Page-Galwaliear-ユウロスの憂鬱 第五話

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ユウロスの憂鬱
第五話 《リディアの技?》

「あのユウロスが負傷するとは・・・」一体何があったのだろうか・・・
 リディアはマイシップである300m級貨物船のブリッジでコース設定を終え 既にユウロスのいる惑星βの大気圏突入への軌道上にいた
「後方より小型艇接近 ホワイトバードMark2です」
 UAI01の端末SCSの言葉の後その姿が立体映像のメインパネルに現れた
「Mark2? 行き先は何処か?」
「ユウロスのいるらしき座標です」
「そうか・・・ 」
「ホワイトバードMark2が右舷を横切ります」
 始めは少し前からのアングルになっていたホワイトバードMark2が回転しいつの間にか後ろからのアングルになっていった
「映像はもういい」
 ブリッジからホワイトバードMark2の後ろ姿がぼやけ消えた

 さてユウロスはというと・・・
「薬が効いている間は大丈夫ですが 即効性の薬ですので効き目が切れるのが早いですよ」
 シアネスは立ち上がったユウロスに言い聞かせる
「しかし 早いところ上に行かねば・・・」
 立ち上がったユウロスは真っすぐ上に加速して行く が
「ああ やっぱり・・・」
 ユウロスはあのリンゴの様に落ちて来た
 落ちて来たユウロスを受け止めるシアネス
 絶句の状態で「痛い」と言えないユウロス
「だから言ったでしょ」
「・・・・・」面目次第もない・・・
「しかし 貴方みたいな人でも精神集中を妨げられるんですね」全く ぬり薬 ぬり薬
「・・・・・」なんか今一つ 力があがらないんだよなぁー
「おや ホワイトバードMark2じゃないですか」ぬりぬりと
「とりあえずは リディアがくるのを待たないと・・・」あー 効く効く
「そうですか・・・」はぁーーー
「手が止まってるよ」ううっ 痛みがぁ
「はい ・・・」 ・・・ ぬりぬりと

 ここはヘル・テーブル最高峰にそびえるウスチィリムスク城の姿が良く見える アラリスクの町の外れにある 魔王の農園 主に紅茶を栽培生産しているがまだ実用化には至っていないらしい その 農園の近くの紅茶の精製所らしき建物の中
「もう少し発酵してみてくれないかな?」
「もう少しですか」
「ああ ユウロスがそう言ったのでな」
「分かりました」
「頼むよ」魔王はこの建物を出た
 魔王はこのヘル・テーブルのある 神々の大地と呼ばれたテーブルマウンテンが乱立するこの地方の領主であり 今はこの高地の気候を利用して 紅茶の生産に力を入れている かつての強大な軍事力も既に無く 平和な毎日を送る一方で民衆にも信頼のあつい人物だったりもする・・・ 容姿は人間に近いが結構威圧感と恐怖感が伝わってくる
「魔王様」
 執事のヴィルセスが魔王の姿を見つけ出しそばに駆け寄り
「ユウロス様が 怪我をなされました」
「ふむ 心配には及ばん 彼奴は大丈夫だろう」
「はぁ・・・」
「それより 先月の結果報告書がまだなのだが・・・」
「書斎に置いてありませんでしたか?」
「うー ぬかったわぁーー」書斎に寄るのを忘れた・・・

 さて それからしばらくした ユウロスは
「ああーー」かなり楽になった
「そうですか」ぬりぬりと
 辺りが突然暗くなった
「おや?」ぬるのは止めないでね
「リディアの到着ですね」はいはい
 リディアの300m級貨物船は樹海のすぐ上空に停止した しばらくして そのハッチが開きリディアがその大きなローズピンクの翼を広げて舞い降りて来た 両手で黒いカバンを持っている
 ユウロスの倒れている近くに降り立つと翼を降りたたみ日よけのシートの中に入って来た
 ユウロスはリディアに苦笑いを浮かべる
「痛む? ユウロス」
「声に出ないほど・・・」
「どれ・・・」
 リディアは手でシアネスがぬり薬を塗っているユウロスの腰椎の辺りを触診する
「ほぉー ・・・ ふむ・・・ ユウロス早く治したい?」
「まあ そうなるなぁー」
「じゃあ じっとしてて」
 リディアは黒いカバンから木づちを取り出し振り上げる
 シアネスが極度の驚きのリアクションをした直後
 ユウロスの悲鳴と リディアの技と シアネスのリアクションがその場所を支配する・・・

「なにか聞こえなかったか?」
 魔王は先月の結果報告書に書斎にて目を通していた
「さぁ 私にはなんとも・・・」
 執事は答えた
「そうか」

 まだ痛む腰を押さえながらユウロスは飛び上がるリディアに手を振る
 大きなローズピンクの翼を広げて上昇気流に乗るようにリディアは貨物船の中に消えた
「さて ・・・ 行くかな」
 ユウロスは静かに体を宙に浮かせホワイトバードMark2のタラップの下に止まりかけると ユウロスの頭上のタラップが開きはじめ・・・
 ゴンッ
「ぐえっ」
 落ちるユウロス
 受け止めるシアネス
「大丈夫ですか?」
「なんとか・・・」たんこぶがぁーーー

 ユーリティアがサードキャッスルのテラスで絶望の彼方に飛んでいると
「ユーリティア 入っておいでそこは寒いよ」
 暖炉に火を入れたユウロスはテラスのユーリティアに声をかけた
「博士 無事だったのですか」
 少し涙ぐんだ目でユウロスの顔を見つめるユーリティア
 赤面して てれるユウロス
 ユーリティアはユウロスに抱き着いた・・・
 ふと 腰の痛みと共に亡き妻の事を思い出してしまうユウロスであった


     第五話 《リディアの技?》
 

 解説
リディアの攻撃により腰椎の負傷は完治するが今度は打撲してまだ痛いらしい

 余談
ところで・・・ ヴィルセスがユウロスの無事をユーリティアに伝えに言ったのでわ?

 謎のキャラクター名鑑 押し潰し編
 しまぷう (1975〜)
幼い頃に今の性格を成す 苛めなどりより鍛え上げられた精神は一見何者をもってしても挫く事はできない様だが 実際は外観を見事に裏切るごとくセンチメンタルである ただし 友人に対しては《親しき中にも礼儀あり》がモットーらしいがかなり・・・
ケンカには弱いが怒らさないようにすること怖いですよ
最近 大学に合格して少々浮かれ気味である

 おまけ
 本日のハイライトのスロー
《リディアが木づちをユウロスの腰椎に向かって振り下ろす シアネスが驚きのリアクションの動作に入る 勢いよく振り下ろされた木づちがユウロスの腰椎の辺りに突き刺さるように当たる それが再び振り上げられようとしたとき ユウロスは声帯が割れんばかりの叫び声をあげる・・・》


続き(第六話へ)

Ende