監督:神山健治 キャラクターデザイン・作画:西尾鉄也 脚本:押井守 音楽:川井憲次 3DCG監督:IKIF 声の出演:大林隆之介、榊原良子、千葉繁 本編の「パトレイバー」に参加しなかった押井監督が 以前から暖めていた実験的な技法を展開したのがこの「ミニパト」である。 まあ 簡単に言ってしまえば ガンダムでいうSDガンダムと同じように縮小されデフォルメされたイングラム他後藤、南雲、太田など主要キャラが登場するパロディミニドラマであるが、これが結構良くできている。 押井監督に言わせれば 前述のSDガンダムのようにはしたくはなかったということで監督のアイデアである「割り箸アニメ」(割り箸に厚紙をくっつけた人形となって 表、裏パタパタとしながら動き回るというもの)を採用して一連のSDアニメーションとの差別化に成功している。 また 長年のファンにとって馴染みのキャラクターをデフォルメするというのは相当の拒絶反応があると思われるが、キャラクターデザインと作画を担当された西尾鉄也氏(「人狼」の作画監督としても有名、愛知県出身)の独特な筆ペンタッチの作風がマッチして不思議と違和感が感じられない。 それに この制作スタイルが実際に割り箸に厚紙に書いたキャラクターを貼り付け、西尾氏自らパタパタと動かし演技したところをビデオ撮影。 それをPC上でトレースしCGソフト「LightWave」を使って3Dアニメーション化するという複雑な工程を経てアニメーションが出来上がっていることは非常に興味がそそられた。(元になったビデオ映像も見てみたいものだが DVD化の折りには特典として収録されるのだろうか?) それから肝心のストーリーだが、全3話のうち私は上映の関係上(今回、劇場毎にシャッフル上映という方式をとっている為、週替わりに上映作品が変わるのだ)、3話目の「特車2課の秘密」を見たのだが特車2課内の食料及び財政状況を、特に「ハゼ」釣りとそのハゼの干物による現金収入に言及した展開は非常に面白い。 全編、狂言回し的に登場する南雲隊長による淡々とした口調で語られる特車2課の秘密は OVAシリーズを見ていたファンならもうお馴染みのもの。 新OVAシリーズにも「火の七日間」という 整備班を中心に据えた 焚書抗儒ならぬ”エロ本抗儒”の顛末を描いた回があるのだが、劇中、私はそれを思い出してしまった。 残りの2話(「吼えろ リボルバーカノン」「ああ 栄光の98式AV」)も早く見てみたいものだ。 ![]() それにしても あの押井ファンお馴染みの報告書を読むがの如くのセリフまわし。 よくあんなセリフ書けるなあと あらためて感心してしまう。
|