過去の雑記 00年 3月

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3月11日
濱田さんから、さらにThe Literary Review 1960/Autumnおよび1961/Autumnの目次+"The Ugly Sea"のコピーが届いた。「みにくい海」は1961年で決着である。いやもう本当にまったくどうにもありがとうございました。

体調は回復せず。症状だけからすると、とある自分がそれにかかったとは信じたくない病気のようなのだが、熱があるような気がする点が解せない。なんなんだ。

細井日記によるとスラデックが死んだらしい。あの「教育用書籍の渡りに関する報告書」「不安検出書(B式)」などさまざまな傑作を書いた作家が。もったいないことだ。
しかし、こうなれば仕方が無い。SFマガジンに追悼特集が組まれるのを期待して待つことにしよう。ページ数は、ざっと80ページ。責任編集は大森望か、柳下毅一郎か。短篇4、5本の再録に、過去のインタビュー記事あるいは評論記事の翻訳一本。全著作リストに、追悼文が5本ほどつくというあたりか。当然、『遊星よりの昆虫軍X』の重版や、『スラデック言語遊戯短編集』の全面改訳による再刊もなされるはず。やあ、楽しみだなあ。

3月12日
SF(中略)漫画家生年表に細井さん、上西さん、岡田さんからお寄せいただいた情報を追加。あわせて50人くらい増えている。こういった、人の褌で相撲を取るコンテンツは楽で良いなあ。

今期のF1がついに開幕。昨年までは世界一のセカンド・ドライバー、エディ・アーバインがいるフェラーリを軸に見ていたが、今年はアーバインがメインになってしまったので、入れ込む相手がいない。BARホンダというのも悪くはないが、メインが若ハゲヴィルヌーヴでは応援する気も失せるというもの。かといって、泣き虫ハッキネンというのも楽しくないし。走行機械M・シューマッハは見応えがあるが、そんなただ強いドライバーを応援するのもなあ。とりあえずジョーダン無限ホンダにでも注目してみるか。

3月13日
SFセミナーのチラシが届く。いろいろと気になる点はあるが、大半は些細なこと(営団地下鉄新(スペース)御茶ノ水駅って何?とか、そのレベル)なので気にしない。昼夜の定員の差は、あまり些細ではなく気になっているが、こちらも僕の問題ではないので気にしない。僕に出来ることは、合宿参加の意思があるなら(早めに)事前申し込みをした方が無難だと認識しておくことだけだしな。
# 今のマニアックな本会のラインナップなら定員溢れは気にしなくてもいいかも。

しかし、合宿企画は恒例のものが多くなりましたね。5/7は見覚えがあるというのはどんなものか。もちろん、あと五つなり九つなりの企画は新規なものなんだろうけど。
とりあえず、酒井昭伸「<ハイペリオン>シリーズの全てを語る」、大森望、柳下毅一郎&安田均「ジョン・T・スラデック追悼」、牧眞司&山岸真「イーガンは本当に凄いか」、小浜徹也「邦題の付け方教えます」あたりは聞きに行く予定(←そんな企画の予定は聞いてません)。

3月15日
SF(中略)漫画家生年表新大森掲示板の情報を反映。あくまで漫画家生年表なので、純イラストレイターは除きたいのだが、「誰が漫画を書いていない」という情報を確認する暇と気力が無いので、言われるまま収録。年度が明けたら何らかの対応を考える(一応)予定。

リストを見ていてふと思ったのだが、58年と59年の顔ぶれの差はすごいね。
 58(部分) とり・みき, しりあがり寿, みうらじゅん, 根本敬, 久住昌之(泉昌之、QBB)
 59(部分) 山本貴嗣, 美樹本晴彦, 藤原カムイ, 雨宮慶太
「TVブロス」系と「コミッカーズ」系とでもいうか。きっと58年にはどこかで悪い電波が出ていたに違いない。

イチローが絶好調。20打数にも満たないとはいえ打率が7割オーバーで、スポーツ各紙が「4番イチロー成功」と伝えるなか、夕刊フジ(Yahoo版)にイチロー4番に否定的な記事があったのには驚いた。なんとイチローはこの高打率で打点1だというのだ。それはひどい。確かに打点は前の打者の成績に左右される数字だが、オリックスの上位打線には打率4割を超える田口、3割を超える谷がいるのだ。福留の15打点には届かないにしても、5、6打点はあげていてもおかしくないはず。いったいどうしたら1打点なんてことになるのか。不思議である。

3月18日
久々に寝たということもあり、目が覚めると10時間以上たっていた。そういうこともある。

気力も何も無い状態で、昼飯を食った後、ふと気が向いて回してみる。出た。ビッグワンだ。

ビッグワンだよ、ビッグワン。回せど回せどいつまでも出ず、ついには電撃隊が4セット近く揃ってしまったというあのビッグワンがとうとう。くーーーーーーーー。この感動を誰かに伝えるべく、カプセルから出しもせずに高田馬場に向かうことにする。

が、その前にとりあえず早稲田へ。久方ぶりに古本屋を廻って見た。結果探しているものは見当たらなかったが、銀背を600円で売っている店があったので、文庫に落ちていないあたりを7冊ほど買ってみる。しかし、探してもいない本が見つかるというのは、ひょっとしたら何も見つからないより始末が悪いのかも。

それはそれとして馬場に着いたので芳林堂へ。神林『魂の駆動体』(ハヤカワ文庫JA)など「持ってるし読んでるよ」ってな本も交えつつ6冊を購入。「ハードカバー1冊と新書1冊と文庫4冊、ハードカバーが分厚いから8000円くらいか?」などと見当を立ててレジに並んでいたので、「9600円です」と言われたときには愕然としてしまった。確かに後で確認したら『ジョン・ランプリエールの辞書』は5000円だったからそんなものかもしれないが。人生、油断は禁物であるらしい。

ユタは久方ぶりに人が少なかった。参加者は、山本御夫妻と志村弘之さんと僕と高橋良平さん(おそらく登場順)。「『新教養主義宣言』の関連本フェア」のチラシの間違い探しをしたり、数学のカリキュラムについて考察したり。SFセミナーの企画の話題から、ジャンルSF評論の難しさや、リアリティレベルの低下、面白さを伝えるということなどについて話を聴いてしまったりもした。こんなにSFの話をしたのは2年弱ユタの隅っこに座ってはじめてかも。
ただ、小浜さんがいなかったのはやはり残念。ビッグワンの自慢をしたかったのに。

帰宅後、ビッグワンを組んでみる。いやあ、わかっていたこととはいえ、面白味の無い造形だね。ジャッカーは、造形の面でゴレンジャーに比べて遥かに劣る事を痛感しましたよ。「こんなもののために……」なんて泣き言は言わないが。言わないが。言うもんか。

3月19日
とある理由で昼から中野へ行き半日過ごす。まあ、年度末ともなるとそういうこともある。帰りがけに「発狂する唇」を見に行こうかとも思ったがだるかったのでやめ。まあ、次の週末にでも見に行くことにしよう。

J・P・ホーガン『仮想空間計画』(創元SF文庫)読了。シミュレーションからの脱出物というそれなりにありがちなネタながら、シミュレーション世界の理屈付けや、主人公がそれに取り込まれる理由付けを丹念にやっているあたりはさすがホーガン。褒める人がいることは良くわかる。ただ、その辺の丁寧さが退屈だったのも確か。全体に「判で押したような」印象がありいまひとつ衝撃というものが無かった。そらまあ、すべてに奇矯さを求めているわけでも無いので、こういった落ち着いた作品もありだとは思うのだが、いかんせんそれにしては長すぎる。細切れに読まず通して読んでいたら印象は変わったのかもしれない。SFに実現性を求めてしまう人向けなんだろう、多分。

夜中にふと油断してSFC版スパロボ3をやってしまう。しかも2面の途中から7面までの6マップ、6時間。人生における無駄の効用とは何かについて深く考えさせられた。

3月20日
先日来気になっていた、部屋の湯沸かし器が壁から剥がれかけているという事象について相談するため、アパートの管理業者に行ってみようとする。が、そこは水曜・祝日休みだった。人生は罠に満ちている。

仕方が無いので、部屋で、本を読みかけたりぼーっとしたりと有効に時を過ごすうちに、ふと映画を見に行く気になった。このところ、とある人からしきりに「発狂する唇」「遠い空の向こうに」を見に行くように薦められているので、「スリーピー・ホロウ」を観ることにする。Webで上映時間をチェックすると、上映開始は1時間後、これ以上無いタイミングという奴だ。

てなわけで春の嵐が吹き荒れる中妙典のワーナーマイカルへ。出来て1年も立ったかどうかというだけあって設備は見事。少なくとも中野武蔵野ホールよりは座り心地の良い椅子がある。< 比べるなよ

映画の方は素晴らしかった。ストーリーはともかく、映像の美しさが飛びぬけている。霧にけぶるスリーピー・ホロウの街並み、街を包む闇を孕む森、闇の中に佇む首無し騎士の巨躯、騎士の剣から舞い上がる鮮血の赤、そしてなによりも、その鮮血に彩られた物言わぬ生首。闇のイメージが、スプラッタに堕さず、ショッカーに落ちずに、怪異のままにそこにあるのはバートンの天才の証か。禍々しき「死者の木」の影から首無し騎士が飛び出すシーンの鮮烈さは、是非スクリーンで見ていただきたい。いや寒い中見に行った甲斐があった。
あまりの美しさに、つい騙されてマウス・パッドまで買ってしまった今日この頃である。

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