豪華寝台特急・「カシオペア」の旅


2日目:盛岡−札幌間

2000年5月3日

 駅の案内放送で目が覚める。外を見ると列車は函館に到着していた。まだ、4時台であるが、既に空は白み始めていた。ここで下車する乗客も結構いる。こんな早朝にご苦労なことである。眠いのでもうひと眠りする。
 次に目を覚ましたときは、列車は噴火湾沿いを走行していた。天気はあいにくの雨。噴煙を上げている有珠山の姿が垣間見られているかとも思ったが、さっぱりであった。
 同行の妻は浅虫温泉のあたりから寝ずに2階で車窓を眺めていたそうで、「青森と函館駅で北斗星1号とすれ違った」との報告があった。「北斗星1号」は、我が「カシオペア」より上野を30分後に出発したのだが、青森や函館で追いつくのである。ゆっくりとした足取りはいかにも臨時列車らしい。
 さて、目的地が青森に設定されていたカーナビゲーションシステムだが、北海道に上陸するとどうなるか?。
 結論から云うと、「CD-ROMエラー」表示で画面は一面、未開の大地。列車は道なき道をかき分け進んでいた。こうなると無用の長物である(苦笑)

 長万部に定刻に到着。ここで10分ほど停車した後、山線に進入する。この区間は昨年8月にも乗車しようとしたのだが、雨による土砂崩れで倶知安−長万部間が代行バスとなったので、リベンジとなる。
 ローカル線に落ちぶれたとはいえ、函館と札幌を結ぶ大動脈だっただけに、線路状態は下手なローカル線よりよく乗り心地はよい。室蘭本線の不通にともない、特急列車が迂回運転するなど、JR北海道がかなり手を入れていることもあるだろう。

和朝食

和朝食

洋朝食

洋朝食

 7時から食堂車が営業を始めたので、早速出かける。トワイライトエクスプレスの朝食は時間指定制だったが、カシオペアは自由である。案内放送があったばかりなので、まだ席は空いている。味比べをするので、和朝食と洋朝食の2種類を注文する。座席が7割方埋まったかなぁと思った頃、和食は売り切れとの案内があった。経験上、北斗星やトワイライトエクスプレスの和朝食は速攻で売り切れると知っていたが、推測するに1列車あたり10食程度しか材料を積んでいないようである。
 和朝食を希望する乗客は多いと思われるが、もう少し多く積めないものだろうか?

 窓の外はあいにくの雨模様。しかし、窓の外に広がる北海道の景色を見ながらの食事は最高である。食後のコーヒーをすすったあと12号車の展望車に出かけることにする。12号車の車掌室で、乗車記念のオレンジカードがないかどうか尋ねると、函館車掌区発行の「カシオペアNo.1」と「北斗星No.2」がセットになったものがあるという。他にも1組だけ「トワイライトエクスプレスNo.3」と「青函トンネル乗車記念」のセットがある・・・と云うので、すべてまとめて購入した。JR東日本管内では販売に来なかったが、JR北海道はオレンジカードの販売に熱心であり、函館車掌区オリジナルのカードを制作しているので買わずにいられない(苦笑)
 ちなみに、トワイライトエクスプレスは1年前の乗車時に購入したデザインとは異なるものであった。結構な種類が出ている模様である。有珠山の噴火がおさまって通常運転に戻った2000年の秋にトワイライトエクスプレスに乗車した知人によれば、山線迂回運転を撮ったデザインのオレンジカード2種が発売されていたとのこと。JR北海道は転んでもただでは起きない・・・・(^_^;;


展望室

山線を進むDD51

 展望室は子供の遊び場と化していた。お金を持った熟年夫婦をターゲットとしたカシオペアには似つかわない乗客であるが、全車個室と云うことで利用する家族連れも多いようである。新幹線のグリーン車個室も子連れ利用客が多い。
 子供達も初めて寝台車に乗ったと云うことで、嬉しいのだろう。私が初めて乗った寝台車は寝台の幅が広いと云うことで、「あさかぜ」のオロネ20利用だった。ただし、子供達は、大声を上げて激しく動き回り騒々しかった。親が側にいるにもかかわらず、黙って見ているだけ。さっぱり注意しない態度には考えさせられた。
 列車が倶知安に近づいてきたので一旦部屋に戻る。倶知安では知人が羊蹄山をバックに倶知安付近で撮影を行うと事前に連絡を取り合っていたのである。カシオペア号は7時50分頃、倶知安に到着。ちょうど撮影待機している知人から連絡が入るので、倶知安駅に到着したことを告げる。1分ほど停車したのち札幌へ向けて発車した。
 我々も廊下に出て撮影を行っている知人に向かって手を振る。あいにくの雨模様で羊蹄山はガスに隠れているが、撮影はどうだったのでしょう(^^;;
 編成の長いカシオペア号は、線路有効長の関係で、途中駅でも停車することなくノンストップで小樽に向かう。途中すれ違った函館行きの「臨時北斗号」の自由席はゴールデンウィークの最盛期でもあり満席であった。倶知安経由では室蘭本線経由と比較して運転本数、列車編成長が制限されるので輸送力もかなり落ちる。幹線系統が遮断されると大変だ。

カシオペア

札幌へ向けラストスパート
最後尾展望個室からの眺め

 小樽の市街が見えると、まもなく小樽。食堂車の営業も終了するとの案内があった。我々の部屋の両隣の1,3号室の乗客が小樽で下車したので、展望個室をちょっと覗かせてもらう。
 南小樽〜銭函間は海沿いを走るので眺めはすばらしく良かった。終着駅を前に下車してしまうのは非常にもったいない。しばらくの間、ソファーに座って流れ去る景色をながめたが非常に良かった。やはり、カシオペアに乗るからにはこの部屋に是非とも乗りたいものである。いつの日か乗れる日は来るのだろうか?
 9:43、定刻に札幌に到着した。17時間以上の長旅であったが、飽きもせずもっと乗り続けていたかった。値段は飛行機と比べて非常に高く、一部室内設備について文句もあったがトータルで見れば悪くはない。高いお金を払っただけの価値はあるように思う。
 ホームに降りれば、気動車のエンジン音が天井に遮られて大きく響いており札幌に来たなとの感覚になる。この後カシオペア号は手稲の札幌運転所へ回送となる。通常運転だと逆方向から札幌にはいるので牽引してきた機関車がそのままの進行方向で基地に向かうのだが、迂回運転で手稲方面から入線したので回送方法が気になっていた。
 たまたま、待機していた運転士が持っていた運行表を覗くと、一旦苗穂に回送した後、機回しをして札幌運転所に回送する手順が記されていた。倶知安経由で迂回運転している限り、必然的に機回し作業が発生するのである。あらためて山線迂回運転の苦労を思い知ったのであった。



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