経営分析の第二段階は、意図した結果が得られるように、会社の資源(人・物・金)を組織化することになります。
一廉の人物と称される有能な管理者を望むには、管理すべき活動、共に働く者、報告する相手、報告してくる者をよく知ることが大切です。更に、企業構造全体、の中において、自分の地位や立場はどの当たりに位置しているのか。そして、組織のネットワークにおいて、関連する業務組織を利用して、公的な意志の伝達を行うとき、伝達の手段や方法を充分に熟知しておかなければなりません。
しかも、この伝達の方法や手段の全部を、部や会社の目標達成に、振り向けなければならないのです。それらの目標は、指示や伝達の際には、期待される結果という形で示すのが最もよい効果を上げられます。ところが、多くの会社では、現在、スタッフの周囲に、組織を築くことはしても、スタッフの人達が求める結果を、明確にして、仕事が出来る人達を、組織上の大事な役割である地位に、配置する考慮はしておりません。
小さな会社では、大抵の場合、組織構造はないのと等しい仕組みになっています。単に社員各人が、割り当てられた仕事をやっているだけです。それでも、成績がよければ部の中核になる訳です。
やがて社員の増員が行われ、各部に分配配属されるようになると、急拵えの組織であっても、組織の仕組みができあがってきます。しかし、これは、会社の実際の要求とは、殆ど、かけ離れた無関係のできごとになります。
この種の組織構造は、何事も円滑に進んでいる間は機能します。しかし、ひとたび仕事の危機に晒されると、構造全体はたちまち壊れてしまいます。
構造が貧弱でも、細々と経営をつづける会社はよくあります。が、これは経営者(指導者)がよほどしっかりしているからか、或いは(その業績に、もともと備わっている)大きな利潤(利幅)によって、経営の弱点を補っているからです。何れにしても、こういう会社は思うような業績の飛躍は望まれません。
物事がうまくいって良い結果を治めるようにするには、結果本意に考えて、組織の仕組みを創ることが大切です。目標の用語には、はっきりしていて現実的で具体的な言葉を選びます。そして、管理者は常にその目標から目をはなさないようにします。
組織の仕組み(構造)は、見込まれる良い結果だけを目標にして創ります。各職務の役割分担は、それぞれ目標を、細分特定した部分を目的に、新たに定めた上で、人員を配置するようにします。とくに、一人の管理者には、色々な仕事をやらせないようにして、特に良くできる仕事だけをやらせるようにします。
会社の組織構造は、企業の目標を達成する上で、決定的な要素となりますから、組織になくてはならないものを、慎重且つ合理的に作らなければなりません。さらに、組織作りには、継続して行う幾つかのステップを踏む、手順が必要になります。
まず、最初のステップは、利用できる資源‥‥人的資源、物的資源、財源‥‥の入念な分析を行うことです。これらの分析を行うときは、目標達成に用が足せて実際に役立つ――あるいは妨げとなる――企業組織の社内社外の色々様々な要素をよく考えなければなりません。
二番目のステップでは、「いま自由になる資源(人・もの・金)をよく照合して、合理的且つ妥当な、達成できる会社の目標は長期の場合は何か」という問題に答えることです。
目標が設定されるとつぎの第三ステップ――目標を達成するための、組織構造の枠づくり、――へと進むことが出来ます。この段階を処理する最善の方法は、以下の問題に答えることができることです。
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1. 会社の目標達成を確実にするために、
- 時間と注意を集中しなければなりません。そこで、仕事をして得られる結果は何か、また、その基本となる範囲や方向は、どうなってるかということです。
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2. 予想した通りの良い結果を求めるには、
- この基本範囲や方向には、どんな主要機能を必要とするでしょうか。問題に正しく答えられることが出きたとき、はじめて、希望する良い結果を出すため、実際に必要な働きを選び、しかも、それを組織に加えることが、出来るようになります。
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3. それらの主な働きからは、どんな良い結果が確実に求められるでしょうか。
- 主な働きから、確実に予想される結果があやふやであると、それらの働きをする人達には、結果のために働くというよりは、仕事だから働くという考えが強く表面に出るようになります。
- 4. 望ましい良い結果を得るために
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それらの主要な働きには、時間と注意の集中を必要とします。そのとき、それぞれ分担活動する人達には、どんな役に立つか、あるいは役立たないかの「臨界活動」領域は、どのような状態になっているのか。その確認をします。
- 5. 望ましい良い結果を得るため、それらの主要機能には
- どのような主要職務が必要とするでしょうか。この問題に正しく答えられることができると、目標達成に不可欠な主要な職務だけを選んで、企業組織に組み入れることができるようになります。
- 6. その主要職務を、どうすれば業績中心の組織に創られるでしょうか。
- 現在、数多くあるマニアル等の職務記述書は、それが意図した通りには、使われておりません。
何れも「業務中心」の構成になっており、「業績中心」の仕組みにつくられていないからです。要するに、管理者は、メンバーそれぞれの人達が、何をなすべきかということを、わかってはいますが、彼らの仕事の成し遂げた後の良い結果のことは、はっきり理解していないです。
主要な職場に「業績中心」の雰囲気を醸し出すには、管理者が成し遂げようとする主な目標を、はっきりと理解するような、仕事の役割分担を決めた組織をつくることです。また、満足すべき作業とは、どういうものかを明らかに示す職務別作業基準を設けなければなりません。
- 7. 会社の目標を達成するには、どんな支援機能(支持協力)が
- 必要かでしょうか。この支援(支持協力)機能からはどんな良い結果を得る必要があるでしょうか。希望する成果を成し遂げるためには、時間と注意を集中する必要があります。この支持機能の有用と無用の境界にある、臨界活動領域とは何でしょうか、この支援機能領域には、目標達成するためどんな職務がなくてはならないのか等。この支援職務をどうすれば最良の成果が得られるように、組織をつくることが出来るでしょうか。
- 8. 最良の状態の「業績中心」主義の権限委譲はどうすれば?
- 部下への職務委譲は、何をどうするか、を伝えるという形で行われるのが一般的です。しかし、これは容易に「業務中心」の状況を生みだしております。部下を「業務中心」でなく「業績中心」にしなければならない場合には、見込まれる良い結果に「波長合わせ」と称する目的統一のための、目標達成に不可欠なアイデアや意志決定に参加させる必要があります。
- 9. 部下を基本成果の領域、及び臨界活動領域内の目標から、離れないように
- する効果的な管理情報システムを、どのようにすれば、組織に組み入れることができるでしょうか。
この問題に正しく答えられないと、慎重に立てた計画が全て不発に終わる可能性が強くなります。良い結果を出すための計画を、立てることは、一つの仕事です。しかも、良い結果を管理することとは、全く別の仕事になります。優れた組織構造づくりを計画するには、確実な目標をねらい、良い結果を左右する人達の役に立つ、もともとなければならない管理情報システムが含まれるものです。
- 10. 類似した活動、あるいは、密接な関係がある活動を
- 同じ管理下におくには、どんな活動を、どのくらいの単位に、組み分けしたらよいでしょうか。これは、実際に行う活動の一つ一つについて、必要な義務を明確にすることになります。
さらにその上に、スタッフが目的とする良い結果を得られるように、会社の資源――人的資源、財源――を割り当てることになります。
- 11. 職務を実行する最適任者は誰かという問題です。
- 最適とは、人に職務を合わせるのでなく、職務に人を合わせることです。在職者に適任者がいない場合、できることであれば在職者の訓練と、能力開発を、行うようにします。これが出来ない場合は、在職者の代わりに、良い結果が上げられる別の者と交替させます。職場の仕事を遂行することになった者には、必要な権限を委譲します。そして、彼が何を期待され、どのような評価されるかを、各メンバーに理解されるようにします。
チームワークと、統一された協力体制を職場に築くためには、適切な人間関係、相互関係を築き、良好な関係を維持していくことになります。これらの関係は、日常的に調整が必要になります。しかも、各管理者が目標を具体的な計画に変換し、それを実施するにあたっては、関係維持に柔軟性を持たせなければなりません。 この項終わり
PS 《U》さん お申し越しの件了解しました。組織論は専門でなく、
ただ今勉強中のものですが、手の空いているときならば何時でも協力いた
します。
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