電話415―2877 住所:Carrer Santa Teresa, 10.08012 Barcelona
郊外にあるミシュランの3つ星に行ってみようと、電話をかけてみたが、お休み。仕方なく行ったのがここ。
何といっても場所が悪い!!セックス・ショップの角を曲がって、大きなゴミ箱を2つ越えて4軒目にある。
一つ星ということもあって、全く期待せずに行った。他に試したこともないくせに、一回行ったミシュラン一つ星に懲り懲りだったから・・・。別に悪すぎたわけではないが、ちっとも良くなかった。ドゥニャンの機嫌は勢い悪くなり、お金が勿体無いとか、疲れるだけだとか、なんだかんだとインネンつけて、もうミシュラン一つ星だけは行かないでおこうと、思っていた。 ところが!!ところがである。案に反して、それがイケルのなんのって。
ラ・ダーマで、お仕着せのコースにはがっかりしたので、今回、ア・ラ・カルトを頼んだ。
◎アミューズその1
フレッシュパスタに玉ねぎとアボカドを生クリームで和えて裏ごししたものを詰めている。そしてその横には良く炒められた玉ねぎのマリネにトマトソース。チャイブがトマトの色を一層鮮やかに見せていた。
作り立てのフレッシュパスタの歯ごたえがプリプリと、その中にアボカド・クリームがトロリと出てきて、何となく楽しい。玉ねぎをきつね色に炒めたマリネもいいもんだねぇ。塩加減もほんのりといい感じ。
◎アミューズその2
フォアグラのソテーに岩塩をアクセントに沿え、ポートワインのジュレとりんごを小さく賽の目切りにして白ワインで煮込んだものを添えている。
フーム。なんとな。考えてみれば、アミューズにフォアグラとは豪勢な・・・。それもあんまり小さすぎない!けっこう満足できるほどの大きさ。そのフォアグラに軽い甘みの赤ワインのジュレ。プルンと入っていく感触はフォアグラのジュワァっとくる脂と絡み合って、軽い前奏曲を感じさせる。りんごの白ワイン煮はちょっとした口直し。いい。イイ。考えてある。すごく良い。
◎出てくるパンがまた美味しかった。熱々のほかほか。ちぎってみると湯気が出てくる。外はカリにパリ。バリエーションがすごい。ノーマルの丸い白パン。ブラックオリーブをこねてあるのは、三つ編み型。くるみ、ピスタチオ・ナッツイチジクの干したのを入れてあるのも。それぞれに形を凝らし、一ひねりある。その上、生地が細かく、スムース。それでいて裂くと粘りがあり、弾力抜群!!こんな美味しいパンは生まれて始めて。我が家の皆、早速、おかわり。大丈夫かな。後のためのお腹の隙間が心配。
◎前菜1Cabecou salad,salmon eggs and smoked oil
りんごを丸く横切りした上にオレンジ。それとやぎのクリームチーズが層になって乗っている。そしてローズマリーが効いている。その上にはイクラがいくらが明るく輝いて・・・。フレッシュ・サラダはチコリ、サニーレタス、トレヴィスにロケットを薫り高いフレンチ風ドレッシングで。
◎前菜2 Stuffed quail salad with foie and truffle in light pickle
うずらにフォアグラやトリュフを詰めて、小さく(直径0.8ミリ)丸くくりぬいた人参、シャンピニオンなどのピクルスを可愛く上からかけてある。それに巻いた茹でたリーキ葱で巻いた野菜サラダ。軽いトマトソースとピクルスの酸味がマッチ。
◎前菜3 Cheek peas cream with spiced bread and Iranian caviar
グリーンピース入りのたっぷりのクリーム(スープのように思えてしまうほど量が多い!!)の円の中にスパイス・トーストが浮かんでいてそこにはたっぷりのイラン産のキャビア!ガルバンゾーのフックリしたのがいい歯ごたえ。そして、ミルフィーユの緑がまばゆい。
◎前菜4 Fish soup with sea food a la rouille
スペイン風ブイヤベースにサフランをたっぷり入れたルイユ。海の味を満喫させてくれる!!ルイユの香りが最高!サフランとガーリック、バターの香りが魚のスープを益々引き立てる。ルイユが線で描かれてかかっていて、スープのオレンジとルイユの美しい黄色が、ここはピカソやミロを育てた20世紀、芸術の都バルセロナであることを思い起こさせる。
◎メイン1 Beef filet with duck liver and black truffle
残念ながら、神戸牛や松阪牛を知っている日本人である我が家族たち、ちっともお肉には満足しない。しかし、何といっても上に乗っているフォアグラとトリュフを一緒に食べちゃうと俄然違ってきちゃうから不思議!ミディアムに焼かれた肉にフォアグラの脂肪が絡まる。そしてほんのりトリュフの香り。勿論、ソースはペリグー、ベリーグーなんちゃって。
さっと上に一本のタイムが乗せてある。ソースが抜群に美味しかった。甘みと酸味とがうまく絡まりあって、あまりコッテリし過ぎてないというか、厚ぼったくないのがいい。
◎メイン2 Caneton from Les Landes, banana with cinnamonn and small foie truffle
厚切りのカモ肉がミディアムで焼かれ、十分に鴨の味を堪能させてくれる。それにチョコレート・ソースに甘いフォアグラ。甘さがお互いを引き立て合う。デザート用の銀のスプーンにちょっとトロケ気味のカカオバターたっぷりの苦みの効いたチョコレートが乗っているのが憎い。
それに口にはわりとコッテリとしたシナモンの香りのバナナのソテー。でもどれもドンとしたメインのカモ肉の引き立て役。とにかく心憎いばかりの甘みのバリエーション。しかもちっともしつこくない。なんて腕をしているんだこのシェフは・・・。
◎メイン3 Sea bream on its skin, artichokes with coriander and leaves of artichokes and foie
カリっと焼かれた鯉の皮。でっかいひたすらでかい切り身。全て骨は抜いてある。まな板の鯉。生きている頭をカツンとやって絞めたばかりというのがわかるくらい身が細かくほぐれてジューシー。でもでかい。横にはアーティチョークの花托がスライスされ、その間にチーズクリームがはさまっている。ガリリと噛む岩塩がボイルされた野菜とクリームを引き立てる。
プチオニオンのソテーとアンティチョークの花弁が魚肉の下から見え隠れして・・・。ソースは何かわかりません。とにかくおいしかった。でも、ちぃと多すぎた。(パンを食べ過ぎたのが原因。限界まで行っちゃいました。ドゥニャンは。)
◎デザート:Chocolate cake, spiced bread ice cream and cocoa jelly チョコレートケーキのなかにクリームがたっぷりはいっていて、ナイフで切るとなかからココアジュレがジュワーとでてくる。温かさと冷たさの対照を味わってくれといわんばかりの演出。ケーキやアイスやゼリーなど各素材はありふれたものだし、それほど光るものではないが、その組立て、組み合わせによって一つの新しい料理ができあがる、という点に参りました
メモ