リーダーシップの訓練が、うまく行われているということは、とりも直さず、リーダー養成者と候補者の間に一対一の緊密な指導が存在することを示しております。
養成者が慎重に計画を立てれば、この方法は最良のものといえるのでしょう。
養成者は、前もって養成計画の内容と要点を考慮し、候補者の職務行動を密接に調査し、彼らに対する上級管理者層や、部下達の批判も、指導の際に十分役立てるようにしなければならないのです。
候補者との一対一の接触の際には、仕事振りの批評、読書の復習、研究問題の賦課、文書の作成等、様々な角度からの指導が望ましいのです。大企業の人事担当重役には、三ヶ月ごとに部下の部課長達と非公式な話し合いをして、人事問題や部課長の勤務評定の参考にしている人が沢山おります。
リーダーが上級管理職の地位に進むにつれ、彼のリーダーシップの欠陥を指摘する言葉は、グループ見解の形をとらずに、個人的な話し合いで伝えられる方法がいいのです。それは、組織が大きくなればなるほど、トップのリーダーシップに対して、建設的な遠慮のない批評をする勇気のある者が、減っていく危険が大きくなるからです。
トップのリーダーは、どうして必要な批評を得るようにしたらよいのか、これはあらゆる組織にとって、大変な難問になっております。
政党のように、リーダーが選挙によってその地位についた場合、批判は、再選の際はっきりと現れるから問題はありません。しかし、他のほとんどのすべての分野では、トップのリーダーは重役会や理事会などに責任を負っているが、そうした会を支配しているのが、他ならぬリーダーの彼であることがおおいのです。そうした際に、彼に対する批評を挿し挟むことは殆ど不可能になる虞があります。 そこで、リーダーシップの養成の成果を評価する方法について、次に述べてみることにします。
【養成の成果を評価する】
どのような養成方法でも、それが行動や考え方のうちに、実際どのように生かされているか。その程度によつて成否が決まるのです。
リーダーシップにおいては、これは、人間関係をうまく処理すること、つまり、従属者に対する一層深い思慮と立派な態度を身につけたかどうかを意味するのです。
では、これらの評価方法はどのようなものでしょうか。困難な問題ではありますが、以下にあげた項目を当てはめてみれば、リーダーシップに対する評価の参考にはなるかも知れません。
@グループの成し遂げた仕事の量。これは、労働時間に対する仕事量またはコストによって測定が可能でしょう。
Aグループが成し遂げた仕事の質。これは、監査あるいは顧客や大衆の反応等によっても知ることが出来るでしょう。
Bグループのメンバーの安定度。グループへの人々の出入りが激しいのは、好ましくない兆候です。従業員移動数と一定年限以上の在職者数を知ることで、安定度がよくわかります。
Cグループの指導層に寄せられた不満や苦情の数。
Dリーダー層に対する心情についてのメンバーの意向。従業員の意見を検討するテクニックは、いくつかの企業で試みられて成功しています。
個々の場合のリーダーシップをよく研究すれば、一層よい評価方法が得られると思います。その際の手がかりとして、
@受け入れられた提案数。
A事故の激しさ。
B欠席回数。
C必要経費の使われ方。
その他可能なあらゆる方法手段を用いて、リーダーシップの評価「「ひいてはリーダー養成方法の評価を試みることが大切です。
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