻化する少子化問題に対応する政府の方針が明らかになってきました。
この間の政府の動きを紹介します。
2002年9月13日 | 「少子化社会を考える懇談会」が「中間とりまとめ」発表 |
9月20日 | 「少子化対策プラスワン」を厚生労働大臣が総理に報告 |
10月1日 | 厚生労働省内に少子化対策推進本部を設置(本部長は厚生労働事務次官) |
2003年3月14日 | 「次世代育成支援対策推進法案」および「児童福祉法改正案」を閣議決定(3月17日国会上程) 「少子化対策推進閣僚会議」(1999年5月発足)において、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」を取りまとめた |
3月14日にまとめられた「次世代育成支援に関する当面の取組方針」で今後の政府の方針が明らかにされています。概要は次の通りです。
そのために、3月17日には「次世代育成支援対策推進法案」と「児童福祉法改正案」が国会に上程されました。
学童保育については、次のことが直接関わってきます。
関係閣僚会議で確認した「次世代育成支援に関する当面の取組」のなかで、「保育サービスの充実」の3番目として、
この2年間に、私たちの学童保育の拡充を求める取り組みが求められます。(法律案や「当面の取組方針」等は厚生労働省のホームページで紹介)
前項で紹介したように、文部科学大臣や厚生労働大臣らでつくる「少子化対策推進閣僚会議」が決めた「当面の取組方針」には、学童保育について「幼稚園等を積極的に活用」することがあげられています。
これは、昨年9月に厚生労働大臣が総理大臣に報告した「少子化対策プラスワン」にも出されていたものです。
3月には「幼稚園で学童保育を」といった新聞記事も出ました。
これまでも私立幼稚園が学童保育を運営したり、幼稚園の施設を学童保育に活用することが可能でしたが、実態はあまりありませんでした。
しかし、少子化で悩む幼稚園がニーズが高く不足している学童保育を行うことで、幼稚園にとっても学童保育を求める保護者にとってもプラスになるという考えから、厚生労働省と文部科学省が連携をしたということのようです。
3月末には、文部科学省と厚生労働省連名のアピール通知が出る予定です。
3月16日、全国学童保育連絡協議会が主催して地域の子育てに関わる関係者に呼びかけて、「地域の子育てを考えるシンポジウム」を開きました。
学童保育関係者のほか、市町村の男女共同参画委員、社会福祉協議会職員、児童委員、子ども文庫ボランティア、障害者施設職員、議員、行政職員、学生、研究者の方々など多様な立場の方々約80人が参加し、「地域の子どもの生活の実態と課題」「子どもに保障したい地域の生活とは」「学童保育や児童館などの地域の施設や人々とのネットワークづくりと子育て支援政策の課題」などを深めることができました。(本誌72ページ参照)
「保護者は学童保育にどのような願いを持っているのか」を知り、今後の学童保育のあり方や行政に向けた取り組みに生かすために、全国学童保育連絡協議会は今年2月、無作為抽出で選んだ全国160か所の学童保育の保護者へのアンケート調査を実施しました。
回答は115か所の学童保育の2415人からありました。グラフのように「対象学年は6年生までにしてほしい」(57.7%)「保育時間は7時まで」(24.7%)など保護者の考えがわかりました。
(現状は学年制限がある自治体では8割が3年生まで)
全国学童保育連絡協議会では、7月までにアンケート結果をまとめ、政府(厚生労働省等)や国会議員等に対して行う学童保育の拡充を求める要請活動に生かしていく予定です。
アンケート結果は冊子にまとめます。地域の運動にも役立てていきましょう。
政府は今国会で、「次世代育成支援対策推進法」を新しく制定し、また「児童福祉法一部改正」を計画しています。(本誌5月号本欄参照)
「次世代育成支援対策推進法」は都道府県・市町村および企業が児童育成・子育て支援のために行動計画(2005年から2015年まで)を立てることを義務づけるものです。(2004年度までに計画策定)
また、「児童福祉法一部改正」は、児童福祉法にすべての子育て家庭への支援をねらいとする「子育て支援事業」を法制化して都道府県・市町村が積極的に推進すること、保育所の待機児童が急増している市町村は「保育計画」を立てなければならないとする内容です。
すでに厚生労働省が関係してつくられたいくつかの研究会が、都道府県・市町村が行動計画を立てるための政府の指針づくりとニーズ調査案をまとめ(「地域行動計画作成指針等に関する調査研究」)、また企業行動についての基準案をまとめ(「企業行動計画研究会報告」)、次世代育成支援施策の給付のあり方や財政的枠組み(財源)のあり方を検討しています。(「次世代育成支援施策の在り方に関する研究会」)。
「地域行動計画作成指針等に関する調査報告」では、行動計画策定にあたって留意すべき点として、(1)ニーズ調査の実施、(2)住民を中心とする行動策定委員会、(3)目標の設定、(4)行動計画の事後評価、をあげています。ニーズ調査案では、学童保育ニーズの把握方法も紹介しています。
政府は相次いで「少子化対策」「仕事と子育ての両立支援策」「次世代育成支援策」を出していますが、国・自治体の公的な責任と十分な財源措置の元で推進されることが何より求められます。
また学童保育については、「量的拡充」だけでなく財政措置のある「質的な拡充」が必要です。
さらに、政府が新たに重点的に推進を始めた「地域のすべての子育て家庭への支援」によって、いま川崎市が推進している「全児童対策事業があれば学童保育はいらない」などという方向が広がらないように、あらためて学童保育の固有の役割と保障すべき内容、そのための条件整備の課題w明らかにしていく必要があります。
全国連絡協議会は、5月17日〜18日、全国合宿研究会を栃木で開催しました。今年のテーマは「父母会の必要性と課題」でした。
働く親の願いの中で生まれた学童保育は、親たちの願い・要求と運動によって発展してきました。親たちの願いを確かめ(育て)、組織してきたのは「父母会」の力です。同時に、父母会は働きながら子育てする親たちの共同の子育ての場としてもたいへん大切な役割を果たしてきました。
今日、学童保育が急増する一方、仕事や子育てに悩む親たちも増えています。働く親と父母会の実態と抱えている問題を明らかにし、父母会の役割と活性化のみちすじを明らかにすることを目的に研修・交流しました。
研究会では、はじめに全国事務局から、「父母会調査」報告、父母会についてこれまでの私たちが大切にしてきたこと、課題を整理し深めたい点を提起しました。
深めたい点として提起したことは、
@父母会の今日的役割
A自治体の施策や行政との関係
B指導員の役割
C父母会活性化の方針・方法
D連絡協議会の役割の5点です。
続いて、4つの学童保育から父母会活動に関わる報告を保護者と指導員の立場の双方から受けました。
報告を受けてかの討論では、先に挙げた深めたい5点について、全国各地から参加した保護者、指導員、連絡協議会役員から活発な発言がありました。
あらためて学童保育の父母会の大切さと役割を確認するとともに、父母会をつくり、活発にしていくうえでの課題を明らかにすることができた合宿研究会でした。
なお、今回の合宿研究会の成果をもとに『父母会ガイドブック』(仮称)を作成する予定です。
全国連絡協議会では、『私たちが求める学童保育の設置・運営基準』および『学童保育の保育指針(案)』を2年間の内部検討を経てまとめました。
『私たちが求める学童保育の設置・運営基準』は、
「総則」(学童保育の役割と子どもの最善の利益、国および地方自治体の責務)
「対象児童と入所要件」
「規模」
「開設日・保育時間」
「施設・設備」
「職員」(配置基準、資格、養成機関・養成内容、研修、身分・待遇・健康管理)
「保育内容」
「保護者・保護者会(父母会)の参画および協力・連携」の項目から成り立っています。
また、『学童保育の保育指針(案)』では、
「子どもに保障すべき内容」(安全・健康・衛生、子どもの安定した生活など)
「子どもの把握と記録・保育計画」
「家庭の連絡」
「子どもの保険」
「関係機関との連携」
の項目で、学童保育の子どもたちに安心して生き生きと生活できる学童保育に必要な内容をまとめています。
6月には、『パンフレット』および『解説文も含めた冊子』を作成し、国や地方自治体の行政や議員に実現を働きかけていきたいと思っています。
5月12日、文部科学省と厚生労働省は、連名で「幼稚園における放課後児童健全育成事業の実施について」という通知を各都道府県の教育委員会および児童福祉担当課宛てに出しました。
これは、今年3月の「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(少子化対策推進関係閣僚会議決定)の中で、「放課後児童クラブについて、幼稚園等の積極的な活用含め、その充実を図る」ことが掲げられていることを受けたものです。
通知では「放課後児童の健全な育成が図られるよう適切な環境において実施すること、幼稚園本来の業務に支障のないように実施すること」といった留意点を示すとともに、「学校法人が放課後児童健全育成事業を行う場合の事業の位置づけについて示した」ものと説明しています。
通知の内容は下記の通りです。
学童保育を「必要とする地域すべてに整備していきたい」とする厚生労働省と、私立幼稚園でも「預かり保育」が8割を超えている実情に対応し」た幼稚園をめざす文部科学省は、学童保育の実施場所として幼稚園に着目したと説明しています。
放課後児童健全育成事業を幼稚園において実施する際(市町村からの委託を受け幼稚園を設置する学校法人等が実施する場合を含む。以下同じ)には、以下の点に留意するものとする。
(1)実施環境について
・利用する児童の健全な育成が図られるよう、衛生及び安全が確保された設備を備える等により、適切な遊び及び生活の場を与えて行うこと。
・教育委員会、私立幼稚園担当部局、福祉部局等関係行政機関及び幼稚園、児童館や地域の児童や青少年の健全育成を行う団体が相互に連携を図ること。
・その他「放課後児童健全育成事業の実施について」(平成10年児発第294号厚生省児童家庭局長通知)に基づき、円滑かつ適切に実施すること。
(2)幼稚園としての対応について
・幼稚園の本来の業務や活動に支障のないよう、放課後児童指導員を配置すること。
・幼稚園の施設設備等の利用等についても、幼稚園本来の業務や活動に支障のないように実施すること。
(3)幼稚園を設備する学校法人が行う場合の位置づけについて
・幼稚園を設置する学校法人が、放課後児童健全育成事業を実施する場合については、幼稚園に来たいされている役割に鑑み、当該学校法人の行う教育事業と密接な関連性を有する、いわゆる「附帯事業」として位置づけることができること。
全国学童保育連絡協議会は、6月27日、学童保育の施設改善と来年度予算の大幅増額を求めて、厚生労働省等に要望書を提出し陳情しました。
厚生労働省への要望内容は下記の通りです。対応したのは雇用均等・児童家庭局育成環境課の健全育成係長と専門官でした。
厚生労働省への要望書の概要
1.学童保育の法制化の趣旨と意義を明確にし、新エンゼルプラン等でも政府が強力に推進している旨を地方自治体等に周知徹底して欲しい。
・学童保育は法律で対象と目的が明確に示されており、全児童対策や児童館事業に解消できない。「全児童対策事業でも補助対象となる」かのような誤解を与える厚生労働省が出した文書は表現をあらためること。
2.学童保育の役割が果たせるものとなるよう事業の改善・拡充を図ってほしい。
・必要な地域すべてに設置され、また待機児や大規模化が解消されるよう補助対象数の大幅増加。
・補助金が「非常勤配置」として積算されているのをやめ、専任の常勤職員が常時複数配置できる人件費の予算化を。補助単価は絶対に切り下げない。
・母子家庭等への保育料減免、「土日祝日開設加算」、指導員の待遇改善、児童に対する保険などを含めた運営費の大幅増額。
・学童保育専用施設の整備費補助の創設、既存施設の改修費、設備備品費、民間施設借用の家賃補助などの予算化。
・障害児の受入れ推進の補助基準を一名からとし、加算単価の大幅増額。
・小規模でも指導員が複数配置できるよう補助額の増額。
・指導員の研修費補助の大幅引き上げ。
3.学童保育の法制度を私たちが作成した『私たちが求める学童保育の設置・運営基準』の内容にそったものに改善してほしい。
特に、学童保育専用の施設(室)の確保と、専任の学童保育指導員が常時複数・常勤配置できるよう、国としての最低基準と財政措置を明確にしてほしい。
4.学童保育の拡充を図るために文部科学省等との連携を強めてほしい。
・余裕教室の活用にあたっては「生活の場」にふさわしい施設として活用されるよう、指針や基準を明確にしてほしい。
・長期休業中や土曜日の学童保育の開設促進、教育委員会および学校関係者の理解を図ってほしい。
今年度の要望の特徴は、川崎市が今年四月から学童保育を廃止して「全児童対策」事業に統合した問題を念頭おき、「全児童対策」事業に対する厚生労働省の考えの明確化を求めたこと、私たちがまとめた「指導員の研修課目(試案)を参考に示しながら研修費の拡充を求めたこと、また、『私たちが求める学童保育の設置・運営基準』『学童保育の保育指針(案)』にそった国の施策・制度改善を要望したことです。
要望内容に対しては、「全児童対策事業は法律に位置づけられた施策として重視していくとの考えにたっている」「ニーズは高いので数は増やしていきたい」「補助改善には努力したいが財政が厳しい」「大規模化の問題や安全を確保する問題には関心を持っている」「次世代支援対策推進法に基づく地域行動計画策定にあたってつくる市町村の協議会に学童保育団体も参加することが効果的では」などの回答がありました。
また、文部科学省には、次の三点を要望しました。
@学校施設(余裕教室や校庭)を学童保育に利用できるよう積極的な措置を講じてほしい。
A政令市等で広がっている「全児童対策」事業(放課後の居場所づくり)と学童保育の違い、それぞれの固有の役割を、都道府県・市町村の教育委員会、学校関係者に周知徹底を図ってほしい。
B完全週5日制の休業土曜日や学校の長期休業中に、学童保育を開設することの必要性について、学童保育を所管している市町村の教育委員会、また、学校関係者の理解を図ってほしい。
文部科学省からは「余裕教室への学童保育の転用は積極的に推進していく」との回答がありました。
この他、すべての政党、衆議院・参議院の厚生労働委員会の国会議員、地方6団体(全国知事会や全国市長会など)に、要望書と『私たちが求める学童保育の設置・運営基準』を届け、学童保育施策の拡充を訴えました。
急激に進行する少子化を食い止めようと政府や国会は、二つの新しい法律(「少子化社会対策基本法」と「次世代育成支援対策推進法」)をつくり、さらに児童福祉法を改正して、少子化対策・子育て支援を進めようとしています。
「少子化社会対策基本法」は少子化対策の必要性を明らかにし、基本理念を定めています。学童保育も「保育ニーズ等」のなかに位置づけて、拡充のために必要な施策を講じることを明記しています。
「次世代支援対策推進法」は、すべての市町村(および都道府県)が児童育成・子育て支援のために「地域行動計画」を立てることを義務づけるための法律です。2005年度から2015年度までの10年間に推進すべき児童育成計画・子育て支援計画(学童保育の整備計画も含む)を、すべての市町村(および都道府県)が2005年3月までに策定することを義務づけています。
また、「児童福祉法一部改正」は、児童福祉法にすべての子育て家庭への支援をねらいとする「子育て支援事業」を法制化して都道府県・市町村が積極的に推進すること、保育所の待機児童が急増している市町村は「保育計画」を立てなければならないとする内容です。
学童保育については「子育て支援事業」として位置づけ、「着実に実施されるよう、必要な措置の実施に努めなければならない」と市町村の責任を明記しました。ただし、保育所は仕事と子育ての両立の観点から推進されているのに、学童保育は「すべての子育て家庭」への支援のひとつとして位置づけられています。このことは、「全児童対策」事業との違いがあいまいになると危惧される内容です。
この三つの法案はともに、7月にすべての会派の賛成で成立・可決しました。
いま政府は、市町村や都道府県に「地域行動計画」策定までのスケジュールを示し、「地域行動計画」を策定するための「策定指針」と「策定マニュアル」を作成(8月発表)し、市町村・都道府県に、早急に計画づくりに取り組むよう指示しています。
この行動計画に、学童保育の拡充計画を盛り込むよう地方自治体に働きかけていくことが必要です。また国に対しても、量的な面と質的な面の両面の拡充計画を立てることと、そのために必要な財源の確保を求めていく必要があります。
全国学童保育連絡協議会では、パンフレット「学童保育を拡充させる『地域行動計画』を〜計画策定までに取り組む私たちの課題〜」(B5判12ページ、無料)を作成しました。
ぜひこのパンフレットを活用して自治体への要請に取り組みましょう。パンフレット希望の方は地域の連絡協議会または全国事務局に申し込んでください。
7月6日、本誌の来年度の一年間の特集テーマを検討する編集企画会議を東京都内で開催しました。
企画会議には、編集委員、編集協力員、『日本の学童ほいく』誌の普及に努力している保護者・指導員ら40名が参加しました。
本誌の感想・普及・活用の交流をしながら、内容豊かな誌面づくりの意見交換をしたのちに、来年度の特集テーマ(案)を検討しました。特集テーマは9月に開く全国運営委員会で決定します。
本誌は、読者の皆さんの参加(投稿や執筆者紹介、誌面や対する意見や要望)によって作られている本です。巻末綴じ込み用紙を活用して皆さんの声をお気軽にお寄せください。
指導員の仕事の基本をわかりやすく解説した研修テキスト「指導員の仕事」は、これまでに13000部を発行しました。このたび、全国連絡協議会が6月に初めてまとめた「学童保育の保育指針(案)」を資料として追加し増刷しました。ぜひ活用ください。(頒価500円)
本誌8月号78ページの「急増する学童保育」の副題を次のように訂正します。「昨年から972か所増えて13797か所に」
厚生省の来年度についての概算要求(財務省への要求額)が8月28日発表されました。学童保育関係については次の通りです。
<放課後児童健全育成事業>
◆総額 87億2200万円(今年度比 12億9000万円増、17・4%増)
◆補助対象か所数 12400か所(今年度比 800か所増)
◆地域の人材を活用した伝統的遊びや自然体験等の事業を創設する。
厚生労働省は、「大都市周辺部を中心に、放課後児童の受け入れ体制を平成16年度までに全体として15000か所とすることを目標」、国庫補助対象を800か所増やしています。補助金総額は、法制化された年に48%増されて以来の伸び率となっています。
<施設整備関係>
学童保育の専用施設として活用できる「子育て支援のための拠点施設整備費」は「拡充」する措置として、
@施設の設置主体を市町村に限っていたものを社会福祉法人が設置した場合も補助の対象とする。
A障害児の受け入れ促進を考えて、「放課後児童クラブと障害児通園事業を連携して実施する場合に交流スペースの整備補助を加算すること(昨年度も概算要求したが財務省査定でカットされた)
を計上しています。
なお、2002年12月に与党三党で合意した税制改正に関連した「少子化対策の施策」に要する経費(国と地方を通じて2500億円の枠内)については、児童手当支給年齢等の見直し、地域における子育て支援事業、児童虐待防止対策等の事項として要求し、年末の予算編成仮定で検討するとしています。
なお、概算要求は暮れの財務省査定を経て、政府予算案となりますので、財務省査定で削られる場合もあります。
補助単価は暮れの政府予算案で明らかになりますが、さらに詳しい内容が明らかになりましたら本欄で紹介していきます。
文部科学省は生涯学習政策局の概算要求として、「子どもの居場所づくり新プラン 地域子ども教室推進事業」を創設するために125億円を新たに計上しています。
◆子どもの居場所づくり新プラン 地域子ども教室推進事業
子どもに関わる重大事件の続発など青少年の問題行動が深刻化してきたことや、家庭や地域の教育力が低下しているなどの「緊急的課題」に対応するために、学校を活用して放課後や週末にスポーツや文化活動などの体験活動や地域住民との交流を支援するための指導員を派遣し、緊急かつ計画的に子どもの居場所(活動拠点)を整備する事業。
・計画は、1年目に7000校、2年目に14000校で実施し、3年目には全国的に定着させる。
・補助内容としては、「地域子ども教室指導員の派遣」と「子ども居場所づくりコーディネーター等の配置」に要する費用を補助する。
・補助単価は、地域子ども教室指導員の派遣経費として1校当たり年間169.8万円(56.6万円の3人分)、コーディネーター等配置の経費として一市町村当たり31.7万円(1700市町村分)
新聞記事では、文部科学省が「大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件以来、開放方針は変えないものの安全面に配慮するよう求めていた」(日経)、「小学校三年生までの学童保育事業との連携を図り、中学生までを対象に、スポーツや伝統文化などのボランティア団体に教室を開いてもらう」などと紹介されています。(詳しくは次号で紹介します)
B5判一三二ページ 頒価七〇〇円
すべての市町村と都道府県に、「地域の子育て支援のための行動計画」「保育計画」を二〇〇四年度中に策定することが義務づけられましたが、八月二二日に七大臣連名で告示された「行動計画策定指針」や、策定の手順を示した「計画策定の留意点」、ニーズ調査票の参考してつくられた「行動計画策定の手引き」など、国が出した資料を掲載した資料集を刊行しました。
パンフレット「学童保育を拡充させる『地域行動計画』を 計画策定までに取り組む私たちの課題」とあわせて、ぜひ活用ください。
先月号で、厚生労働省の来年度予算の学童保育にかかわる概算要求を紹介しましたが、新たにわかった点をお知らせします。
◆補助単価
補助単価はまだ明らかにされていませんが、来年度もマイナスとなった人事院勧告に従って補助単価も引き下げられそうです。
なお、補助単価が減り、補助対象か所数も前年と同じなのに、補助金総額が延びていることについては、大規模な学童保育が増えているため、一か所当たりの補助額が増えているからです。
◆(新規)放課後特別事業の創設
新規予算として、
「市町村に登録された地域の人を放課後児童クラブに派遣し、伝統的な遊び、自然等体験、障害児(者)施設との連携、児童の安全確保(送迎が必要な児童への付添等)等を実施することで、地域との交流を図り、様々な遊び等を通じて、より一層の児童の健全育成を図る」
ために「放課後児童特別事業」を要求しています。
これは、市町村が「地域の人」(高齢者、学生、障害者施設職員、ボランティア等)を登録し、登録された人を学童保育に派遣するための謝礼として補助するものです。(各学童保育に補助するものではなく市町村に補助する)
一市町村当たり44万1000円を上限に(補助率は3分の1)、430市町村分を要求しています。
派遣される学童保育は、運営主体や補助金の有無は問わないようです。
厚生労働省は、障害児施設との連携や児童の安全確保をねらいとして考えており、障害児の養護学校からの送迎や他校区から通う際の送迎ボランティアなど、行き帰りの安全確保などに活用したいと説明しています。
◆施設整備関係
学童保育の専用施設整備のための「子育て支援のための拠点施設整備費」の拡充については前号でお知らせした通りですが、「子育て支援のための拠点施設整備費」は2003年度(平成15)から補助金交付要綱を変更しています。(まだ要綱はできていない)
これまでの補助の上限であった「80.3u」はなくなり、その程度に該当する金額を上限とすることになっています。(都道府県によって補助単価が違うが約1200万円前後となる)
4年前から、新たに四国会場、九州会場、東北会場でも開催している全国指導員学校は、今年も47都道府県から過去最高の合計約3800人が受講しました。また、充実した内容によって参加者の感想も好評でした。
全国各地で学童保育が急増し、新しい指導員も急増している中で、この全国指導員学校はますます期待されています。
全国学童保育連絡協議会では、より多くの指導員が参加できるよう、開催地の拡大、内容の充実、実施方法の整備などに取り組んでいきたいと思っています。
*指導員の研修には、『テキスト指導員の仕事』(改訂版・頒価500円)、『指導員の研修科目の試案』(無料)も活用してください。
第28回全国指導員学校の開催状況
会場 | 開催日 | 開催地 | 受講者数 | 昨年受講者数 |
西日本会場 | 6月1日 | 大阪・大阪市 | 19府県 1091人 | 17府県 967人 |
東日本会場 | 6月8日 | 東京・武蔵野市 | 17府県 1189人 | 17府県 1304人 |
四国会場 | 6月22日 | 香川・高松市 | 8県 320人 | 10県 237人 |
九州会場 | 9月14日 | 福岡・春日市 | 11県 780人 | 11県 732人 |
東北会場 | 9月15日 | 宮城・仙台市 | 1道6県 397人 | 6県 338人 |
合計 | 47都道府県 3777人 | 46都府県 3578人 |
(参考)第26回3457人(5会場)、第25回2100人(2会場)、第24回2171人(2会場)
◆ 『2003年度版 学童保育の実態と課題』
5年ぶりの詳細な実態調査の報告書です。施設設備・指導員・開設時間・保育料等多岐にわたって調査しています。市町村別一覧付。(A4判 150ページ)
◆ 『父母会ハンドブック』
「父母会を活性化は」「父母会の必要性と役割は」「父母会と指導員の関係は」「父母会Q&A」など、父母会について初めてハンドブックです。(A5判 60ページ)
◆ 『学童保育の実践記録集』(第4集)
指導員が実践を振り返り、具体的な子どもへの関わりを通して、指導員の仕事を確かめた実践記録集の第四集です。(B5判 130ページ)
◆ 『学童保育情報 2003-2004』
この一年間の学童保育をめぐる動きと課題、国の制度・施策・予算・通知、私たちの要望など、学童保育に関する情報をまとめた資料集です。(B5判 130ページ)
*ご注文は地域の連絡協議会または全国事務局まで。
「次世代育成支援対策推進法」で、すべての市町村・都道府県に策定が義務づけられている「地域行動計画」策定にあたって、いま各市町村では、ニーズ調査が実施され、「地域協議会」発足しています。
ニーズ調査の実施については、厚生労働省が「モデル調査票」を示していますが、学童保育ニーズの数量的な調査だけでなく、保護者に現在の満足度や今後充実してほしい項目を調査するなど、質的な面での調査を行っているところも少なくないようです。
また、「地域協議会」はまだ多くの市町村では発足していませんが、発足したところでは、委員に学童保育の連絡協議会役員が参加しているところもあります。
厚生労働省は市町村からの問い合わせに答えるために、「地域行動計画策定に関するQ&A」を作成しました。ので一部紹介します。(厚生労働省のホームページから全文入手できます)
「市町村合併との関係」「既存の児童育成計画との関係」「地域協議会の活用」「ニーズ調査についての近年の類似調査との関係」などについての厚生労働省の考えを示しています。
例えば、ニーズ調査の実施時期については、学童保育を含めた「特定14事業」の「定量的目標数値」の国への報告締め切り期限である2004年8月は厳守しなければならないため、2004年度に入ってからの実施は「困難」としています。
また、「行動計画」策定に係わる費用については「子育て支援事業」に総額200億円の地方交付税措置をしているとし、国の補助金は「すべてに策定を義務づけているもので補助金になじまない」としています。
2005年度からのあたらな国としてのプランでは、「市町村が設定した定量的目標数値を踏まえ、各地方公共団体に対する必要な(財政的)支援を行うよう努める」としています。
全国学童保育連絡協議会は8月、厚生労働省の意見募集に対して「十分な財政措置を付けて実効力をつけてほしい」と次のように要望してきました。
「市町村においてはその計画が実効力を持つかどうかは、計画実行のための財政措置が確保されるかどうかに大いにかかっています。国による財政措置が見込めなければ、計画そのものも小規模となり、これまでのエンゼルプラン等と同様な結果になりかねません。やはり実効力は財政措置の保障がおおもとだと考えます。
とりわけ学童保育の現状がたいへん貧困であり、財政措置も含めて市町村任せになっていることが大きな障害(ネック)となっています。ぜひ財政措置も十分に確保して計画づくりを推進していただくことを強く要望します」
このような財政措置の要求も含め、これからもよりいっそう学童保育の拡充を求めて、市町村・都道府県への働きかけを強めていきましょう。
*全国事務局に、策定に係わる各地の動き・情報をお寄せください
日程・会場等は未定です。決まり次第、本ページやホームページでお知らせします。
本誌11月号特集の24ページ「学童保育の開設時間、指導員の勤務時間」の表に、集計上の誤りがありましたので次のように訂正します。
表1 学童保育の開設時間、指導員の勤務時間 (正誤表)
2003年調査 | 98年との比較 | ||||
誤 | 正 | 誤 | 正 | ||
平日 | 指導員の出勤時刻 | 12:26 | 12:07 | 36分遅い | 17分遅い |
子どもの帰宅時刻 | 17:54 | 17:50 | 28分遅い | 24分遅い | |
指導員の退勤時刻 | 18:08 | 18:03 | 30分遅い | 25分遅い | |
指導員の勤務時間数 | 5時間43分 | 5時間57分 | 5分短い | 9分長い | |
土曜日 | 指導員の出勤時刻 | 8:26 | 8:29 | 39分早い | 36分早い |
子どもの受入時刻 | 8:35 | 8:36 | 34分早い | 33分早い | |
子どもの帰宅時刻 | 17:17 | 17:15 | 28分遅い | 26分遅い | |
指導員の退勤時刻 | 17:31 | 17:27 | 31分遅い | 27分遅い | |
指導員の勤務時間数 | 9時間5分 | 8時間57分 | 73分長い | 65分長い | |
保育時間数 | 8時間42分 | 8時間39分 | 61分長い | 58分長い | |
学校休業日 | 指導員の出勤時刻 | 8:22 | 8:26 | 20分早い | 16分早い |
子どもの受入時刻 | 8:30 | 8:32 | 18分早い | 16分早い | |
子どもの帰宅時刻 | 17:46 | 17:42 | 33分遅い | 29分遅い | |
指導員の退勤時刻 | 18:00 | 17:54 | 36分遅い | 30分遅い | |
指導員の勤務時間数 | 9時間38分 | 9時間28分 | 59分長い | 49分長い | |
保育時間数 | 9時間17分 | 9時間10分 | 52分長い | 45分長い |