・近所に大型食料品店ができた・
秋も深まり、畑で冬野菜がグングン育ち始めた11月上旬のこと、我が家の目と
鼻の先に大型の食料品店が開店した。しかも、夜の九時までオープンしているの
で仕事で都内に出かけることの多い私には嬉しい限りなのだが、ここまで大きく
なくてもいいんだけどなぁ、というのが私の一番言いたいことなのである。ああ
オープン記念セールということで安いのか、それとも今後も安さで売っていくつ
もりなのかは分からないが、とにかく三郷によくぞこれほど人がいたもんだ、と
言うぐらい次から次へと人が集まってくる。すぐ隣のホームセンターに来る客の
車と食料品店の客の車で狭い道は危険このうえない状態になった。牛糞堆肥を積
んでフラフラとうかつに自転車をこいでいようものなら、車を運転している人か
ら邪魔者扱いされるのだから悲しい。オープンした翌日の夕方にパンと卵を買い
に出かけた私は、店に一歩踏み込んだ途端に客の多さに嫌気がさして、つかんだ
買い物用のカゴを元に戻して退却してきた。客のほとんどは品物の多さや安さに
目を見張りちょっとした興奮状態にあるようにも見えた。テンポが合わないのか
私の体はガンガン他の客とぶつかる。私がぶつかって行っているのか、ぶつかっ
て来られているのか?気を付けているんだけど、どうもうまく店内を歩けなかっ
た。ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
そして見るともなく見れば、ほとんどの客のカートのカゴは山になっている。み
なさん、今まで何を食べていたの?いくら安いからってそんなに買ってどうする
の?と私は聞いてみたい衝動に駆られた。正月でもないのにエビや大トロをカゴ
に投げ込み、ミカンを箱で買い、ついでにパイナップルを2個積んで、ホテルブ
レッドが焼き上がれば列をなす。なんでこんなことを知っているかと言えば、実
はサッサと退却した翌日「よし、リベンジだ」と店が空いているだろう時刻を見
計らって夜の8時に出かけてみたのだが、相変わらずのにぎわいに遭遇したから
である。本当に充実した商品のラインナップ。だけど、青果にしろ鮮魚にしろよ
くよく見ればほとんどが輸入品じゃないか。ジャンジャン買い込んで残したら罰
が当たるよ、と私は心の中でつぶやいた。「買ったら責任をもって残さず食べな
くてはね、頼んだよ〜」と店を去る人々の背中を見送った。私はいったい食料品
店で何をやっているんだろう・・・。あああああああああああああああああああ
一時期、「清貧」という言葉が流行った。私はこれを「清く貧しく」ではなく、
「美しい生き方」と解釈した。美しい生き方とは何だろうかと考えたとき、母が
躾てくれた「物を大切にすること」ではないかと思う。子供の頃我が家には有り
余るほどのお金はなかったから、ブラウスは季節毎に2〜3枚用意されていて、
それを着回ししていた。友達に「いつも同じ物を着ているけど、それが気に入っ
ているの?」と聞かれたが「これしか持ってないの」と答えた。へっちゃらでは
なかったが本当のことだから仕方ない。それでも新しい服をねだることはなかっ
た。しかし出かけるときの服はちゃんと用意されていて、何を思ったのか母は終
業式の日に「お出かけ用の服」を揃えて送り出してくれた。いつもと違う服は改
まっていて妙に恥ずかしかったが、これは礼節を教えてもらった最初の一歩だっ
たのだなぁ、と今頃になって思い当たる。一学期間お世話になった先生や友達に
対して「ありがとう」の気持ちを、改まった服装で形にするということなのでは
ないかと私なりに解釈してみた。あああああああああああああああああああああ
大型食料品店の開店レポートから妙な話になったが、衣食住に関してはニッポン
の心である「ハレ」の文化は失いたくないなぁとしみじみ思う秋の夜長である。
(1999.11.14)ああああああああああああああああああああああああああああ
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