積極的な行動を求めるコミュニケーションに、もっとも多く当てはまる形式は、指示とか命令形式の意志伝達です。 管理という役目をもっている人は、ひっきりなしに、指示を出す機会に直面します。そのとき、急を要する命令は、口頭で伝えるとか、長い期間にわたる命令であるとか、細かい指示を必要なときには、文書で伝えるなどの方法をとって、情報の伝達を行います。 そこで、少し詳しく述べてみます。情報伝達をスタイル別に分けると、おおよそ次のようになります。
【命令】 命令は、緊急事態や、特に注意を必要とするようなことだけに用いるようにします。もし、むやみに、命令形式を用いますと、その効果は半減しますから、この点を注意します。
【依頼】 依頼は協力を求めることです。命令より礼儀正しく行き届いた意志の伝達になります。依頼する場合には、誰に頼んだら一番いいかを知った上で相手を選びます。依頼を断る部下はまずいない筈です。
【示唆】 示唆は、従業員の責任感を触発しますから、責任感の強い人によく用いられる意思伝達の方法です。また、チーム・ワークや集団の利益をそれとなく訴えることで情報を伝達します。
【考えを売り込む】 出来るだけ理由を明かす方法です。依頼や示唆の後ろにある隠れた部分に、何があるかが分かると、きわめて積極的にそれに答えようとすることが判ります。ビジネスは、命令をして仕事をやらせるのではありません。仕事をすることに、興味をもたせるのです。
【協力】 リーダーは、組織の中で上役の方々にも部下の人達にも、協力して貰いながら仕事をしています。ところが、上役には気に入れられようと、相手の考えに賛成したり調子を合わせたりします。そして、部下に対しては、その存在を無視するような管理者は数知れないほど沢山います。 この様な考えをもった行動は、同じレベルの管理者と協力していく場合にも、なくてはならない大事なことです。同僚の方々の協力が得られず、充分な意志伝達が出来なくなれば、チーム・ワークは崩壊します。会社内に考えや命令が正しく伝わることが阻害されて、益々厄介なことになってしまいます。 他の管理者に情報や命令を伝える際には、彼らは部下ではありませんから、強制できない、と言うことを絶対に忘れてはなりません。有能な管理者は、普段から自分の考えを彼らに「売り込み」、協力を促しているものです。
◆ 命令を出す際によく犯す誤ちの例 ‥‥部下かしっていると思い込む。
皮肉など刺のある表現をしないで下さい。下手をすると命令の拒絶につながります。
これは問題を明確にさせるのにたいへん役に立ちます。
命令が多すぎると内容を混同しやすくなります。
この組織の役割上の手続き、つまり権限の系列を崩さないようにします。直接の上司を通じるという手続きを経ないで、集団及び集団のメンバーに、直接命令を出すと、集団及びその上司のやる気をなくさてしまいます。
けれども、仕事が困難なものであるとか、特殊なもの、たまに発生するものであったり、あるいは、未熟連者によって行われる仕事の場合、それに、標準的な手続きが必要で、それを教えたりするような場合には、詳細な命令があったほうが無難です。
適当な時間を経過してから、再点検をする事を勧めます。部下が命令を理解しているかどうか、仕事ぶりをたしかめるためです。 つづく PS 文書による命令については計画化の項で詳細を述べていますので省略します。
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