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2001.2.24



なんとなく、日曜日ぐらいサボっても良さそうな気がしないでもない俺で
あるが、今日はきちんとやるのである。
ちなみに来週は3/1〜3と宇都宮にいないのでサボるぞ。


というところで、マクラもそこそこにお勉強であるが、今日は、昨日の小葉
中心性分布に引き続き、気管支血管周囲性分布をやるのである。
つまりは気管支血管束の肥厚を示すような疾患だ。

以前から述べているとおり、この部位には、リンパ組織が存在するわけで
あり、ということは、リンパ行性の疾患はこの部位の肥厚を示すと言う
ことである。
リンパ行性といえば、以前にも述べた癌性リンパ管症サルコイドーシス
あとLIPなどのリンパ増殖性疾患。その辺が挙がるのである。
この辺は、昨日の小葉中心性の話でも出てきたので、「リンパ組織がどこに
あるか」を絡めて、一緒に覚えておくと良いだろう。

次に、「気管支血管束」と言うからには血管があるわけであり、その血管に
病変があっても、こういう所見が出てくるわけである。
例えば血管炎。具体的な例を出せばChurg-Strauss症候群なんかが
当てはまる。これは血管壁をターゲットにした肉芽腫性炎症がその本態で
あり、所見としては「斑状のconsolidationやすりガラス状変化+
気管支血管束の肥厚」
のような感じになる。それに末血の好酸球上昇や
ANCA高値
があれば疑ってかかることになるな。
あともうひとつ。血管から水がしみ出す、つまりうっ血性肺水腫
本当は「血管から水がしみ出る」ってのは不正確であり、「間質の浮腫」
という表現が正確なんである。
これは、胸水を伴うことが特徴である。「水がしみ出る」ついでに覚えて
おこう。
心不全に伴う肺水腫は、普段読影していると山ほど見ることが出来る。

そーいや、急性好酸球性肺炎が、この肺水腫と似たような所見を
呈する
らしいので覚えておこう。というのも、この2つ、同じ「間質の
浮腫」をその本態とするからだ。
ただし、肺水腫がbatterfly shadow、つまり肺門部(と背側)優位
所見を呈するのに対し、この急性好酸球性肺炎は、それとは全く逆の、
外側胸膜下優位の分布を示すのだ。
これを人呼んで「photographic negative of pulmonary edema」。つまり
「CTや単純X線で見ると、肺水腫で白いところが黒く、黒いところが白い」
ということであるな。
それにしても、何とも粋な名前を付けるもんだ外人。

最後に、気管支に病変がある場合。
例えば慢性気管支炎。これなんかは気管支壁そのものが炎症で厚く
なるわけで、いわゆる気管支血管束の肥厚というのとはちょいと違うのかも
知れないが、ここに入れておくのである。
また、カリニ肺炎、サイトメガロウイルス肺炎、マイコプラズマ肺炎
のようなイヤな病原体による肺炎の数々は、細気管支にも炎症を起こし、
その結果として気管支血管束の肥厚「も」呈してくることが分かって
いる。
「も」ということは、他にも所見があるということで、というか、カリニと
CMVはすりガラス様変化の方が目立つし(この辺は次の機会にまた話す
こととしようか)、マイコプラズマもconsolidationとすりガラス、小葉中心性
変化とが混ざった所見となる。


というわけで、土日は短めにしてみたのである。
明日はすりガラスとconsolidationの話をやろうかと思う。お楽しみに。


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