「他人の言葉には同情と理解をもって耳を傾けることが、多分、他の人々とうまく折り合い、彼らの友情を末永くかちとる最も有効な方法だと思われます。良き聞き手になるという”天命の理”を使える人は、殆どいないようですね」
政界に選出されて入るには、どうすれば良いかとの問いに、あるすぐれた人物の言葉です。
ある意味において、私たちは誰もが毎日〝立候補″に日を送っているようなものです。私たちが出会い、話し合う人々は、絶えず私たちをためつすがめつ、値踏み し評価し、心中賛成か反対の“投票”をするのです。信任投票か、不信任投票です。そして、私達との取引きをしようかすまいかを決定しているのです。 こちらが気付いていなくても、「どれだけこの人物が話しを聞いてくれたか」が、相手の心中で決定要因になっているのです。
人に会って別れた後、自分の思い通りには、ことが運ばなかったと感じられることがよくあることです。相手が自分に反対投票したのではないかという疑惑に駆られます。
「彼に嫌われるような、どんなことを私は言ったのだろう?」 「彼をもっと友好的にならせ、私の考えに同調して貰えるようにするには、あれより他にどんな言いようがあったのだろうか?」「何もなかった」という答が出る場合が大半を占めることは、一驚に価しようが事実はそうなのです。
失敗の原因は、何かを言ったから、あるいは言いそびれたからなのではなく、それは、彼の言うことをちゃんと聞かなかったからなのです
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