第4日目:マドリッド→セルベーレ→車中泊


1996年8月6日
列車名/路線乗車区間
TALGO/374 ??:????:??MADRID CHAMARTIN
TALGO/374MADRID CHAMARTIN11:0020:20CERBERE
HISPANIA/375→376CERBERE23:05車中泊
マドリッド

 突然、目覚ましの音で目が覚めた。ふと見るとまだ2時である。朝7時に目覚ましをセットしていたのにおかしいなと思って時計を見たら、7時にセットしてある。この時計、Viewカードの会員になったときに貰った時計である。ある日、間違って洗濯機で洗ってしまって以来、動作が変になったのを、自分で修理して、きちんと動作することを確認していたのに・・・。取りあえず5時間の時差を与え12時に目覚ましをセット。もう一度寝る
 7:00目覚ましが鳴り、目が覚めた。今度から、目覚まし時計に5時間の時差を与えないといけない・・・・(^_^;;
 それはそうと、今日も天気が良く暑い一日になりそう。今日の予定は、ほとんど列車に乗りっぱなしの予定なので暑くなろうとあまり関係ないが・・・
 TVをつけると、懐かしい日本のメロディが流れている。ふと見ると、「ウルトラマン」であった。オープニングの歌は日本語であったが、中身はスペイン語に吹き替えられていた。こんな所で、ウルトラマンを見ることになろうとはと思いもよらなかった。チャンネルをひねると、今度は日本のアニメで昔懐かし「フランダースの犬」をやっている。意外なところに日本のアニメが浸透しているなあ
 8時を過ぎた頃、ホテルをチェックアウトし、アトーチャ駅へ向かう。アトーチャ駅前の大通りは片側6車線もあるが、ラッシュ時なので車の流れが激しい。アトーチャ駅は昨日も見たが、構内には植物園があり、日本の駅とは全く違うゆとりが感じられる。外観も、赤煉瓦調のドッシリとした建物で、実に町中に調和している
このまま、チャマルティン駅へ向かうと早すぎるので、レティーロ公園を歩き、隣のレコレートス駅からチャマルテンへ向かうことにする。レティーロ公園は、適当な木陰もあり、涼しい。ジョギングしている人も多数見かけた

 9:30頃レコレート駅に到着する。レコレート駅は地下駅である。マドリッドの国電区間の駅なので自動改札であった。ユーレイルパスでは自動改札は通れないので、係員がいる通路へ行き、ユーレイルパスを見せ通路のゲートを開けて通して貰う。このゲート、日本でおなじみのものと非常に似ているので、親しみが起きる
 到着した電車に乗車してみれば、1列3+2席のクロスシート通勤型電車であった。日本では新幹線でおなじみだが海外にあるとは思わなかった!。海外では、座れないのが、大変混んでいることを意味するので、マドリット近郊でも2階建車両や座席の5列化で、通勤客をさばいているのであろう。ちなみに、この時間帯はがらがらで、6人掛けボックス席を難なくキープできた。トンネルを抜けるとチャマルテン駅に到着する
 ここで、1時間程小休止となる。構内の店でクロワッサンとコーヒーを購入し、朝食とする。それでも暇なので、構内の探索で時間を過ごす

タルゴ374列車

TALGO

374列車(Madrid Chamartin駅)

 発車20分前に11:00発のバルセロナ方面、セルベーレ行きタルゴの乗車案内が乗車案内板に表示される。一斉に、大きな荷物を持った乗客が移動を始め、ホームへ向かうエスカレータに一時的に行列ができた。指定された1等の車内に入ると、車両は狭いが1列1+2席のシート配置で全体的にゆったりとしている。1両あたりの定員は21名程度である
 車内を見渡すと昨日乗車したAVEと同じように、TVモニターが天井に付いて、RENFFEのCMを流している。静かな滑り出しでタルゴ374列車は定刻11:00、マドリッド・チャマルテン駅を定刻に発車した。すぐに、市街地を抜け、荒涼としたスペインの大地を走る

 車掌が切符のチェックに現れ、そのあとRENFEの雑誌、イヤホーン、WAGONS-LITSのメニューと配り始めた。メニューを見た限りではドリンクと軽食のようだ
 そのうち、車掌が客に何かの注文を取りに来た。何を言っているのか、サッパリわからなかったが、そのあとの行動を観察していると、ランチの注文を取りに来たようである
 注意深く観察すると、1等では座席に食事を出前してくれるサービスがあるようである。沿線最大の都市ザラゴナを発車したあと、ビッフェに出かけてみる
 昼食時間帯なので、カウンターはお客で埋まっている。ちょうど、席を立つ客がいたので、そのあとに座る。さて、何を頼もうかとメニューを見回すが、軽食程度のものしかない。まわりを見ると、ランチセットみたいなものを食べている客もいるが、どこを見回しても該当するメニューがない。「英語、わかります?」と従業員に尋ねたが「NO!]の一声。仕方がないので、メニューに載っている、サンドイッチとコーヒを注文し、食べる。しかし、ビッフェで食事をしながら眺める景色もまた趣があり良い。食事が終わってまた、座席に戻る
 海が見えてきたなあと思ったら、タラゴナに到着。16:52定刻である。ここから、列車はバルセロナまで海岸線に沿って走る。夏場の地中海沿岸は、別荘地と化すのか海水浴客、キャンピングカーが多く、バルセロナまで延々とこの光景が続いていた。今回は、時間の都合で、途中下車できないが、今度来るときは途中下車して、海水浴でもしたいものである
 途中、工事による徐行区間があったが、定刻18:00、地下駅のバルセロナ・サンツ駅に到着。ここで、ほとんどの乗客が下車した。マドリッド市内といい、大都市の中心部は地下鉄にして地上の渋滞を解消しているようである
 4分停車後、タルゴは終点のセレベーレへ向けて出発する。バルセロナ・サンツから先はローカル線となり、特急であるタルゴも、ほぼ各駅に停車していく。ここで、1人の日本人女性の旅行客から声を掛けられる。こちらも、7時間以上乗りづめで退屈していたので、しばらく話をする
 話を聞けば、彼女は1ヶ月近くユーレイルパスを使用してヨーロッパを廻っていた優雅なOLであった。バルセロナからタルゴに乗車したが、ユーレイルパスの他に別途600ペセタの料金が必要なのだが、ペセタを持ち合わせておらず、車掌にユーレイルパスを取り上げられて困っているので、コインを持ち合わせていたら貸して欲しいとの話であった。あいにく、600ペセタ分のコインはなく、1000ペセタ紙幣を差し出しても、受け取らなかった
 なぜ、彼女がお金に困っていたのかというと、マラガで一人歩きをしていて、強盗に会い、ペセタの有り金をすべて巻き上げられたという、怖い経験をしたのであった。夜行に乗車して、バルセロナに来て、この列車でフランスに戻るとのこと。スペインの南部は結構危ないところがあるので注意が必要である。最終的には、お金を差し上げるつもりであったが、彼女はそのときの警察の調書を見せて、車掌と交渉することで、ユーレイルパスを取り返すことに成功した。1人で海外を放浪しているだけあって、なかなかタフな子である
 20:14スペインの国境駅ポートボーに到着する。スペインの列車はセルベーレまで入るが、逆方向はこのポートボーが始発駅である。フランス側だとポ−トボーが終着駅であるが、フランス方面の始発駅はフランス側の国境駅セレベーレである。たぶん、この区間は、標準軌と広軌の併用区間なのだろうと期待する。しかし、構内を見渡すと、フランス国鉄が乗り入れを行うはずなのだが、標準軌の線路が見あたらない!
 時刻表上はすぐの発車なのだが、なかなか列車が発車しない。ちらっと、海側にフランス国鉄らしき車両が見えたかなと思った頃、20分近く遅れて、ゴトリと列車は発車し、静々とトンネルに入った。このトンネルがスペイン・フランスの国境である。隣にレールがあるので、覗き込むと、まだ1648mmの広軌である。ポートボーまで、フランスの列車も乗り入れているのに変だなと思っているまもなく、列車は20分遅れでセレベーレの1番ホームに到着

TICKET

TALGOの指定券

ヒスパニア(376/375)
Cerbere St.

スペイン/フランス国境の駅「セルベーレ」

 セレベーレの駅は、田舎の静かな駅であり、入国検査もなかった。ただ、両替所があることだけが、国境の駅であることを物語っていた。食事をとりたいと思って、外へ出ても駅周辺にはフランス国鉄(SFNC)の車両基地があるだけで何も見あたらない。駅に戻りてみたが、ファーストフードとレストランをくっつけた構内レストランがただ1件営業していた。ここで、サンドイッチとコーヒーを買い、取りあえずお腹に詰め込む
 あらためて、構内を見渡すと、いろいろな国籍の若者が多くたむろしていて、以前の東京駅で大垣夜行を待つ光景とよく似ている。この様なところで、こんな雰囲気が味わえるとは以外であった。アジア系は、韓国人がばかりである。日本人だと、ほとんど飛行機で廻るが、韓国人は鉄道を利用して廻る様である
 タルゴの車内で一緒になった彼女に聞いても、韓国人が多いとの感想を述べていたので、その傾向が強いようである。このあと何度か、韓国人に「韓国人か?」と朝鮮語で尋ねられることが多かった。パックパッカースタイルの日本人は珍しいようである(^^;;

 すっかり暗くなったが、構内の様子を観察すると、1番線だけが1648mmの広軌で2,3番線は1435mmの標準軌であった。このあとの時間帯、セレベーレからはパリ、ジュネーブ、ニース行きの夜行列車が発着するゴールデンタイムである
 21:00頃、まずパリ行きの列車が3番ホームに入ってくる。パリへ向かう彼女と別れて、ホームでぼんやりとすごす。突然雨が降り出した。この旅、初めての雨だ。その雨の中、21:50頃ジュネーブ行き(HISPANIA)が2番ホームに入ってきたので、編成を眺める
 1,2等座席コンパメート、1,2等クシェットを連結した10両編成程(正確な数値忘れました)であった。以外に長い。2等寝台を覗き込むと、昔懐かしの3段式で、6人部屋のコンパメートである。各段の寝台の上下幅は狭くまるでカイコ棚のよう!。1等寝台に乗車すれば、それは2等寝台との合造車であった
 昔、日本に10系寝台車があった(私は乗ったことがない)が、その雰囲気に似ているような気がした。日本では夜行列車がなくなりつつあり、寂しい状況だが、フランスではまだまだ、活躍していてうらやましい
 1等クシェットは上下2段の4人部屋であったが、セレベーレ発車時点では中年の女性客と私だけであった。コンパメートの寝台券の発券は、男性女性を分けると聞いていたので不思議に思い聞いてみると、パリ行きに乗るはずだったがスペインからの接続列車が遅れて、乗れなかったため、空いている寝台にも乗り込んだとのこと。空いていれば、自由に乗車する事ができるのであった
 彼女は明朝5:57着のリヨンで下車して、パリ行きに乗り換えるとのことであった。しかし、この寝台車、1等なのに冷房がなくムンムンする暑さだ。「暑いですね。窓を開けましょう!」と言って窓を開け、部屋の換気を良くする
 車掌が来て切符のチェックが終わると、3番ホームにタルゴ車が入ってきて、運転停車した。時刻表を見るとチューリッヒ・ミラノ行きの「パブロ・カザルス」、「サルバドール・ダリ」のようだ。この列車、行き先が2カ所あるからか、2両も食堂車をつないでいて、乗客が楽しそうにグラスを傾けている
 この列車、ユーレイルパスで乗れないので、今回見送ったのだが、今度来たときには是非乗車したいなあ。タルゴを見送ったあと、我が376列車は、ほぼ、定刻にジュネーブへ向け出発した。が、窓を空けているから、レールの音がうるさい。閉めると暑いので、窓の開け具合を最小限にして、カーテンをして、誤魔化すことにする。いつの間にか雨が上がったようだ。眠いのでさっさと眠ることにする
 こうして、4日目の夜が過ぎていった

TICKET

HISPANIAの1等クシェット券
トーマスクックを見ると2等クシェットしかないのだが、
このような車両も連結されています。


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