第6日目:台灣鐵路局・北廻線/宜蘭線/平渓線
台北捷運・木柵線


1997年8月14日

列車番号列車種別乗車駅 下車駅
54次筥光号花蓮7:188:51蘇澳新站
191次平快蘇澳新站9:179:22蘇澳
1084次自強号蘇澳9:4511:13瑞芳
紫3215次普通瑞芳12:5713:52菁桐
紫3218次普通菁桐13:5414:27侯[石同]
58次筥光号侯[石同]14:3214:51八堵
2530次普通八堵15:1915:24基隆
249次普通基隆15:5016:35台北
台北捷運・木柵線忠孝復興??:????:??動物園
台北捷運・木柵線動物園??:????:??中山國中


54次・筥光号 [花蓮→蘇澳新站]

Ticket

筥光号乗車券

 朝、目を覚ますと雨で結構激しく降っていて、道路には水たまりが出来ている。傘をさし、100mほどの距離の駅まで歩いていたが、結構濡れた。駅の発車案内板を見ると7:18発の筥光号は2月台だが、改札口で3月台へ行くように教えられる。

 筥光号(チークァンハオ)に乗車してみると、車内はガラガラであった。今日の自強号(ツーチャンハオ)の指定券は全席売り切れなのだが・・。
 しかし、筥光号は日本の特急グリーン車並みの設備なので乗り心地は良い。
 雨の中、定時に花蓮(ホアリエン)を発車。すぐ右手には、停泊している車両数と比較しても、巨大すぎる車両基地がある。車両基地が終わると花蓮港へ通じる貨物線が剥がされていた。貨物線が廃止されたのかと一瞬思ったが、北埔接続に改良されているのであった。

 北廻線は単線であるが、北埔以北で全線に渡って、複線化工事が進行中であった。金あるなあ〜(^^)。 崇徳を過ぎると太平洋が眺められる。険しい山がすぐ海まで迫っており、迫力がある。和平を過ぎると、列車は長大トンネルが連続する区間を走行する。武塔を過ぎるともう山間部を走るだけであった。8:51蘇澳新站に到着。

191次・平快[蘇澳新站→蘇澳]

Ticket

硬券乗車券

 蘇澳新站でも、「証明用」の印が置かれていたので、押してきっぷを記念に貰う。ふと駅舎の外を蘇澳行きの路線バスが発車していった。構内に掲示されている時刻表を見ると、接続バスの時間が掲示されている。花蓮−台湾の直通特急に接続する形で「蘇澳新站−蘇澳」間のバスが運行されている。本数を数えると17本あった。

 列車の方の蘇澳行きは9:17である。きっぷを購入すると硬券であった。
定刻に列車が入ってくる。この列車はディーゼル機関車牽引の旧型客車であった。乗車するとエアコンがないので窓を全開にする。窓から心地よい風が入ってくる。蘇澳新站−蘇澳間は複線である。この区間のイメージとしては九州の門司−門司港間に近い。その昔、蘇澳は花蓮方面への接続バスや船が出ていた地点である。そんな感傷にひたる間もなく、わずか5分で蘇澳に到着。この駅にも「証明用」の印があり、押して硬券乗車券を記念に貰った。

1084次・自強号[蘇澳→瑞芳]

Tuchan

自強号・気動車

Ticket

自強号・硬券乗車券

 下車後、すぐに切符売り場に行く。窓口を覗き込むと棚が硬券で溢れていた。この駅で発売する乗車券はすべて硬券らしい。瑞芳までの自強号を頼むと裏面に「無座」の印が押された切符が出てきた。自強号の硬券は、大変貴重らしので、嬉しい!。

 9:34、樹林からの自強号が到着。折り返し9:45発の樹林行き自強号となる。
無座なので日本のコンピューターの切符発券ルールに従い、一番最後に売られる席と思われる、一番端の席に座る。結果から言うとこのルールは台湾でも共通のようであり、瑞芳まで指定券の持ち主は来なかった。

 蘇澳−八堵の宜蘭線は、全線複線であり、宜蘭(イーラン)付近では電化工事を行っているらしく、架線柱が建設中であった。
 北廻線の複線化工事といい、宜蘭線の電化工事といい、あるいは西部幹線の苗栗−豊原間線路付け替え工事といい、大きなプロジェクトが多い。そのうち、筥光号を含む客車列車が日本と同じように廃止されるという。

 自強号は宜蘭でほぼ、満席状態になり、立ち客もちらほら。亀山付近から海を見ながら走る。
 この辺から与那国島までは直線距離で約100km。天気が良ければ島影が見られるという。福隆(フウーロン)を過ぎると、山の中を走る。平渓線が分岐する三貂嶺(サンテァウリン)を通過する。どんな駅かと観察すると平渓線のホームや側線はなく、本線上から分岐している駅であった。11:13瑞芳(ズェファン)着。
 この駅は構造的に珍しく、駅舎はあるのだが、地下道が地元住民の南北連絡通路の役割をしているので、ホーム上に改札があるのであった。証明用の印を押してもらい、硬券乗車券は記念に貰う。次の平渓線の発車は12:57である。

 時間があるので、駅周辺を歩いてみる。この町は基隆(キールン)に近いからか、ホテルらしきものは見あたらない。大きな市場があったので覗いてみる。入ると魚の匂いが充満している。魚の種類はわからないけど・・・・。

 本屋に入って、漫画コーナに行くと日本の漫画が目につく。私の好きな高橋留美子さんの「めぞん一刻」は「相聚一刻」であった。台湾市内の地図を購入し、そのあと、どこの都市でも見かけるコンビニで食料を入手し駅のベンチで食べる。

平渓線普通列車[瑞芳→菁桐→侯[石同]]

平渓線

平渓線気動車

 12:30を過ぎたので、平渓線専用ホームに行く。12:42に到着したディーゼルカーが折り返しの菁桐(チントン)行きになると思ったのだが、なぜか宜蘭線上り本線(台北方面)に停車する。
 窓から顔を出した運転手が「今日はこちらから発車する!」と言うので隣のホームへ移る。ところが、接続する自強号(ツーチャンハオ)が到着し、発車時刻になっても全く発車する気配がない。
 そのうち侯[石同](ホートン)で接続するはずの普通列車が到着し、先に発車して行った。その後、我が気動車は、約20分遅れで我が気動車は瑞芳を出発。よくわからないダイヤ変更だが、ローカル線は冷遇されている。三貂嶺から平渓線に入る。

 平渓線にはよくTVで紹介される台湾のナイアガラの滝と呼ばれる秘境・十分(スーフン)瀑布への足となる線である。TVでは家の軒先を走る気動車。鉄橋で気動車とすれ違う人の姿を見た方も多いのではないでしょうか。
 この区間は大華−十分間の沿線風景である。線路脇に十分瀑布の入口があったりするので、是非降りて歩きたい区間ではある。車窓からも小さい滝は見ることが出来た。
 気動車は、山の中を分け入るように入り、20分遅れのまま菁桐(チントン)に到着。本来、菁桐の折り返しは2分なので、すぐにも発車しそうである。
 往復割引券を購入していたので、駅前をちょっと観察するだけにとどめ、すぐ列車に戻る。列車は約20分遅れをキープしたまま菁桐を発車。

 この列車は時刻表上では侯[石同](ホートン)で5分待ちで筥光号(チークァンハオ)に接続する様になっている。宮脇俊三氏の本を読むと「台湾の幹線列車はローカル線の接続を待たない」と書いてあった。
 この「筥光号」に接続しないとなると接続が非常に悪く、寂しそうな侯[石同]の駅で2時間待ちとなる上、台北到着もその分遅くなる。
 20分遅れでは厳しいと思われたが、三貂嶺へ近づくと宜蘭線に「筥光号」の姿が見えた。「筥光号」も15分近く遅れているようである。が、ローカル線の接続列車を待ってくれるであろうか?。
 三貂嶺の進入信号は、我が平渓線が赤表示で、先に宜蘭線の「筥光号」を通したあと、宜蘭線へ進入する。
 侯[石同]に差し掛かると本線ホームに「筥光号」の姿が見える。どうやら、普通列車を待っていてくれたようだ(喜)。
 しかし、ホームは別のホームに到着するようで、跨線橋を上下する運動つきであった。同一ホームで接続取ることは出来ないのかなぁ(涙)。
 もっとも、そんなことに構っている余裕はなく、空きっぱなしの気動車のドアに近づき、完全に停車する前にホームへ飛び降り、ダッシュをかけて跨線橋を走り筥光号に乗車する。私の他にも何人かダッシュして乗り換えた人がいた。

58次・筥光号[侯[石同]→八堵]

 定刻より約15分遅れて筥光号は侯[石同]を発車。何だか、変な感じがするなあと思ったら、下り線(花蓮方面)を走行していた。
 不意に気配を感じて左側を見ると上り線(台北方面)には自強号(ツーチャンハオ)が併走していた。複線区間で同方向の走行中追い抜きをやるとは驚きである。
 初日の西部縦貫線の海線部でも複線区間を利用した追い抜きは行われていたが、台湾では、日常茶判事のようである。  日本では、設備的には湖西線で出来るようになっていると聞くが、安全性の問題で複線区間での走行中追い抜きは実現されていない。台湾の曲芸的な指令に非常に感心した。よく、事故が起きないものだ。

 瑞芳駅では正規の上りホームに到着。すぐに、自強号を追って台北へ向けて出発した。15分遅れのまま15:05頃八堵(パートォ)に到着。

2530次・電車 [八堵−基隆]

 八堵駅は大きな駅でホームが3面5線ある。台湾で一番大きな駅は台北駅で4面8線。次いで、高雄の3面6線。花蓮と八堵の3面5線である。発着番線の数では台湾で3番目に多い。
 何となく九州の門司駅に雰囲気が似ている。15:19発の電車で基隆に向かう。だんだん、貨物線や留置線が増えてきたなあと思ったら、そこは基隆であった。

249次・普通 [基隆−台北]
 いよいよ、台湾鉄路管理局の路線の完乗が近づいてきた。完乗の最終ランナーは、15:50発の249次普通列車である。構内の時刻表には1月台発とあったので、1月台に停車していた旧型客車に乗車していたら、駅員がやってきて「2月台へ行け」と言う。他の乗客もぞろぞろ動き始めたので、2月台に停車中の旧型客車に乗車する。
 台湾鐵路局完乗のフィナーレを飾る列車なのだが、扇風機がまわっているだけで暑く、汗が流れ出てくる。走り出せば少しは涼しくなるであろう。15:50、定刻に発車。
 七堵の側線には落成されたばかりのE1000系「自強号」が所狭しと置いてあった。
 やがて、西部縦貫線の台北−高雄間はすべてE1000系に置き換えられ、従来車(100系,200系等)は台北−台中間の区間自強号に置き換えられると聴いている。そのための増備車と思われるが、実現すると機関車が牽引する客車の「筥光号」や「復興号」は廃止され、「自強号」に置き換えられる計画になっているらしい。
 ますます、日本の特急運用形態に似てくるなぁ。

 急激に天気が悪くなり、雨が落ちてくる。夕方のラッシュ時にさしかかっているので、車内も混雑し、松山を発車するときは立ち客も多数いた。
 松山から複々線となり、台北へ向かう地下トンネルに入る。このトンネル標準軌車両が通れる大きさで造られているし、複々線なのでとてつもなく大きく感じる。
 16:35頃台北に到着。5日ぶりに台北にようやく戻ってきた。
 これで、台湾鐵路管理局の路線は全線完乗となる。

台北捷運・木柵線

Ticket

台北捷運の乗車券

 台湾鐵路管理局の路線は完乗したが、台湾の鉄道全線を完乗するためにはあと、TRTC(台北運捷)の木柵線が残っている。
 いったんホテルにチェックインしてから出かけることにするが、外は凄い雨になっていた。駅前の歩道橋は駅舎の屋根から滝のように落ちる水しぶきが直撃し、大きな水たまりが出来ていたし、駅前のバス停周辺は地下鉄工事で水はけが悪くなっているらしく、水浸しであった。

 悪路をかき分けホテルにチェックイン。
 しばらく部屋で休息していると、雨も止んだようなので、出かける。ロビーに降りると、日本語が達者なフロントのおばさんが美味しい店を教えてくれる。丁寧に礼を言って、木柵線の忠孝復興駅まで歩く。
 2km程度と思っていたが予想以上に遠く、約40分かかった。3〜4kmほどあったようである。

 やっとの思いで忠孝復興駅にたどり着き、木柵線に乗車する。この路線日本で言う新交通システムに当たり、駅にはホームドアが設置されている。運転本数は結構多く4分おきくらいにある。すでに暗くなり始めた木柵線をまず、動物園に向かう。

 この車両のドアは広く、もしかすると小田急のワイドドア車以上あるかもしれない。
 暗くなりかけてまわりがよく見えないが、山中に入り込んだりしてなかなか面白そうな路線ではある。
 動物園で折り返し中山國中行きに乗車。約20分で中山國中に到着する。

これで、台湾の鉄道全線完乗を達成することが出来た。
 このあと、迷いながらもなんとか、台北駅へたどり着き、ささやかながら、一杯のみ台湾最後の夜を堪能したのであった。


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