「特別な人間と思うな」
管理者の多くは、組織の中堅から上層の、認められた地位につくまでに、ある種の威厳という人間的重みを身につけます。
それで、威厳というものは、それを持つ人と、持たない人との間に、見えない境界を自然に作り出します。この隔たりが逆に、管理者を、特別な力をもった人であると言う、とりとめのない現実離れした感情感覚で眺めるようになります。
しかし、どんなにすぐれた偉大な管理者であっても、最初は、他の人達と同じように、その人のスタイルは、できあがってない未完成の品物と同じです。
単に、人間を成熟させるさまざまな要素が、積み重なった状態から出発しております。そして、普通の人達と同じ感情を持っているのです。違うのは、長い期間、統率力であるとか、信用という価値づけしたものが整理されているために、管理者の方が、ある程度の感情を、コントロールできるという点だけになります。
しかし、管理者が怒りとか、欲求不満や、嫌気の感情を、コントロールが出来ると言っても、それは必ずしも完全に、そしていつでも出来るというわけではありません。
どんな管理者でも、切れて、かんしゃくを起こすこともあれば、冷静に自制心を作用させることもあります。
「もし、自分も、管理者とは、人間の感情を超越した人間と思っているなら、それはあきらかに間違いです。別のより高い次元などはあり得ません。そんなことは忘れるに限ります。同じ血の通ってるにんげんで、管理者と言っても我々と同じ人間です」 つづく
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