「やる気の破綻はどうして起こるのか」
ファイリングのような合理的な情報整理は、情報にたいする評価と、ハンドリングにたいする教育・しつけがなければ、情報機能を備えたシステムは成立しません。
プロ選手のメンタルトレーニングを行っているあるトレーナーは、次のようなことをいってます。
選手がどのくらい自分自身を把握しているかを知るために、最初に「最近、どう」と、なにを聞きたいのか、あいまいな質問をするそうです。
たとえば、サッカーのある日本代表クラスの選手であれば、返事として「ワールドカップに出ているためには、まだ基礎体力が低いと思います。いまはウェイト中心にトレーニングしています」という答えです。
同じ質問をレギュラーになるかならないくらいの選手にすると、「ミスが多くて最近うまくいかないので、モチベーションが落ちているんです。ミスをしないようにしなければ…………」
そして、Jリーグに入団したばかりの若手に同じ質問をすると、彼らは、「普通です。まあまあです」という答えるそうです。
つまり、あいまいな質問に対して、レベルの高い選手は、将来のビジョンをからみた現在の課題を答えるのに対し、中堅選手は、「いまの状態」を主に話し、若手は、ビジョンもいまの状態も認識していないのかもしれません。
ビジョンと現在の間にあるギャップ=問題意識が低いのです。これは、技量の成熟度にたいしメンタルの成熟が比例関係にあることを示ししています。
現在のビジネスマンは、ルーチングワークにも慣れユースフル思考(実用的な考え)
も身についています。
しかし、組織や職場の規約などに不安定要素がある場合、日本社会の国民性がシステムの機能に影響します。
農耕社会の年長者・経験者の意見が重視され、ビジブル情報は、軽視あるいは無視されます。顔をそろえても相談しなければものごとを決められない体質が存在しています。ですから、例え共同合議をフォーマルな組織で行っても、インフォーマルな組織の合意がなければ、合議内容は、無視されます。
オフィスにおける乱脈保管、文書の私物化、書庫の管理不徹底、組織のデータベースとなる資料の未整備などにつながります。
また、ファイリングシステムが破綻する要素として、雇用形態の影響による個人的要素があります。
組織内においては、長い年月にわたって特定の個人に情報が集中しますと、その蓄積情報は、収集する個人と組織の間で分離することは出来なくなります。例を上げると、組織内には、百科辞典的に組織の全てに通じる方があります。
「情報は、情報のあるところに集まる」原則の通り、能力提供が継続すれば最良でしょう。しかし、雇用契約が解除されると一夕にして情報の管理が崩れる危険があります。
参考文献 メンタルトレーニング・木村他著、ファイリングがわかる辞典・野口著
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