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2001.5.25



久々に今日は脳腫瘍をやるか。
前々回の予告通り、上衣腫と脈絡叢乳頭腫でやるか。


まずは上衣腫(脳室上衣腫)ependymoma
第四脳室が最も多く、全体の3分の1。第三脳室や側脳室は発生が23%。
テント下は小児に、テント上は若年成人に多い。テント上の場合は脳実質内に
進展していることが多い。

CTでは、石灰化の頻度が比較的高く、比較的大きな嚢胞を伴うことがある。造影
パターンは、淡く均一な場合と不均一な場合があり、一定しない。

MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で高信号。ただ内部の出血や嚢胞、石灰化の
せいで信号が不均一であることが多い。造影パターンは上記同様一定しない。

小脳の上衣腫の鑑別は、こないだやったpilocytic astrocytomaやastrocytoma、
PNETなんかが鑑別に挙がる。大脳の方はcentral neurocytomaやmeningioma、
subependymomaなんかが鑑別に挙がるんだそうだ。


それでは次。脈絡叢乳頭腫 choroid plexus papilloma
その名の通り、脳室の脈絡叢上衣細胞の腫瘍で、もひとつその名の通り、表面は
不整な乳頭状を示す。カリフラワー状って言うか。

成長速度は遅いんであるが、髄液路を詰まらせたり、更にはこの腫瘍自体が髄液を
作ったりするので(なんせ元が脈絡叢だから)、水頭症を起こして見つかることが
多い。

側脳室35%、第四脳室は43%。
子供は側脳室三角部に、成人は第四脳室に多い。

CTでは、脳室内髄膜腫に似た所見があるが、髄液を産生するので脳室全体が
拡大する
。ここが鑑別点。

MRIでは、T1強調像で脳実質と等信号、T2強調像では等〜やや高信号。


で、最後に、ちょっと得する「側脳室内腫瘍の年齢別頻度」である。

0〜5歳では、側脳室三角部ではこの脈絡叢乳頭腫、体部では奇形腫、PNET、
脈絡叢乳頭腫。
6〜30歳では、側脳室体部は高分化のglioma系(Monro孔付近では特にsub-
ependymal giant cell astrocytoma)、central neurocytoma。
30歳以上では側脳室三角部では髄膜腫、体部・Monro孔付近ではsubependymomaや
その他の高分化glioma系、meta、glioblastoma、リンパ腫。

この辺が多いのである。


次回はどうしよう。PNET、central neurocytoma、ganglioglioma辺りをさらうか。


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