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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【リーダー候補の実習制度】

 今まで述べた段階的昇進制度は、実習制度を組み入れればさらに有効なものになります。
現に、多くの企業はこの制度を採用しております。この方法では、組織の歴史と目標をあわせて、各職場で数週間から数ヶ月間、実務の習得を行っています。実習期間が終わると、先ず、リーダーとしての低い地位に着任させて、さらに、6ヶ月間程様子を慎重にみる方法をとっています。

 それが終わって、受講者が有望だとわかれば、地位を昇進させるのです。それから後は、本人の能力と組織側の地位の向上にしたがって、上級管理職の道を昇っていくことになります。

また、これに並行して、職務に関する問題を、文書にして、みっちり学習させるることも非常に有益です。この方法は適用性に富んでいます。しかし、次のことを注意しないと弊害を生ずる恐れがでてまいります。

(1) 先ず実習者を慎重に選ぶこと。

(2) 昇進の機会をあまり延ばさないこと。

(3) 実習者を自惚れさせないこと。

(4) 昇進の機会を逃した実習者を引き止めておこうと無理な工作をしないこと。

(5) 実習者たちはリーダーとしての素質を持っているもの
 であって、経営者の”ひいき”によるものではないことを、全組織が、納得するよう最大の努力を払うこと。

「リーダーによるグループ討議」
 この方法も急速に注目されてきたものです。産業界では職長会議があります。大店舗では、各売り場主任会議があります。その他実際に、あらゆる分野で、定期的会合や学習の重要性が認識されるようになっています。

 リーダーシップの分野でも、急速に進む知識と技術をマスターしていなければならないのです。そのため、いわゆる”補修”が行われているところが多いのです。

 例えば、実習期間が終わったリーダーに、問題を出して討議させます。議題を異なった解決法があると思われるような問題、または、”賞賛の与え方”などを実例を上げて説明できるようなものなど、特に課題を限定しません。何でもよいのです。時には、下部層の声を取り上げて、検討するのも一つの方法です。これを取り上げて素晴らしい成果をあげたところは、枚挙にいとまがないくらいです。

 また、会議のメンバーの三、四人が、あらかじめ問題を選び、研究発表するのもよい方法です。この方法は、適当に指導すれば非常な刺激となり、問題の掌握力が高まり、学習経験を大変豊かにするものです。

 この討議制度に、リーダーシップの才能を見つけ出すという得がたい効果もあります。他の方法では、埋もれたままに終わってしまうような才能が、討議によって精彩を放つのです。討議グループには、こうして認められるメンバーが必ずでるものです。さらに、メンバーが交代で議長をつとめれば、リーダーシップの才能発見に役立つことは保証できるのです。


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