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症例23=マウスピース矯正???

 芸能人が、「簡単に治る。」なんて言ってますが、彼らはお金をもらえばCMで何でも良いように言う無責任な人たちです。信じるほうがおかしい。(最近正直不動産、見てます。)=(爆)

 東京の銀座でマウスピース矯正を使った詐欺事件があり、問題になっておりますが、都合の良いことだけを言って、お金儲けをする人たちは居るのです。(正直不動産を見ましょう。)

 さて、そんなときに、この患者さんがいらっしゃいました。

 頭のレントゲン写真(セファログラム)のトレース図をお見せしますね。

セファロ

 ANB(頭蓋に対する上顎骨と下顎骨のズレを示す)が+6.0°、U1-FH(頭蓋に対する上顎前歯の角度)=94.0°

 ちなみに、ANBが+5°を超えると上顎前突(出っ歯)、U1-FHの平均値は120°です。

 上記の数字が意味するところは、上顎の前歯が後ろに倒され、下顎骨が後退したことを意味します。お口の中を見てみると、以下のようでした。

口腔内左側

 上顎前歯が後ろに倒れすぎているだけでなく、挺出(通常よりも伸び出した形)なので、臼歯部が噛んでいません。下顎前歯も後ろに倒されています。

※ブラケットを使った矯正治療であれば上の写真でひかれた直線は歯の切端と一致するように治します。上顎前歯は圧下(押し込む方向)に動かせるからです。マウスピース矯正では、圧下はできません。マウスピース矯正では傾斜移動しかできないので、前歯が歯根を回転中心として、パタンとドアを閉めるように動きますので、上の写真のような伸び出した状態になります。図でご説明します。

回転の効果

 回転中心(図の黒丸)を回転軸としてaの距離だけ歯が伸び出します。

 高校の数学で習う三角関数を使えば、回転中心から歯の先端までの距離を「1」とした場合、 a=1-cosθ であらわせますね。

 一番の問題点としては、舌房(舌の入るスペース)が狭くなっているため、嚥下(ゴックン)も苦しく、体調も悪いと訴えております。

 治療内容をお聞きしたっところ、全部の歯の両側をタービンで削って、マウスピース矯正をしたそうな。歯を削った総量は7㎜と、担当医が言ってたそうな。歯の両サイドを探針で触ってみるとザラザラ。タービンで削って、何の後処置もしていない。このため、小さなむし歯がたくさんできてました。

むし歯

 で、治療終了後、「戻りたくなかったら、ずっとマウスピースを入れ続けること!」と、担当医に言われたそうな。

 それって、現在の体調不良を一生引きずれ、と患者さんには聞こえたみたいなもんですよ。で、ウチに相談にいらした。

 治療費をお聞きすると50万円!

 かめなくなって、体調不良になって、むし歯を作って、50万円!

 そこで患者さんからの情報を元に、歯を復元してみました。=削られた部分を青いワックスで戻しました。そして、配列して、セットアップモデル(予想模型)を作成しました。

セットアップ1

セットアップ2

 上顎前歯は7㎜ぐらい前方に移動させなくてはなりません。そうすると下顎は前方に移動してくるので、舌は楽になると思います。下顎の歯列も同様の方法でマウスピース矯正されてかなり小さくなってます。

 最後に、日本矯正歯科学会の声明文のURLを張っておきます。確認する

 また、治療指針(歯科医師向け)は、こちら。確認する

※「ろくに診査診断もせず、患者さんの歯型をとって中国に送り、送られてきたマウスピースを患者さんに使えと言うだけで、50万円貰えると思っている歯科医がいるんですよ。」と、矯正学会は書けないよなあ。あと、「医療用」と荷札に書くと税関を通らないので、「雑貨」と書いて通関させるそうです。制度上、医療に使っても良いのか???

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しゅそ