総アクセス数
<行動科学の目で見る>
戦略経営組織論
 ビジネスマンの組織環境

一桁>経営組織論?>【計画の実施】再アップ
91/8
 《U》さん<

 開けてびっくり、どうしてこんなに化けるのでしょう。取りあえず再送?します。モデムも、だいぶ旧式になりました。そのうちソフトと一緒に整備しますから、しばらくは、判読して下さい。

<計画を実施する>

 「計画」を実施した後の結果は、計画を立案した手法と、計画を実行する人達に、計画を示す際の、管理者の指導態度によって左右されます。
 管理者の部下に計画を伝える方法は、およそ、つぎの六通りあります。

一.「一方的に意志決定を下し、それを部下に伝える管理者スタイル」
 この独善的な方法は、関係する部下達に意志決定に参加するだけの知識がなく、何でも言いなりになる事が前提になります。
 一般的にこうした場合は、代行者、平社員を問わず、多くの場合、部下はこの管理者の行為に怒りを発します。部下達は、このことによって、意識的あるいは、無意識的を問わず、計画の実施に対して、全面的な協力を拒むようになります。

二.「意志決定を下し、それを部下に「売り込む」管理者」
 自分の職務権限と権力を利用して、意志決定を、押しつける代わりに、部下を説得して計画を認めさせて実施させます。
 管理者が優秀なセールスマンであるなら、この一番最初の抵抗を突破しますが、それでも、部下達は、言われるままに指示されている様な気がして、半信半疑で意志決定に従うだけです。

三.アイデアを部下に話し、質問や提案を受けたようにするけれども、
 最初に立てた計画は、変更する事はまれな管理者
 このタイプの管理者は、日常的に、部下達に疑問や提案を植え付けます。そのため、彼らのアイデアを聞き入れているような感じを抱かせます。けれども、この様な管理者は口が巧いので部下達は、やがて、それに気づき、欺瞞を怒るようになります。そうなると、計画の実施は思うようにいかなくなります。

四.計画の環境背景や自分の試案を話し、アイデアや提案を求める管理者
 これは、ある種の全員参加による経営スタイルなので、ある程度よい結果が得られます。
 ただし、この場合、管理者は、グループから出されたアイデアを、成功させたいと心から望んでいる事が前提となります。この際の問題は、管理者が直接、試案を出すような形式になると、部下達は彼と極端に異なるアイデアを出す事を封じてしまうことになります。
 さらに、部下達は、彼の気持ちは既に決まっていて、同意ないし僅かばかりの変更を求めているだけだと考えるかも知れないのです。

五.部下たちに問題を提起し、彼らと共に計画を練る管理者。
 このスタイルの場合には、技術的問題については、技術の専門家に任せますが、計画化は、関係者全員の参加において行います。
 この様な計画化は最高の成果が上げられるものとされます。つまり、計画を実施する予定になっている人達が、直接行うからです。それは、彼らが持っている知識やアイデアを直接利用されるだけでなく、最初から、計画の立案に加わっているということで、それを成功させるために、計画に熱意を持って力を尽くそうとするためです。

 これが全員参加の経営の背後にある基本概念です。
 関係者の一人一人が、それぞれ到達目標を理解して、目標達成のために、大幅な活動の自由を認めようとする「目標による経営」の哲学であるのです。(これは後の項目「業績評価その他」でいますこし突っ込んで論じる積もりです)

 全員参加の経営をするには、参加する人達に充分な教育を受けさせることです。
 下さなければならない意志決定を、下せる能力を持たなければなりません。自分達の参加を喜ばれ、経営管理と計画化の過程では、必要不可欠な一員であることを、理解されるような雰囲気が、社内に生まれることが前提になります。

 これらの前提条件が揃わないで、関係者が計画化の過程で果たす役割と責任を受け入れない限り、計画化は決して成功しません。計画を生かす基礎を創るのは、経営者の責任でもあるのです。

六.五のタイプの管理者は、参加者が問題の解決策を探して計画を立てる
ばかりではありません。まず最初に、何が問題であって、どんな計画が最適であるかを、明確にすることも可能にします。
 ピーター・ドラッカーは「経営者」の中で、日本の経営者が用いるこの種の問題の処理方法について次のように述べています。

 日本の経営者は、意志決定を下す過程において、大部分の問題を明確にします。――
 何が本当の問題であるかを見極め――に時間を費やしています。問題がはっきりすれば、解答が自ずから明らかになる場合が多くあります。この様な参加の仕方は、大変な時間の浪費になります――しばしば意志決定が大幅に遅れます――が、結果的には、そのほうがよい計画が生まれます。

 おそらく普通の経営の状態においては、四と五が最も適していると考えられます。計画を、効果的に実施できるようにするには、計画の概要をつかんで、その実施を図ったり、うわべだけの納得しか得られないような独善的で、口先だけのやり方などは、しないようにすべきだと思います。

 前にも述べたように、採用した計画であっても、計画の実施状況と、目標の達成度を確かめるために、時々、再調査を行わなければなりません。定期的な評価と、必要に応じて行う修正が、経営を活気づけるための計画化に必要であり、重要なことです。それが経営管理を改善し、組織全体をより健全なものにするものです。