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【企画実験室】
プレゼンテーション


「プレゼンテー ションは、なぜ必要か」

  かつて、プレゼンテーショ ンは、広告業界といった特別な社 会で発達し ております。いま、一般の社会 でなぜ、これほどまで重要視されるようになったのか、その背景などを探ってみたいと思います。 
  1. 高 度情報化社会
     まず最初に高度情報化社会という社会背景で す。毎日洪水のような情報量に圧 倒さ れて、コミュニケーションという情報交換 の方向を見 失うときがあります。しかも、知識情報から価値情報などなど情報が勝手に一人歩きしているとこ ろもあ りま す。

      情報に接した人々が情 報をなんの疑いもなく、事 実として受け入れたなら、社会生 活に混乱を起こす虞があります。 テレビのワイドショーなどを見ていると、「火 のないところに煙は立たず」という諺が まるで化石にでもなったように思 われます。

    テレビの番組 で、僅かな情報を興味 本位 に加工処 理して、ニュースに仕立ててしまうと、視聴者は現実と仮想社会の区別がつかなくな り、と どのつまりは、火のないところに煙を 立ってしまうような誤解をすることになります。そし て、テレビや一流の新聞が宣伝している とい うような幻想も生まれ、いろいろな問 題や事件な ども発生するようになります。

    そこで、情報 の実態と現実が あま りにもかけ離れていることに気が付くと、多くの人々は、どのようにし て情報を選んだなら良い か、自信がなくなってしまいます。例えば、同 じ 事件を報道するマスコミの報道には、全く反対の解釈が流されるときがありま す。ど ちらを選んだらよいのか、迷ってしまうことがよくあります。

    選択をしたの だけれども、これでよ いのか、という不 安がいつまでもつきまといます。 情報社会におけるビジネスマンも、このよう に常に不安なケースを引きずってい ます。そのため、一人では不安なので情報を客 観 的に評価する手段として、大勢の人が参加するプレゼンテーションが盛んになってき まし た。

    自分の気持ち の最低限を、なんとか 自分 の願いに 向けたいのは、人間の自然な心理です。必然的に、現時点で最良の選択をするために、な ん組 かの提案を受けて判断したくなります。情 報が豊 富にあると、迷ってしまうのが現状です。

  2. 高 度技術専門社会
     技術が高度に専門化されると、仕事は細分化され、多くの人々は、技術の 良否 の判断が付かなくなって来ます。
     技術者同士でも、机を並べて仕事をしている隣 の技 術者が何にとり組んでいるのか、本当のところわからないという話をよ く聞くよう になりました。技術者を対象にした研修会を担当すると、休み時間に、「君がそんなことをやっている とはぜんぜん知らなかった」とい う会 話が交わされているのをよく見かけます。 

    しかし、それ にも関わらず、なんら かの提 案があ れば、採否を判断しなくてはなりません。
    一昔前であれば、専門的なことは専門家にお任せしますと言うことで済 んでいました。ところ が、 一部の人に任せるには、投資金額があ まりにも大き くなりすぎたのです。それと同時に普段からいろいろな情報が入ってくるために、本当のことがわ からなくても、なんとなく理解できるような気分になっているのです。

    と、言うこと は、素人が専門領域に 首を 突っ込ん できた時代になったともいえるのです。
    そこで、技術のことはわからなくても、技術 のと ころはブラックボックスと考え、どのくらいの金額を投資したら、何か得られるか位は知っ てお きたいという気持ちになり、プレゼン テーション に大勢の人が参加するようになってきたのです。

  3. 高 度平等標準社会になった
     いま、日本人は国内であれば、どこへ行っても同 じ ような生活ができるように、製品も、企画にも、システムにも大きな差が見られなくなりました。
     専門家が見れば、大きく違うんだと力を入れて説明できるかもしれません が、素人目には、みん な同じように見える商品 が多 いのが現状です。中には、同じ工場でつく り、ブラン ド名だけが違うという商品も多くなっています。量産してコストを下げるということも、標準化された社会だからできることです。 そう なると、選び方の基準は、値段とブランド だけと いうことになります。

     このことは身近にある日常的な商品の 問題だけ ではありません。あらゆるものに同じようなことが起こってい ます。
    しかし、量産品ののように、使ってみた結果 も同 じなら、どれを選んだとしても、大きな問題は起こりません。

     ところが、個別生産のものについては、 バラツキが あり、同じように見えるものであっても、実際に 使ってみると、結果はかなり 違うと言うことが当然 起こってきます。これが大きい問題で す。ですから、慎重にならざ るを得ないし、プレゼンテーションを受ける ために、各職場から大勢の人 が集まって来ることにもなります。
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