第11章 体位交換について
筋ジストロフィーにおける筋萎縮は,関節の拘縮・変形,体幹の変形などを引き起こし,ついにはADLのすべてに介助を要するようになります.そのため安楽な体位・良肢位を保てるよう体位変換が必要になります.
(1)変形に応じ,予防寝具・用具を使用します.
@エアマット,A体位交換マット,Bム−トン,C円座,Dクッション,Eタオル,Fムアツマットなど
(2)体位交換は,できるだけ2時間毎に行なうようにします.
介護者の方にとって2時間毎の体位交換は,少々負担に感じることもありますが,朝のケア・食後・排泄後・保清後・就寝前のケアなど,日課の中で行なうと軽減します.
(3)体位交換時は,必ず人工呼吸器を外します.
人工呼吸器をつけたまま身体を動かすと,気管切開の患者さんの場合,気管カニュ−レを引っぱり,抜けたり,気管を傷つけたりします.また,NIPPVの場合,マスクがずれたり,マスクと皮膚の接触部位を傷つけたりします.
(4)体位交換後は,必ず患者さんの状態観察及び人工呼吸器の正常作動を確認をします.
@一般状態の観察,A呼吸状態の観察,Bカニュ−レの位置確認,Cマスクの装着確認,D人工呼吸器の閉塞・接続部位,E内圧確認など
(小西 妻恵)