出来の悪い管理者の多くは「私は、自分の城を築く積もりなど毛頭もない」と、よく言葉にします。
その真意は、「私は、自分の城を築く積もりだ」ということになります。上司の不意に口走る我を忘れた言葉には注意したいものです。
このタイプの管理者は、「私の部下」「私の課」「私の助手」などの言葉を好んで使う傾向があります。
「私の部下は、私の計画によって仕事をしています」
と、言う具合に、本筋に入る前にかなり前置きの長い説明のつける傾向があります。
このような管理者に取って、あらゆるものを「私有物と見なす」という楽しそうな考え方を捨てることは難しいことです。
秘書は「うちの娘」であり、男性の部下は「自分の手下」であるのです。そして、自分が扱う全てのものは「私の計画」になって仕舞います。
城を築くということは、できるだけ大勢の人間に報告させることを意味していますが、出来の悪い管理者にとっては、これが是非ともそのようでなければなりません。部下にとっては、給料につり合わない過酷な労働を強いられることになりがちですが、城を築く本人にとっては、逆に嬉しいことです。
大勢の人間が直接自分に報告してくるのを見て、「私の部下たち」の存在を確認します。それによって、自分が本当に重要な人間に違いないと、確信するのです。
そのため、管理者こそ重要である「私の部下」を指揮する管理者がいなかったら、どうやって全てを機能させることができるだろうか。と言う訳になっていきます。
こうしたハンディキャップをかかえた管理者は危険です。
自分の不安を、数字の勝負や不必要な所有欲でごまかそうとするからです。この人達に部下との関係を断てと言うのは、腕や脚を切り落とせと言うようなことと等しいものです。
このタイプの管理者多くは、私利私欲に走ることに夢中になっています。冷淡な人間は、自分達以外のことなど殆ど重視しないことに注意しなければなりません。
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