治療の流れ (診断って、何?)
転医されてきた患者さんのお話を聞くと、「なぜ、その装置を選択したのか?」、「現在の状態をちゃんと説明したのか?」など、ちゃんと返答できない方が多くて、首をかしげるなことが多いです。
検査をして、それを分析し、治しかたを考え、治した後の安定性まで考えます。それが、「診断」です。旅行に出かける時には、旅行の計画を立てますよね。目的地を決め、移動手段(バス、自動車、電車、飛行機、船?)を決め、宿泊場所を決め、その土地の美味しそうな物を探して、予約します。移動手段、宿泊費、食費の総額で費用は決まります。
歯科矯正治療に限らず医療は、治療のゴール(目的地)をまず決めて、どういう手順でそこに進むかを考えます。治療方針(手順)によって、費用は変わります。最上級ランクのホテルに泊まるとか、治療のレベルを上げると、それに伴って費用が増加します。
思いつきでやっているわけではありません。「ボーーッと生きている。」わけでもありません。
では、診断とは、具体的にどんなことをするのでしょうか?
1)現在の状態を把握すること。
不正咬合の成り立ち、原因がなんなのか、まずそれを知ることをが大事です。
西洋医学では、原因を理解して、それに対処すれば、治すのが普通というか、常識です。
あと、年齢、性別も考慮に入れます。成長期であれば、成長を利用することができます。また、成長が治療を邪魔することがあります。成長のタイミングもあります。思春期成長といって、ひと月に1センチメートルも身長が伸びる時期があります。この時期に反対咬合の治療を始めたら絶対に治りません。(この場合は手のントゲン写真を追加撮影して、調べます。)
大人では、成長がありませんので、歯を抜いて治すことが多くなります。=歯の位置のズレを歯を移動することで代償的に治す方法です。上下の顎の位置関係のズレが大きければ外科的に治療することもあります。
2)自分の治療経験を参考にする。
何年も歯科矯正治療をやっておりますと、うまくいった症例、うまくいかなかった症例が頭の引き出しの中にたまってきます。我々は、定期的に口腔内写真やレントゲン写真(セファロ写真やパノラマ写真)を撮影し、カルテの記載とともに考えておりますので、かなりの情報量をため込んでおります。
この多くの情報の中から、最善の治療方法を見つけるべく、頭を働かせます。
3)文献をあたる、参考にする
よりよい治療法を見つけるために、自分の経験だけでなく、他人の経験も参考にします。学術雑誌に載っている症例を注意深く読んで、参考にするかどうか決めます。論文は多くの場合、良いことしか書いていないので、反対論文も含めて数編の論文を読むのが普通です。
最近では、WEB上で情報を得ることが容易になってますが、ひとつの情報だけで、それを鵜呑みにするのではなく、否定する論文も読む必要があります。
最終的な判断は、自分で下します。医学的知識、経験などいろんな方向から検討します。そのために大学では基礎医学の講義があるわけです。
4)1枚の紙にまとめる
現在の状態、治療方法、それに要する費用、予想治療期間等を1枚の紙にまとめます。
自分お考えをまとめる時間でもあります。それを提示して、患者さんにプレゼンするための資料作りでもあります。
5)患者さんの顔も思い浮かべる
患者さんのやる気(治療意欲)というのも、大切な面です。年齢が若いほど、治療による利益なんて考えられず、治療装置への恐怖、嫌悪感のほうが先なのは当然のことだと思います。
親御さんにおいても、「こんな装置はかわいそうだ。」というのはよくあります。
治すことの利益の大きさが理解できるか? そこが重要ですね。
6)意思確認
診断は、上記全部の内容プラス、この「意思確認」です。治療を受けます、ハイ、ウン、、YESという意思表示がなくては治療を開始することはできません。必要不可欠です。
歯科矯正治療に限らず、レントゲン写真1枚撮影するにも、採血ひとつするにも、患者さんの同意が必要です。
嫌なら、走って逃げてかまいません。それも、患者さんの自由です。
でも、治療内容を理解して、治療を開始したら、最後まで走り抜けて欲しいですね。ZARDの歌ではないですが。
まとめ
一時期「インフォームド・コンセント」という言葉が流行りました。現在では定着しておりますが。
上記のように患者さんに対して情報を整理整頓してお伝えし、意思確認をするのが基本であると考えております。大学卒業してから、30年以上、続けていることですから、当たり前のことだと思ってます。