・大変な一日・
ちょっと前の話で恐縮だが、その日私が近江八幡駅から車で30分の某所で取材を終
えたのが午後3時頃。東海道線で米原に戻り、同行のカメラマンと二人分の新幹線のチ
ケットを1時間以上も早いものに変更した。新幹線は25分程遅れていると言われたが
「25分遅れても、当初の予定より早く東京に到着するわけだから、問題なし」と呑気
に構えていた。ところが、我々が乗車する予定のひかり164号はそれから出発時間の
16時19分を1時間過ぎてもホームに入ってくる様子がない。そればかりか、こだま
が先に2台も乗客を乗せてホームを出ていってしまった。あああああああああああああ
どれぐらい待ったであろうか、やっとひかり164号がホームに入ってきた。しかし
残念ながら乗車後も発車する気配はまったくなし。車内アナウンスで「名古屋で集中豪
雨」を知り、次いで「この新幹線は名古屋までは行きます」と言うので、とりあえず食
事をとりながら待つことにした。1センチも進まぬ新幹線の中で弁当とビールで夕飯を
済ませ軽く睡眠をとったが目が覚めても新幹線は1ミリも動いてはいなかった。夜8時
過ぎにやっと動いたが何と隣の岐阜羽島駅でストップ。仕方無しにホームから見えるビ
ジネスホテルの名前を手帳に書き連ね104で電話番号を調べようとした。ところが電
話が混み合っていてつながらない。私と同じ様な事をしている乗客が沢山いたのだ。見
渡せば、携帯電話を持ったビジネスマンがホームにうろうろしているではないか。携帯
のバッテリー残量も乏しくなって来たので、自宅に電話を入れて夫にホテル名を告げ、
電話番号を調べてもらったのだが、結局どこのホテルも予約で満室だった。とうとう私
は生まれて初めて“新幹線に1泊”の体験をすることとなった。ああああああああああ
夜の12時をまわっても、約1時間おきに名古屋の雨量と「発車の見込みはつきませ
ん」と言うだけの騒々しいアナウンスが入り、毛布一つ配られることのない車内でうつ
らうつらと眠るだけの状態となった。車内販売はアッという間に売り切れ、自動販売機
は売り切れランプが点灯していた。朝4時に再び車内放送で我々が乗車している新幹線
に駅間で立ち往生をしていた新幹線を横付けし、板を渡してホームに出られるようにす
るとの車内アナウンスが入った。しかも、その新幹線を新大阪方面に走らせることとな
り、東京方面に向かう乗客空いた席を求めて通路を行き交うようになった。間もなく座
席は人で埋まっていった。あああああああああああああああああああああああああああ
5時過ぎに私はコンビニを探そうといったん改札を抜けて外に出てみた。しかし…。
岐阜羽島駅にはほとんど何もなし。ビジネスホテルとレンタカー屋が数件あるだけであ
る。こっちは日帰り出張なので洗面用具も何も持ち合わせがない。段々、気持ちが焦っ
てきた。再び新幹線に戻ると、なんと照明が消えていた。変電所が雨水にやられて停電
してしまったのだ。薄暗くエアコンの止まった車内は息苦しく、車内アナウンスで新幹
線は川の水が引くまでは発車できないことを説明していた。そこで、カメラマンを誘っ
てビジネスホテルでバイキング形式の朝食をとった。何せ、朝早くから販売を始めたお
弁当屋さんの前には長蛇の列だったし、何か温かいものが食べたかった。それにしても
キヨスクでさえ並ばなければ新聞一部を買うこともできない。暇つぶしに私も並んでみ
たがスポーツ新聞と釣りの新聞以外は売り切れの状態だった。あああああああああああ
朝食をとりひと心地ついてやっと私の頭が回り始めた。このままもう一泊したいか?
「否、一泊」(これではFFの風神だ……)と答えが返ってきた。それではと、万が一
のことを考えてビジネスホテルに予約をとった。しかし、カメラマンのことを思うと気
楽に宿泊している場合ではなかった。彼はその日も仕事が入っていたし、その翌日も3
件の撮影予定が入っていた。当日の仕事はタイミング良く友達のカメラマンに代わって
もらうことが出来たのだが、翌日分は厳しそうだ。ああああああああああああああああ
そこで、私はカメラマンが運転する気力さえあれば車で帰ろうと提案し、さっそくレ
ンタカー屋へ。しかし!目の前で書類を整えたお兄さん(Tさんと呼ばせていただく)
が最後の一台をゲットしたばかりであった。(う〜ん、ついてない!)と思ったその時
Tさんが「何処までですか?よろしかったらご一緒しませんか」と声を掛けてくれたで
はないか。彼は浜松まで行くという。私たちはもちろん便乗させてもらい、その先は何
らかの交通手段を探すことにした。あああああああああああああああああああああああ
11時前に岐阜羽島を脱出!(さらば、岐阜羽島駅。君の事は一生忘れないかも知れ
ないけど、もう二度と下車しないであろう……。いや、したくない!)名古屋を北側に
迂回する進路を取りながら車は進んだ。国道155号線を走るうちに頭上の東名高速に
車の動きを発見!春日井から高速に乗って浜松南(だったかな?)で降りた。高速に乗
る前に名古屋名物味噌煮込みうどんを食べた。実は私、味噌煮込みうどんが大好きなの
である!!!満腹になってカメラマンは眠ってしまったが、私は運転してくれているT
さんとの会話が楽しかった。前夜はほとんど眠っていないので妙にテンションが高かっ
たかも知れない。あああああああああああああああああああああああああああああああ
しかし、彼は私よりも5歳ほど若いからなのか、本当にタフだなぁと感じた。また、
行動力もあって素晴らしい人なのであった。まず、最初に驚いたのは携帯電話の携帯用
バッテリーをしっかりコンビニで購入していたこと(私はそんなモノがこの世にあるこ
とすら知らなかった……)。私は駅前を見渡して諦めたが、彼はタクシーに乗って最寄
りのコンビニまで行っていたのだ。そして、レンタカー屋の開店時間まで喫茶店で時間
を潰して見事レンタカーを入手したのだ。その後、彼のホームページの掲示板を訪ねて
知ったのだが、彼がレンタカー屋で書類を書いているときに、私たちの前にサラリーマ
ン風の方が車を求めて来たことが記載されていた。彼はその方に声を掛けなかったのが
心残りで、我々には声を掛けてくれたと言うことであった。何が幸いするかわからない
ものである……。あああああああああああああああああああああああああああああああ
浜松駅で夕方4時に別れたが、幸い東京発、浜松駅折り返しのこだまが間もなく到着
して夜8時前には無事三郷の我が家に帰宅出来たのであった。めでたし、めでたし。あ
(2000.10.7)あああああああああああああああああああああああああああああああああBACK ああNEXT
生活雑記TOPああHOME