多くの管理者は、意志決定の重要性と緊急性について、実際よりも、高い評価を下しています。しかしながら、意志決定を早急に下すことに、懸命でないことを示す事例は、沢山あります。 その理由としては、時間を伸ばすことで、意志決定が不要になることもあるからで、とくに管理者が、決定を急がされているようなときに、良くあることです。 管理者の忘れてはならない原則の一つは、充分な討議検討を行わないで、止む得ず、決定を強いられるようなことを、なくして仕舞うことです。場合によっては、緊急に、意志決定をしなければならないときもありますが、通常のビジネスにおいて、そのよなことは多くあることではありません。
根本問題の解決になりませんが、当面の問題解決に要する、暫定的な意志決定が、全くその通りに、的中することはが良くあります。これはアメリカの例で、大学生達がベトナム戦争介入に、抗議していた頃の話しです。
学生達は、要求を拒否するならば、おまえの店をボイコットするともいいます。ハンバーグの商売は、学生あいてが半分、町の人相手の商売が半分だったのですが、町の人達は学生の要求を怒り、店長は途方にくれてしまいました。 旗竿を取り替えようと言う頃には、大学は夏休みに入っています。大学が再開されるまでには事態は収まり、この問題について、意志決定を下す必要はなくなっているはずです。
これに対して、放って置くと、かえって事態を悪化させてしまうときもあります。 管理者は、状況の真の緊急性を検討し、遅延にはどんな効果があるか、意志決定はどのくらい延期できるか、ただちに処理しなければならないものは何か。延期して更に協議が重ねられるのは何か、などを明らかにしなくてはなりません。
『意志決定をテストする』
製造分野においても、製造方法に関する意志決定を、本格的に取り入れる前、小規模なテストをやることで、意志決定の可否の検討を行うことができます。
意志決定は、テストの許される性質のものであれば、躊躇なく実施すべきものです。テストの結果、それまで気づかなかった問題が、明らかになることが良くあります。意志決定を大規模に実行する前に、誤りをただすこともできます。
ラインの管理者には、意志決定の結果を調べることを、主な仕事にしているスタッフ・アシスタントがついている場合が多くあります。
こうした場合、経営者はいつでも、結果を知ることが出来るような、フィードバック機構をつくります。フィードバックとは、意志決定の連続テストのことですから、このことを忘れてはなりません。フィードバックの究極の目的は、下した意志決定が、どの程度目標達成につながっているかを明確にすることです。
意志決定――可能な試案の中から解決策を選ぶこと――は、経営管理の決定的に大事な要素です。数学やコンピュータを、利用するからと言って、要素の性質は、機械的なものであってはなりません。
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