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2001.3.31



ただ今、2002年3月31日午前9時。
おはようございますの帽子屋さんである。(意味不明)

そんなわけで、昨日お知らせした通り、今日は病院で丸一日当直であるが、外来
患者さんが来ない時間を見計らって、じわじわと更新するのである。


昨日は、FEGNOMASHICの「F」を飛ばして「E」のうちのひとつ、Enchondroma
(内軟骨腫)についてお勉強したわけであった。
今日はその続き、もうひとつの「E」であるEosinophilic granuloma(好酸性
肉芽腫)と、次の「G」ぐらいまでは行こうと思っている。


ではさっそく、もうひとつの「G」こと好酸性肉芽腫なのだが‥‥
困ったことに、これも、最初のすっとばした「F」、つまり線維性異形成症と
同じく、様々なX線像を呈しうるのである。溶骨性造骨性、境界明瞭
不明瞭、効果縁有り無し‥‥と、何でも有りなのである。

よって、この疾患を他の溶骨性病変とを鑑別する術はほぼ皆無に等しい
つまり、溶骨性病変を見たら、必ず好酸球性肉芽腫を鑑別に含めなければ
ならない
わけなのである。

ただ、わずかな抜け道はある。好酸球性肉芽腫は年長者への発生は稀なのだ。
俺が参照している教科書には、「著者は30歳以上の患者では好酸球性
肉芽腫を除外する
ことにしている」と書いてある。実際それはいけそうだ。

また、腐骨の存在も重要である。腐骨が存在する疾患は次の4つ。すなわち、
この好酸性肉芽腫、骨髄炎、それに線維肉腫、悪性リンパ腫である。
腐骨があったときは、この4つは鑑別にあげるべし。


では次の「G」。Giant cell tumor、つまり巨細胞腫である。
GCTは、意外と楽である。というのは、この疾患には、非常にしっかりとした
「鑑別点」があるのであり、それさえしっかり覚えておけばいいのである。
というわけで、その「鑑別点」は4つあり、それは以下の通りである。

・病変は必ず骨端に存在し、関節面に接する。
・骨端が閉じた患者にしか発生しない。
・骨髄腔の中心でなく、偏心性に位置する。
・境界明瞭だが硬化縁を持たない。(例外有り)


非常に分かりやすいんだが、2つだけ注釈を。
まず、3つ目の「偏心性に位置する」であるが、骨の横幅全体に及ぶような
大きな病変では、中心性なのか偏心性なのか分からない。当然だな。(^^;
もひとつ。4つ目の「例外有り」というのが気になる方もいらっしゃると思うが、
この「例外」というのは、GCTが骨盤骨と踵骨に出来た場合。この場合は
硬化縁が出来ることがあるのである。

この4つが、もし1つでも当てはまらなければ、GCTは除外していいのである。


お、実に快調である。
このまま、もうひとつ、FEGNOMASHICの「N」、つまりNonossifying fibroma
(非骨化性線維腫)
の話になだれ込んでしまおう。

NOFは、小児の20%弱に見られる、非常にポピュラーな疾患である。
そして、通常は自然消退し、30歳以上で見られることはほとんど無い

NOFは良性で症状が無く、典型的には長管骨の骨幹端の皮質から
発生し、薄く波打った硬化縁を持ち、やや膨張性の発育を示す。

ただ、このような典型的な像を呈するのは、全体の4分の3。つまり残り4分の
1は、これらの特徴が当てはまらないわけである。
そういう疾患に関してはどうするか、ということであるが、教科書には「症例を
たくさん見て、X線像に慣れろ」と書いてある。
つまり、慣れれば分かるらしいのである。むう。(^^;

ただ「慣れろ」というだけではアレなので、鑑別のヒントを2つだけ。といっても
既に述べた話である。
この疾患が30歳以上に見られることはほとんど無い。つまり30歳以上の患者
では、この疾患を除外できる
のである。

もうひとつは症状である。この疾患は無症状であり、かつ骨膜反応がない
のだ。

この辺を足がかりに、攻略していってくれ。


というわけで、この辺で今日はおしまいである。

もうひとつ、「O」、つまりOsteoblastoma(骨芽細胞腫)まで進んでもいいの
だが、実は、この疾患はABC(動脈瘤様骨嚢腫)に類似する場合があるため、
2つを一緒にやってしまった方が分かりやすいかと思うのである。

従って、次回は「FEGNOMASHIC」の「O」、「M」2つ、そして「A」、という
ことになると思う。「A」がABCなのだな。

そして、その「次回」であるが、明日は当直明けであり、疲れて脳が回らない
可能性が大きいため、潔く格好良くお休みとする。
再開は明後日。しーゆーあげん。ばいちゃ。


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