このスタイルの場合には、技術的問題については、技術の専門家に任せますが、計画化は、関係者全員の参加において行います。
この様な計画化は最高の成果が上げられるものとされます。つまり、計画を実施する予定になっている人達が、直接行うからです。それは、彼らが持っている知識やアイデアを直接利用されるだけでなく、最初から、計画の立案に加わっているということで、それを成功させるために、計画に熱意を持って力を尽くそうとするためです。
これが全員参加の経営の背後にある基本概念です。
関係者の一人一人が、それぞれ到達目標を理解して、目標達成のために、大幅な活動の自由を認めようとする「目標による経営」の哲学であるのです。(これは後の項目「業績評価その他」でいますこし突っ込んで論じる積もりです)
全員参加の経営をするには、参加する人達に充分な教育を受けさせることです。
下さなければならない意志決定を、下せる能力を持たなければなりません。自分達の参加を喜ばれ、経営管理と計画化の過程では、必要不可欠な一員であることを、理解されるような雰囲気が、社内に生まれることが前提になります。
これらの前提条件が揃わないで、関係者が計画化の過程で果たす役割と責任を受け入れない限り、計画化は決して成功しません。計画を生かす基礎を創るのは、経営者の責任でもあるのです。
六.五のタイプの管理者は、参加者が問題の解決策を探して計画を立てる
ばかりではありません。まず最初に、何が問題であって、どんな計画が最適であるかを、明確にすることも可能にします。
ピーター・ドラッカーは「経営者」の中で、日本の経営者が用いるこの種の問題の処理方法について次のように述べています。
日本の経営者は、意志決定を下す過程において、大部分の問題を明確にします。――
何が本当の問題であるかを見極め――に時間を費やしています。問題がはっきりすれば、解答が自ずから明らかになる場合が多くあります。この様な参加の仕方は、大変な時間の浪費になります――しばしば意志決定が大幅に遅れます――が、結果的には、そのほうがよい計画が生まれます。
おそらく普通の経営の状態においては、四と五が最も適していると考えられます。計画を、効果的に実施できるようにするには、計画の概要をつかんで、その実施を図ったり、うわべだけの納得しか得られないような独善的で、口先だけのやり方などは、しないようにすべきだと思います。