・ほうれん草の雄花は哀しい・

収穫しそびれたほうれん草に薹(とう)が立った。どんな花が咲くのかと好奇心
半分、うまくいったら種が採れるかも知れないと実益半分で残しておくことに。
そのうち申し訳程度の薄黄色の花が咲いた。農業を営んでいた伯母によれば「ほ
うれん草には雄花と雌花があって、雌花が種をつける」ということなので、よー
く観察してみることに。角のとがった種らしき物がいくつもついている株を発見!
(これが雌花か)と思いつつ、それでは雄花は?と見れば枯れそうな茎を風に揺
らしながら、ハラハラと花を散らしている最中ではありませんか…。少し離れた
所から眺めると濃い緑色を残したものと、黄色く枯れかけているものが半々に混
ざりあっていて風情があるものの、生き生きしているのはみ〜んな雌花、枯れか
けているのはどれも雄花とわかって愕然となった。
なんだか哀しいので(これからはほうれん草は若いうちにモリモリ食べるさても
らうからね!)と雄花のほうれん草に誓ったのだった。(1998.5.10)

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