・迷い猫?捨て猫?・
猫を拾いました。と言いますか、我が家のドアの前に停めた自転車のサドルに乗って
彼女は私を待っていたようです。そう彼女は毛繕いの真っ最中でした。夕方暗くなる
まで農作業をして帰宅した私の顔を見上げてたった一言「にゃ〜」(「お帰り〜」な
のか、「こんばんは〜」なのか、はたまた「はじめまして」なのか、今でも理解でき
ませんが・・・)と鳴いたのです。よく見れば彼女は非常にばばっちくて、耳はかさ
ぶただらけで穴はヘドロ状の真っ黒なものでいっぱいで、そして足4本・首まわり・
顔・しっぽは毛が抜け落ちてなんとも無惨な姿でした。しかしマンションの4階にど
うやって来たのか?たくさんの疑問と猫を抱えてひとまず動物病院へ。ああああああ
以前ハムスターでお世話になった動物病院の先生そして助手の皆さんは温かく彼女を
迎えてくれました。治療をしながら先生が「飼えるんですか?」と聞きました。私は
「・・・・」応えに詰まりました。マンションはペット禁止です。しかし!!!マン
ションの建物の中を闊歩している猫を未だかつて見たことがないし、ましてやこんな
仔猫が自力で4階まで上ってきて、しかも自転車のサドルで毛繕いしているなんてあ
り得ない。そうだ!きっと何処かのガキンチョが拾ってきた猫を「飼えません!!」
と鬼のような形相で母親がまくしたてて、そのあげくドアからポイッと捨てたに違い
ない!!私は沸き上がる妄想で頭がグルグルになっていきました。何という恥知らず
情け知らず!!非常識きわまる行為だ!!!だんだん怒りがこみ上げて、ついに「飼
います!私、誰が何と言おうともマンションで猫を飼います!」と宣言してしまった
のであります。あああああああああああああああああああああああああああああああ
ゴロゴロ喉をならして人間に愛嬌を振りまく彼女を再び捨てることなど私には出来ま
せん。例え規則違反を注意されるような事態となっても、私はこの子を育てよう!と
固く決意しました。先生は「1ヶ月もすれば見違えるほどきれいになりますよ〜。あ
〜ら、なんて人なつこい猫でしょう。おとなしいし、これは当たりですね!」なんて
話していたけど、その言葉の中で当たったのは1ヶ月できれいになったことだけであ
ります。なんだか、上手くのせられた気がしないでもない・・・。まぁ、いいか。さ
て仔猫の名前ですが美猫となることを願って「ヒメ」と名付けました。ああああああ
彼女は毎週耳掃除に病院に通い、ワクチンを打ち、下痢が止まらないために鶏のささ
みを主食とし、家族全員に「ヒメ!(あんた、何やっているの!)ヒメ!!(あっ!
冷蔵庫のしたに耳掻きが!!)ヒメ!!!(お父さんの鮭を食べたらダメでしょ!!
!)ヒメ!!!!(下痢ピーの足でその辺を歩かないで!!!!)」と愛され、とん
でもないやんちゃぶりを発揮。私は夜中の襲撃と早朝のご飯ねだりのお陰で、彼女と
同居が始まった8月9日以降の寝不足で、ついに目の下に隈ができてしまいました。
あああああああああああああああああああああああああああああああ(2001.10.4)

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