歯科矯正あるある

 ウチで初診相談した時によく聞く話のまとめです。


 その2: 「マウスピース矯正で治療できると聞きましたが。」

 芸能人とかが「マウスピース矯正で治った」とか、言ってたりしますが、彼らはお金をもらえばCMで何でも宣伝しますからね。100%信じられることでしょうか?

(理由1) 歯科矯正治療で確実に歯を動かすためにはブラケットとワイヤーを使うのが一番の方法です。1900年初頭にアメリカのアングル先生が考案した装置がそれです。簡単に言えば、歯に金具を付けて,そこにワイヤー*針金)を通して、針金の力を使って歯を動かしてゆきます。針金がレールになります。マウスピース矯正ではこのレールがありませんので、治療の確実性がありません。

(理由2) またマスピース矯正は装置の取り外しが可能です。普通歯を動かす時に力をかけると痛みがでます。人間、痛かったら装置を外します。しかし、装置を外していると治りません。一度治ったとしても,装置を使わないと戻ります。ブラケットは歯に直接くっつけますので、取り外しができません。

 

(理由3) 歯は骨(上顎骨と下顎骨)に植わっているわけですが、もし上下の顎骨の位置関係がズレていたら、マウスピース矯正でキレに並んでも、かみ合わすことではできません。

→こういった例を非常によく聞きます。

 

(理由4) また、叢生の場合、非抜歯で歯をならべると、歯は外側に膨れます。(フレアアウトする、と専門用語では言います。)出っ歯であれば,より出っぱな状態になり、反対咬合ならより反対の状態になります。つまり、症状がひどくなります。

→コレもよく聞く例です。

(理由5) たとえ、首尾良く(見た目だけ)治ったとしても、装置を使わなくなればすぐに戻ります。マウスピース治療での歯の移動は傾斜移動と言って、歯の頭だけが動く治療です。歯の重心(歯根3分の1ぐらいにある。)は動きません。つまり、斜めに傾いただけの状態ですので、元の安定した状態まで戻るのです。

 ブラケットを使った歯科矯正治療では歯の重心から動かします。歯体移動といって歯の植わっている骨の中の状態まで変えて後戻りしないように治療します。

(理由6) 責任問題はどうなっているのか、ご確認を。「治らない場合、装置を使わなかったからでしょ?」と,言われてお終いなのかな?


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