朝7時頃、目が覚める。7:24 列車が駅に停車する。駅名表を見るとクローズ駅であった。定刻であるので、列車は順調に走っているようである
しかし、残念ながら天気はこの旅始まって以来の雨である。下の寝台で寝ていた女性はリヨンで無事下車したようでもぬけの殻であった。向かい側の寝台(上段、下段)には、どこから乗車して来たのか、男性が2人寝ていた。起こさないようにして、洗面を済ませる
この車両、デッキの低いヨーロッパには珍しく床が高く、古いローカル線の車両のようである。日本では、客車列車は全滅に近いが、フランスではまだまだ、長距離普通列車として活躍している
列車は定刻8:20、ジュネーブ駅の国際列車専用ホームである8番線に到着した。隣のベットの男性2人はまだ熟睡していた。(^^)
ジュネーブ

ジュネーブ駅
|
列車を降り、出口に向かうが改札に行列が出来ていた。何事かと思ったら入国審査で、パスポートチェックを行っていた。本人確認が目的のようであるが、入国スタンプは無かった
コンコースに出て、構内の両替所に行き、日本円をスイスフランに両替する。係員から返ってきた言葉は、以外にも日本語で「ありがとう」であった。構内の店には日本語で、「日本円使えます」等の表示も多く、日本人観光客の利用が多いようである。早速、コインロッカーに荷物を置き、市内観光に出かけるとする。ジュネーブは曇り空であるが、雨が今にも降りそうである
街はまだ、本格的に活動を始めていないが、ちらほら、観光客がいるなあと思ったら、そのほとんどは日本人であった。朝早くからご苦労なことである。モンブラン橋を渡り、イギリス公園を通って、リブ広場へ行く。ここまで来ると、トラム(路面電車)が走っている。乗車したいと思ったが、インフォメーションセンターで路線図を入手するのを忘れていたため、全容がわからない。口惜しいが、スイスにはまた来る機会がありそうだし、体験乗車はパスし、時計博物館へ向かった。
9:30頃、博物館に到着したが、オープンは10:00からである。しょうがないのでサンピエール寺院へ向かうが、道に迷いジュネーブ大学の前に出てしまう。ジュネーブ大学の正門前にはトラムが走っていたので、トラムに沿って道を進む。トラムは繁華街へ進むが、繁華街へ行くと、トロリーバスも合流して、道路上の架線が複雑怪奇になっている。トロリーバスの走行具合を見ていると、不思議なのだが、よくポールが、カーブを通過しても架線からはずれない。しかも、トラムの架線とも交差しているので、ますます、不思議である
日本で似ている光景は、伊予鉄道の大手町付近が思い出されるが、構造が遥かに複雑である。さすが、(鉄道の)電化率ほぼ100%のスイスである。そのうち見覚えのある風景に出会ったので、サンピエール寺院、時計博物館を巡る。都合4〜5kmほど歩く結果となった
TGV

TGV (ジュネーブ駅)
|
12時を過ぎたので駅に戻り、構内にあるベーカリーショップで昼食を購入する。いよいよ、TGVとのご対面だ。思えば、今日のヨーロッパの高速鉄道網の元祖であるオレンジ色のTGVには、格別の思いがある。意気込んで、12時10分頃国際線ホームへあがったが、まだ入線していなかった
ジュネーブ−パリ間のTGVは夏はものすごく混み、指定券の入手が困難だと聞いていたので、日本で事前に手配してたのだが、思ったほど人影が少ない。これならば、TGVの指定券代5米ドルに2,000円の通信費を払って手に入れた指定券であるが、現地に来てからでも充分だった・・・
なお、ホームにはTGV体験乗車のツアー客と思われる日本人の姿も見かけたが、2等車利用のようである。騒々しい団体客と分離されるようでなりよりである
12時20分過ぎに、フランス国境方面から、TGVが入線してきた。早速荷物を座席に置き、編成の観察に出かける。まず、先頭の機関車を見る。よく写真で見慣れたおなじみの形状だが、頭の部分が黒く汚れている。機関車の横に来ると、380km/hのエンブレムが張ってある。この編成は、開通前の試験走行で当時のスピード記録を出した編成なのであろう。今も、現役で走れるのは幸せなことである。
編成数を数えると1等3両+2等4両+ビュフェ1両+機関車2両の10両編成である。日本の新幹線と比較すると1等の割合が高い。ヨーロッパ全般言い得ることだが・・・
あと、観察していて感心するのが、ビュフェの連結位置である。スペインのAVEもそうであったが、ビュフェは必ず1等と2等に挟まれた位置にあり、2等の乗客がビュフェに行くときに1等の車内を通らないで行けるようにしていることである。日本では、東北新幹線の一部でそのようなことを意識した編成が組まれているが、ヨーロッパではそれが当たり前なのである
編成を外から眺めたあと、発車時刻も迫っているので、指定された3号車(1等)の座席に戻る。1等の座席配置は1+2列の配置で、私の座席は2列席の通路側である。車内を見渡すと、結構空いていて、隣の席も空いていた
フランスの指定券販売って、通路席から売っていくのだろうか? 結局、隣の座席は空いたままだったので、パリ・リヨン駅まで、窓際の座席ですごした
12時34分、定刻にTGVはジュネーブを出発し、しばらくスイス国内を走行する。窓の外を眺めると、まわりは山ばかりで、なにもない。所々に集落があって、そこに駅があるというローカル線らしい光景が見られる。トンネルをくぐってフランスに入ってもその光景は変わらない。TGVは途中ベレグラーデに停車し、一路パリを目指す。ジュネーブ発車後、1時間ほどたってTGVは高速新線に進入した。それまで、ゴトゴトと走っていて、とてもヨーロッパを代表する高速列車とも思えなかったが、一気にスピードを上げ快調にパリに向かって走り出した。新線に入るとすれ違うTGVが結構多く2分から10分おきくらいの間隔ですれ違う。さすが、一番はじめに開通した区間だけのことはある。この区間の風景は、東海道新幹線の静岡−浜松の区間のように、台地の中を颯爽と走行するイメージぴったりである
あと、40分ほどでパリかな?と思っていたら、徐々にスピードが下がってきて、何もない、山あいの区間で突然列車が止まった。しばらくして、車内アナウンスがあったが、何と言っているのかサッパリわからない。周りの人は静かにしているので、大したことではないことが想像つくが、やっぱり気になる。リヨン方面のTGVは颯爽とハイスピードで飛ばしていくので、たぶん前に電車が詰まっているのであろう!20分ほど停車して、TGVは何事もなかったように発車した。結局パリ・リヨン駅には20分遅れで16:30頃到着

TGV1等の座席指定券
日本で予約したのでこの様式になっています。
|
パリ
早速、構内のホテルインフォメーションセンターに向かう。インフォメーションセンターは同じように、ホテルを探す観光客でごった返していた。列に並んで、5分ほどで順番が来たので、条件を言いホテルを探して貰う。すぐに交渉成立で紹介手数料20フランを支払う。ホテルは駅前徒歩2分の好条件であった。早速、チェックインして身軽になり、パリ市内観光へ向かう
地下鉄の「Gare de Lyon」から1号線に乗車し、ルーブル美術館へ向かう。今日は水曜日なのでルーブル美術館は 21:00 まで、オープンしている。「Palais Royal」で下車し、美術館へ向かう。すでに18:00近いというのにチケット売場は長蛇の列で、すごい人気である。さすがはルーブル
先を急ぐ、私は「ミロのビーナス」と「モナリザ」を見たあとは、さらっと流して1時間で切り上げる。「モナリザ」は厳重に警備されていたが、「ミロのビーナス」は通路の真ん中にドンとおかれていた。どちらも思っていたのより小さい作品であった
オペラ座、コンコルド広場、シャンゼリゼ通り、凱旋門、エッフェル塔の主要観光ポイントを駆け足で巡ると、22時を過ぎてしまった。夕食を食べる時間も惜しいくらいにパリの観光ポイントは豊富である
結局、パリ・リヨン駅の構内の売店でサラダとパンを購入し、ホテルで摂る。それにしても、今日一日で歩いた距離はジュネーブとパリの2カ所なので、10kmは越えたものと思われる。が、日頃走り込んでいるおかげで、特に疲れた様子もなく無事に一日が過ぎていった