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一桁>経営組織論?>『意志の伝達』

<意志伝達の障害>

「公式的な意志伝達」
 完全な意志伝達のサイクルを、つくることは不可能に近いことです。
 しかし、前に述べたフィードバック循環ラインの他に、意志伝達の方法を改善する仕方など、障害となる問題の幾つかを、正しく措置するために、改善改良の手当をすることは可能です。

受信者側の障害の多くは、情報を受けるときの。受信者の態度によって生じます。
情報の送り手である送信者は、会社サイド、送信者、さらに、当該の問題などに対する受信者の情報にたいする「感じ」方に、敏感でなければなりません。
 情報を伝達する人は、無神経に情報を伝達するわけではありません。送信者は、自分が行ったことや、したことが、受信者の感情や態度に、どの様な影響を及ぼすのか、予測することが必要です。

 これは、送信者の経歴と、受信者の経歴に、仕事上に大きい違いの立場があるとき、特に重要になります。送信者は、受信者の立場に立って、理解できる共通の基盤を、見つけるように努めなければなりません。

 問題は、タイミングです。
 話をしようか。話を聞こうか。と、両者の互いに呼吸の合う同期の問題です。メッセージを理解し受け入れるのは、ときと場合によってこのタイミングが変わってくるからです。
 例えば、メッセージを送るのが早すぎる‥‥まだそれを処理する体制が出来上がっていない‥‥と、受け入れることはできなくなります。
 しかし、相手が機械であるときには、機械がもつ危険に実際に晒されないうちは、その機械を使用する際の安全注意事項を、受け入れる気になれません。ところが、タイミングが良く、一端その機械にふれると、安全についてのメッセージは理解され、たちまち機械の働きを受け入れられるようになります。

意志伝達の最も効果的な方法の一つは、意志を伝える部下との直接面談です。
 送信者は、その場の言葉に対する反応や、言葉にならない言葉に気をつけて、部下に質疑応答をさせながら、メッセージがどのように受け取られているか、等を観察することによって、意志伝達のサイクルを促進することができます。

 このようにしてメッセージを伝えるようにすると、即座にフィードバックできるだけでなく、最初のメッセージをより明確に伝えることができます。
 また、直接話し合ってメッセージを伝える際には、声の調子によって強調したり、誠意を表したりすることが出来ます。けれども、文書の場合には感情などの想いを、表すことは容易ではありません。顔や体の表情や態度も、意志を伝えるのには、十分役立つことになります。

 送信者は、メッセージを伝えることで、その相手を観察したり、メッセージに対する反応‥‥彼の言葉、ばかりでなく態度全体にあらわれます‥‥を、確かめることが出来ます。
また、相手方のもっている敵意、不満、不本意な承諾もわかりますし、反対に、熱意、高い士気等、文句無しの全面承諾も理解できます。

「非公式な意志伝達」
 今までは、公式の意志伝達だけについて、問題を取り上げました。
 しかし、大きい組織においては、意志伝達の非公式な面を、無視する訳にはいきません。
「これは、噂とか、(デマ)といった形で現れてくる性質のものです」
 噂とは、陰で言いふらされている一つのメッセージですが、いくらか事実を含んでいるか、全くのデタラメというのが普通です。そして絶えず組織内をめぐっては、あれこれと言い触らされます。
管理者は、常に噂には注意します。そして、必要なときには噂に挑戦したり、反証を上げたり、静めたりするつもりで、いなければならないでしょう。

 噂は、誤解を招いて、会社に大きい損害を与える恐れがあります。
 会社の資金状態が悪化しているとか、工場の閉鎖を計画しているとか、と、いった虚偽の噂は、会社を危機に陥れます。管理者が転勤になるとか、一部人事政策が変更になると云った噂は、辞職や異議申し立てや、政府機関への告訴を招く恐れがあります。

経営者や管理者は、社内に広まっている「どんな噂」にも用心すべきです。
噂を無視する訳にはまいりません。噂の真相(噂にも事実が含まれていることがある)をただし、全く嘘いつわりの無い話を、関係者に伝える必要な方法を、すぐさま取るべきです。

「デマ」は、真偽を取り混ぜた情報を、組織内に流す非公式の、意志伝達チャネルの働きをもっています。  デマ情報の広まるのが早く、自然発生的で出たり引っ込んだりの素早い機動性があります。人のいるところなら何処にでもあり、高い信用を得ているように思われがちです。

経営者は、このデマを、利用しているように考えられます。デマを利用して、公式の意志伝達を、補足強化する経営者は、数多く存在します。
 彼ら経営者は、しばしばデマによって「アドバルーン」を掲げるなどをして、従業員が検討中の案について、他の社員が、どういう反応を示すか確かめているケースもあります。

 公式の意志伝達用として準備している情報を、非公式な情報として、前もって流しておけば、経営者として、フィードバックに対応した政策の調整を、約束することなしに、いろいろなフィードバック(帰還情報)を手にいれることが出来るようになります。 つづく