第5話 運動会その弐・クラス対抗リレー

「ただいまより、6年生による、クラス対抗リレーを行います。

その前に、6年7組の選手は、至急本部前に集合して下さい。」と、放送が流れました。

そして7組の選手が集まった瞬間、消えてなくなりました。3組が分子分解装置を埋めておき、

放送部を買収しての作戦でした。さすがは若本さんです。でも負けるわけには行きません。

私も密かに作戦を進めているのです。いよいよリレーが始まりました。他のクラスはすでに

戦闘不能にしてあるので、事実上3組と4組の一騎打ちです。私たち4組からは、

島田君、佐藤さん、松野君、鹿島君の4人が出場しました。対する3組は、石野君、清水さん、内川君、真田君。

いずれも若本さんの親衛隊員なので、気が抜けません。第一走者がスタートラインに並びました。

「位置について、用意、」そのとき、若本さんがにやりと笑いました。

彼女は部下の中野さんを係員に変装させ、ピストルで島田君を撃つつもりでいたのです。

しかし私はそれを見破っていました。ピストルが撃たれた時、頭から血を吹き出して倒れたのは、

島田君でなく石野君でした。3組は、何が起こったのか分からず騒然としています。

やがて、ピストルを撃ったのが中野さんでなく、うちのクラスの林君だと気づくと、

とても悔しがっていました。今頃中野さんは、東京湾で魚の餌にでもなっているはずです。

一方レースの方はと言うと、撃たれた石野君のかわりに真田君が走っていましたが、

すでに先頭の島田君とは半周の差がついていました。

地雷に気をつけながら、島田君は二番手の佐藤さんにバトンを渡しました。

遅れている3組が清水さんにバトンを渡したときです。私が手に持ったリモコンのスイッチを押すと、

突如バトンが爆発、清水さんと真田君は粉々に吹き飛びました。

これで3組は内川君1人となり、棄権しました。誰もが4組の勝ちだと思った、そのときです。

全く無警戒だった2組が、突然トップにたちました。

2組の三番手、犬飼君は、自らの肉体をサイボーグに改造していたのです。

地雷もバンジステークも、彼の前には無力でした。

時速300キロであっというまに松野君を抜き去ってしまったのです。

犬飼君はアンカーも兼ねていたので、そのまま四周目に入りました。完全に虚を突かれました。

普段は3組の陰に隠れ、学年最弱とまでいわれていた2組です。

誰もここまでするとは予想していませんでした。

私は心の中で拍手を送りつつ、アンカーの鹿島君にサインを送りました。

松野君からバトンを受け取った鹿島君は、バトンの先を、すでに第4コーナーをまわった犬飼君に向けました。

あらかじめ改造しておいたバトンの先からビームが放たれ、犬飼君は四散しました。

結局、リレーは見事我が4組が1位をとり、2位は1組、3位以下はなし、という結果になりました。

しかしこれで3組との決着がついたわけではありません。まだまだ競技は残っています。

若本さんには絶対、負けません!


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