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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

続【教養を高める訓練】

 アシスタントが、立派に代行をつとめるには、日頃の厳しい半面、思いやりのある指導が必要です。
大企業の多くは、人事担当重役か養成指導者がこの指導に当たっています。正規の指導を受けませんと、リーダーシップのサル真似が横行することになって、たいへん危険だからです。

 昔の名工のいうように、名人上手にもなれば、下手になることもあります。経験もこれと同じことです。よい指導を受けることで始めて、よい実を結ぶことになります。 また、突然、管理職の地位に登用された者は、親身になってくれる相談相手を持つことが必要になるときがあります。それは、新しい任務に対する知識や能力に、不安を持っているかもしれません。ですから、組織もよくそのことを考えておかなければなりません。

 リーダーとして、成功するか否かは、組織が細かい点まで気配りをする点が大きく影響します。
アシスタントリーダーは、正リーダーの仕事を代行することも任務のうちに含まれています。そのため、正リーダーよりも、かえってグループのメンバーと接触を持つ機会が多い場合もあります。

そのような場合には、アシスタントリーダーの接触方法のやり方が、組織に対するメンバーの心構えを、決定づけることが多いのですが、アシスタントが、正しい教育を受けて置くことで、安心できるようになります。そして、アシスタント達のグループ討議や、正リーダーあるいは、養成指導者との話し合いの際に、これについて反省することが望ましいものです。

「段階的リーダーシップ」
これはリーダーとしての一番低い位置からスタートさせて、優秀なものは順次上の地位にあげていく方法です。
例えば工場なら、有望な工員を班長からはじめて、職長、監督、というように、昇進させていきます。あるいはデパートならば、有能な店員を仕入れ係、主任、課長……と順次昇進させます。また、政治の分野ならば、市会議員、県会議員、国会議員……というようなぐあいになります。

 自分の地位をうまく利用して、部下に人気があり上役にも受けがいい場合、昇進はトントン拍子であるかもしれませんが、この方法では、真のリーダーシップを伸ばすことは、あまり期待できないのです。

生の体験で得られる教訓は尊いものではあるのですが、現在の地位より高いもののことについては教えてくれないからです。ですから上の地位に進むと、どうしても、リーダーとして声望のある他人の真似をし勝ちになってしまいます。そのため、自分自身の態度やテクニックが、身につかなく恐れが多いのです。

 ですから、経験の深い先輩リーダーかリーダー養成者から絶えず指導を受けるようにします。監督や批判を仰ぐことが望ましいのです。政界においては、いわゆる黒幕と呼ばれるようなボスが、新人政治家の指導役をはたしているケースが多分にあります。また企業では、人事担当重役が、新人リーダーの監督や指導にあたるのが一般的です。

しかし、現実には、この師に価するものが余りにも少ないのです。いくら本人がよい体験をするといっても、それが教訓にはならないで、不毛の試行錯誤に終わってしまうことが多いのです。そのため、昇進の段階を経るごとに、建設的な批判を与える指導者が必要になる大きい理由になります。


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