電話 03(5766)9500 住所:東京都港区西麻布-2-26-4
渋谷駅東口から都バス01で二つ目南青山7丁目下車。高樹町交差点を長谷寺方面へ道なりに3分。渋谷から10分。表参道からは徒歩15分。
昼:12:00〜14:00(L.O.)、夜:18:00〜21:30(L.O.)
定休日:月曜
2013年3月
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じわじわとおいしさの広がる21世紀料理
食べたもの
アミューズ◎春の風の中〜クレソン、桜えび、牡丹えび、不知火、シェリー酒を2口で
前菜1◎春の光〜春告魚の低速料理、ホワイトアスパラガスのポシェとそのクリーム、蛤、のこぎり草
前菜2◎定点〜丸ごと火入れした蕪とイタリアンパセリのエミュルション、ハモンイベリコ&ブリオッシュ
前菜3◎フォアグラのナチュレルと根セロリのエスプーマ、林檎のクルスティアン、生姜のコンフィ&ピーカンナッツ、パンプルネルの葉
メイン◎クラシックの意義〜ビュルゴー家からきたシャラン鴨胸肉の炭焼きローストと愛媛清五郎農園のブラッドオレンジ、ジロール茸、姫大根、はこべら
デザート◎赤をまとって〜とちおとめ、ビーツのマリネと葉、アーモンドミルクのソルベ、メレンゲ、黒オリーブ
小菓子マカロン、八つ橋、チェリーチョコ、チョコのチュッパチャップス
低速料理(めばる)や長時間低温ロースト(蕪)という技法を使った料理が確かにあるし、新しい味を追求するためにいままでになかった食材の組合せをシェフは常に考えているのだと思う。それなのにそれをウリにして「どうだ、すごいだろう!」と挑発するのではなく、イメージ通りの仕上げにするために必要に迫られてそうした方法を(裏で)使っているという印象をもった。ただ、どの皿も完成されていて、完成されすぎていて見本用サンプルのようで、香りは微かで冷めてしまっているのが残念。全般的には「生ぬるい」イメージ。メインの鴨料理は自信作という割にはインパクトが弱く平凡。
その中で特によかったのは、フォアグラ料理とアーモンドクリームアイス。前者は大阪のHajimeに次いで日本で2番目においしい。ランチを食べるなら、高くなるけれど是非フォアグラを含むコースを強くおすすめする。後者はいちごとビーツをメインとしたデザートの繋ぎの役割なんだろうけれど、目が覚めるような豊かさをもっていた。
4時間ローストした蕪は、どのコースにも含まれるスペシャリテ。前回は前口上で期待値が高くなりすぎたからかインパクトがなかったが、今回は柔らかいのにしっかりとした歯ごたえのある固さあるなかから、蕪のジュと苦みやバターが合わさって生まれる「化学反応」を堪能できた。材料や作り方は同じだが、季節の違いが味に微妙な変化をもたらすとのこと。
でも、厨房、ホール共に、お客に楽しく寛いでもらうためにはコストを惜しまないことをポリシーとしていることがはっきりわかるレストラン。たとえば、入店の際に生江シェフが迎えてくれるのでびっくりしてしまった。グランヴェフールのギィ・マルタン以来の経験。尋ねたら、お客さんと、とにかくコンタクトをとりたいので、開店から15分ほどは店先に立っているとのこと。