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2001.4.17



今日は、予定通り、骨軟部腫瘍に戻るのである。良かった良かった。


まずは「骨形成を伴う病変」なんであるが、実はこれに入るところに、少しだけ
「罠」があるのである。
というのは、石灰化病巣を見た場合、それが本当に「骨形成」なのか、という
ところが問題になることがあるのである。

「骨形成」と鑑別が必要なのは、まずは「軟骨形成」。「骨」と「軟骨」の違いを
画像でしっかり捉えることが大事である。
骨化した骨基質は、単純X線あるいはCTで比較的均一でびまん性・無構造の
高濃度域
として認められる。「雲霞状(cloud-like)」とか「象牙様(ivory-
like)」とかいう状態であるな。雲霞(うんか)なんて言葉久々に聞いたぞ。
これに対し、軟骨基質は「点状」「リング状」「円弧状」の形態をとる。つまり
べたっと広い感じじゃなくて、小さな石灰化がいくつも認められる、といった
感じであるのだな。
ただ、この2つは結構紛らわしいことがあるので要注意だ。

更に話をややこしくしているのが、上記2つ以外の石灰化が存在することだ。
骨でも軟骨でもない、いわば「ただの石灰化」なんであるが、代表的なところでは
組織壊死に伴う石灰化をdystrophic calcification、カルシウムとかリンの代謝
異常なんかに伴う石灰化をmetastatic calcificationと呼ぶわけだが、この辺は
骨形成様の所見も軟骨形成様の所見もとりうるので、事実上、こういった石灰化と
骨・軟骨形成との鑑別は出来ないってことになる。困ったもんである。(^^;


まぁ、気を取り直して、骨形成を特徴とする骨・軟部病変をずらーっと列記して
みるのである。

まずは良性腫瘍
骨病変では、
・骨腫(osteoma)、骨島(bone island)(内骨腫(enososis)ともいう)
・類骨骨腫(osteoid osteoma)
・骨芽細胞腫(osteoblastoma)
軟部では、
・化骨性筋炎(myositis ossificans)
・進行性化骨性線維骨異形成(fibrodyspasia ossificans progressiva)
・(すげー稀だが)軟部の骨腫(soft tissue osteoma)

悪性腫瘍だと、
骨には、
・骨肉腫(osteosarcoma)
・転移(metastatic bone tumor)
軟部では、
・骨外性骨肉腫(extraskeletal osteosarcoma)

腫瘍以外の病変だと、
骨には
・骨硬化性異形成症
 ・骨斑紋症(osteopoikilosis)
 ・骨線状症(ostepathia striata)
 ・メロレオストーシス(melorheostosis)
軟部では
・外傷、火傷
・術創
・静脈うっ滞
・Nora's lesion
 (bizarre parosteal osteochondromatosis peoliferation, BPOP)
・florid reactive periostitis


外傷とか火傷、術創なんかはdystrophic calcificationなんでないか、といった
ような気がしないでもないが、上述の通り、その辺は骨形成と鑑別がつかんので
いいんじゃないかと思うのである。(^^;


既にお伝えしたとおり、明日と明後日は休む予定。土曜日から上記の各論じゃ。


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