文書化が要求される企業背景
◎文書の基礎
文書化によって損をするという意識ではデータベースはうまれない。
組織の分散化・細分化
企業が発展の手法や技術開発の面で(差別化)を図り、競争力をつけようとすれば、専門領域の組織は細分化されざるを得なくなります。その結果、管理は行き届きにくくなり、情報が、専門家や個人の知識領域にとどまる危険性が増えてきます。
末端の情報や知識は文書化され、ストックされなければ、組織のデータベースは、いっこうに増えないことになります。
組織の統合と情報の共有化
一方、それと逆の事態が起こりつつあります。リストラによって人的設備効率が上昇したとしても、情報の点から見ると、統合された組織単位が持参した情報をキープしたまま、というケースが圧倒的に多いようです。
(ビジブル情報の共有化)が図らなければ、経営的な見かけの数字は良化したとしても、知的な面における効率向上や快適性は得られないことになります。情報の危険分散の点からも、組織の統合はこれに逆行するわけですから、十分なプランニングが必要と思われます。
異文化交流
欧米で(文書によるコミュニケーション=Written communication)が発達した理由のひとつは、同じオフィスで異人種同種が意志疎通を図りながら働く状態が、ごく普通になったからです。日本人が外国人に向けて熱心にレターを書く現象が、日本のオフィスの中でもやれるとしたら、文書化の意義はもっと理解され、作成技術も向上するに違いありません。
知識の伝承
情報や知識をビジブル化する習慣のうすい日本では、定年で人を失うとともに、情報や知識も失われます。経済成長をささえてきたベテランたちは、続々と職場を去りつつあります。この人たちが持っていた情報も顕在化・固定化して伝えるには、一刻も早い文章(映像)化とそのファイリングが焦眉の急の課題です。
参考文献:ファィリングがわかる辞典、野口靖夫著、日本実業出版社刊
ファィリングの技術、野口靖夫著、日本実業出版刊
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